TAKARABE
JOURNAL本質を捉える視点

菅総理長男の総務官僚接待、問題の核心

どうやら文春オンラインの音声は隣の部屋から録音されたものらしい。菅総理の長男が総務省幹部を頻繁に接待していた事実をつかんだ文春の“盗聴”のようだ。文春の凄みを感じさせる。

それにしても父親の威光を利用して総務省幹部を接待の場に引っ張りだしていた長男は愚かのきわみである。しかしそれ以上に悪辣、卑劣なのは愚かな長男を接待の“現場”にだした東北新社である。本当のバカは東北新社の経営陣だ。

接待の目的はなんだったのか。詳細は報じられていないが、ある放送関係者は「もしかしたらBS放送枠が欲しかったのかもしれない」という。いずれにしても許認可権をもつ総務省に特別なはからいを求めた結果であることは間違いない。
菅総理も当初は自分は一切あずかり知らぬこととっぱねていたが、総務官僚が大量に国家公務員倫理規定に抵触して処分されるハメに陥り、ついに国会で陳謝した。

政治家や有力者の子弟を自社の利益のために入社させることは放送業界に限らず、広告業界、金融機関、商社などいくらでもある。だが有力者の子弟を規制当局の接待現場にだすという破廉恥な会社があるとは思ってもみなかった。そこに東北新社の無能ぶりがある。
さらに言えば、37回も接待を受けていた総務省の役人も被害者ヅラをしていられない。脇が甘すぎる。

それにしても長男の愚かさが際立つ。7年8ヶ月にも及んだ官房長官時代、文春はじめ多くのメディアが菅氏のあら探しを徹底的にやったが何も出てこなかった。
それがいま親の威を借りたバカ息子のおかげで窮地に立たされているのである。
しかし今回の接待問題は、安倍前総理の“もりかけ”や“さくら”とは次元が違うだろう。総理自身は一切関わっていないのだから。
40歳にもなる息子の不始末の責任を菅総理がどこまで負わなければいけないのだろうか?
そんな気持ちにもなるが、一国の総理ともなれば、バカ息子の愚行も含め、すべての批判を甘んじて受けざるをえまい。それが国家の最高権力者というものだろう。