石破総理の続投表明と党役員人事の凍結には正直、驚愕した。
昨年の衆院選。6月の東京都議選、今回の参院選と惨敗三連チャン連でも責任をとらない。しかも与党が衆参同時に過半数割れとなったことは政党政治が始まって以来例のない異常事態である。言うまでもなく選挙は民主主義の根幹。民主主義の長期的健全性を犠牲にする危険と言わざるを得ない。選挙期間中、参政党の排外主義を危険視する声も随分聞かれたが石破総理の無限無責任の方がはるかに危険である。辞めない理由は「日本はいま政治空白が許されない状況にない」だった。その第1は8月1日に期限を迎える日米関税協議である。
しかし対米交渉は強い国内基盤を持つリーダーこそが成果を上げられることは歴史は物語っている。衆参同時選挙で過半数割れを招き、政治的権威を失墜した石破総理はこれまで以上に足元を揺さぶられるのは目に見えている。「政治空白」を恐れるあまり弱体政権が続くことの方が国益を損なう。石破総理の「政治空白は許されない」という辞任拒否理由は、自らの保身のための詭弁にすぎない。国益を犠牲に延命を模索する石破総理を認めるなら自民党は完全に終わりだ。マスコミは自民党総裁選挙をやっても過半数を持たないから総理大臣になれる保証はないから自民党内でも石破おろしは起こらないと報じているが、これは浅慮だ。野党が結束して首班指名選挙で「野田佳彦」に投票することは99%ない。いまの政治状況から判断すれば各党党首の指名を書く以外の選択肢はなく、自民党総裁が総理大臣に指名される。
問題はだれを総裁に選ぶかだ。今回の参院選の結果は、国民は変化を求め、それを新しいリーダーに託しているという事実だ。既存の政治構造を体現してきた人物には全員お引き取り願い、40代~50代の若手を選ぶ以外に自民党が生き残る道はない。ただ若いだけではだめだ。コメ担当大臣のようなパフォーマーではなく、本格派が求められる。権力に執着する自民党内の有象無象に引導を突きつけられる若手の本格派が「比較第一党」の構造変化を起こせば、日本の民主主義の構造変化にもつながる。それこそが今回の参院選の置き土産だ。