東京世界陸上は初日からメインイベントの男女100m予選が行われた。今シーズンは怪我で苦しんできたサニブラウン選手の敗戦の弁が印象的だった。
「スタジアムの中に入った瞬間から、すごい歓声でもう鳥肌が立ちました。ただレースは本当にもったいないことをしました。前半のしっかり組み立てていかなければいけない部分で遅れをとってしまい、中盤は動きが長くなってしまって、後半は失速してしまいました。ケガで練習できていない部分が、やっぱり出てきてしまったと思います。急に帳尻を合わせたからといって、世界の選手と戦えるわけじゃない。日々の練習、一日一日の積み重ねを無駄にしていたわけではないですが、その重みを今日、感じました」
直前の追い込みや場当たり的な調整で通用するほど世界は甘くない。日々の練習の積み重ねが勝敗を分けるという厳然たる事実をサニブラウン選手は示している。予選落ち直後でも過度に自分を卑下することなく、冷静に自身を客観視できるのは一流の証である。
帳尻合わせでその場を乗り切ろうという輩がやたら目につく政財界では聞かれない言葉だ。