TAKARABE
JOURNAL本質を捉える視点

山本由伸ドラフト4位から世界一へ

「ヤマの投球フォームはとにかく完璧。数多くの球種を持っていて、その全てをいつでも好きな場所に投げることができる。持ち球の威力の素晴らしさと、それらを自由に操れる制球力がヤマを偉大な投手にしているんだよ。人間的にも優れているしね」
ワールドシリーズ連覇を成し遂げたドジャースのクレイトン・カーショーが山本由伸を絶賛している。サイ・ヤング賞3回の彼が山本を「息子のチャーリーにも最高のロールモデルだ」とまで語った。大谷も山本を「世界一のピッチャー」と絶賛した。気になって山本の高校球児時代の情報を調べてみると、出身校は宮崎県の都城高校。野球名門校ではなく、甲子園出場経験もなかった。地区大会ではそれなりに知られ「九州四天王」の一角を占めたが、全国的に知られる存在ではなかった。「四天王」のなかでも身長177㎝の山本は体格で見劣りしたからだ。2016年のドラフト会議ではオリックスから4位指名を受けた。スカウトの石黒和男は山本の独特のフォームに再現性の高さメンタルの強さ、野球への真摯な姿勢にほれ込み、2位指名でも良いと考えていたようだ。それから9年。前代未聞の投球でワールドシリーズMVPまで駆け上がった。その間、とんでもない努力を積み重ねてきたはずだが、石黒スカウトとカーショーの山本評に本質的な違いはない。才能と努力を惜しまぬ野球への姿勢と人間力は神が与えた山本へのギフトなのだろう。