三菱重工業株式会社 西岡 喬 氏
趣味は、天体写真。小学生から宇宙に魅力を感じていた。…もっと読む
経営者の素顔へ
photo

私たちには「日本の飛行機を作る」という夢があるんです

三菱重工業株式会社
取締役会長 西岡 喬 氏

財部:
最初に、住友商事の宮原会長とはどういうご関係なんですか?

西岡:
商社さんはやはり、どこでもそうなのですが、「このエリアは三菱がやったほうがいい」とか「ここは住友さんが得意」という感じで、各種製品についてもだいたい同じような状況です。そういうわけで、当社の顧客先として三菱商事がメインであることに変わりはないのですが、住友商事さんと当社との関係も、あらゆる面で広いわけです。

財部:
そうなんですか。

西岡:
そういうことで、私が本社にきて以来、社長時代あるいは事業本部長時代から、宮原さんとはお付き合いがあります。とくに(私は宮原さんと)同時に、経団連の副会長も務めさせていただいているので、より親しくお付き合いをさせていただいています。

財部:
そうですか。私はてっきり、プライベートのご関係だけなのかと思っていました。

西岡:
われわれは「総合重工業」として、7、800種類の製品を持ち、ありとあらゆる分野を手がけています。こうしたなか、各商社さんは、当社とタイアップしつつ、さまざまな製品を世界へ出してくださっています。その結果、今年度は売上高の60%程度が輸出案件になりました。

財部:
ほお。

西岡:
しかも国内市場では、われわれが得意とするインフラ、エネルギー分野、航空関連産業などの動きが必ずしも活発ではありませんから、むしろ海外展開の比重が大きくなるわけです。

財部:
宮原さんとは、先日ご一緒にベトナムに行かれたんですか? 11月に行われた安倍首相のベトナム公式訪問に、日本経団連さんも同行されましたよね。

西岡:
ええ。御手洗さんを団長として、宮原さんと私も、副会長として同行しました。

財部:
そもそも首相の公式訪問とは、どんな流れで進むものなんですか?

西岡:
経済界の方から歴代首相にいつもお話しているのは、「われわれは世界の中で競争しているのですが、中国市場にしろベトナム市場にしろ、相手はたいてい政府と経済界が一緒になってやってくる」ということです。なかでも三菱重工が手がける製品では、たとえばボーイング社が航空機を売るとなれば、ブッシュ大統領が必ず相手先を訪問しています。一方、エアバス社が航空機を売り込むときは、シラク大統領が出向くとか、必ずといっていいほど、そういう話になるんです。

財部:
そうですね。

西岡:
ところがその点、これまで日本では「政経分離」がきちっとしていて、政治は基本的に経済のことにはタッチしないといってきました。しかも大使館といえども、ご挨拶程度はやるけれども、日本製品の売り込みまでは、やはりしていません。ですから経済界としては、「いまや世界中が国益中心で動いているのだから、政府にもそのようなことをしていただかないと、日本企業は世界の競争の中で生きていけないのではないか」と話してきたわけです。そんな折、ちょうどベトナムのグエン首相の来日をきっかけに、今回のベトナムへの首相の公式訪問は、経済界も一緒に行ったらどうか、という話になったんです。

財部:
そういえば、ベトナムには住友商事さんが興された、大規模な工業団地がありますよね。

西岡:
今度また新しく、工業団地を造られましてね。グエン首相は、そこに「ぜひ日本の企業に入ってほしい」と売り込みにみえたんです。今回、グエン首相からのお誘いもありまして、急遽ベトナム行きが決まったわけですが、各社ともやはり「ベトナムは今後非常に発展していく」とみていますから、それではということになって、130人ぐらいの訪問団を組んで行ったんです。

財部:
キヤノンさんなどの工場も、その工業団地に入っているんですね。

photo

西岡:
はい。そこも安倍首相にみていただきました。私自身もキヤノンさんの現地工場を拝見しましたが、そこでは9000人ぐらいが働いていました。ちなみに、その工業団地全体では、3万人ものベトナム人が働いているんです。

財部:
3万人ですか、それは凄いですね。西岡会長は、ベトナムには何度も行かれているんですか?

西岡:
いや、初めてです。いま名古屋地区が自動車、航空機産業のメッカになっていますが、労働力も不足しているし、(地場の)会社自身、どこもかしこも仕事量が増えてきて、なかなか仕事が出せません。飛行機を1機造るのにも、1500社ぐらい協力会社が必要ですから、僕自身も「ベトナムには1度行っておかなければ」とずっと思っていました。