TAKARABE
JOURNAL本質を捉える視点

中国外交カード無効化

レアアースなど希少鉱物の輸出は中国の外交カードの切り札だ。輸出禁止だと脅せば米国でも脅しに屈する。高市自民大勝でフラストレーションがピークに達した中国は2月24日、ついにそのカードを切ってきた。防衛関連の企業や研究機関を名指しで「輸出禁止」「輸出厳格化」リストにアップしてきたのだ。
「こりゃあ大変だ」と焦った声もあがったわりには、名指しされた防衛関連企業の株価は安定している。暴落どころか逆に上がっている。三菱重工(子会社「三菱造船」がリスト入り)も、川崎重工も、IHIも、富士通(防衛向け子会社がリストアップ)も株価はしっかりだ。
中国外務省の報道官は「日本の再軍事化、核兵器保有の意志を絶対に認めない」とかなんとか、真剣な面持ちで笑える現状認識を語気荒くコメントしていたが、名指しされた企業の株価はあっけらかんだ。日々の株価変動にことさら意味はないが、中長期的には株価は業績に連動する。「輸出禁止」がブラフではなく本当に断行されるなら株価が無反応というのはおかしい。
とはいえ、いま株価に影響がないとはいえ、軽く受け流せる話ではない。リスト入りした企業は、中国産のレアアース等を中国から直接輸入できなくなるだけでなく「第三国経由での調達」も処罰対象となるので、防衛・宇宙・航空部門の製造ラインが停止に追い込まれるリスクが顕在化したことは間違いない。規制対象は800項目以上に及ぶため、たとえその影響ははかりしれない。
こうなったら脱中国依存である。もちろん官民あげてすでにやっているが、その取組みを加速するしかない。
日本企業のレアアース等の在庫は2〜3ヶ月分と言われています。操業停止を避けるため、国外も含めた流通在庫の確保が最優先であるが、民間企業には限度がある。非中国系サプライチェーンへの切り替えのために、政府の支援が必要だ。じつはJOGMEC(エネルギー・金属鉱物資源機構)などが保有する国家備蓄が国内消費量の約60日分ある。いつでも緊急放出できる準備が必要だろう。調達コストの急騰や生産停止でキャッシュフローが悪化する中小サプライヤーを救済するための金融支援もタイムリーに行い、中国の暴挙に官民一体で対抗することだ。この点、高市政権はぬかりなく対応しているのではないか。
もちろんオーストラリアやインド、ASEAN諸国、さらにアフリカなど外交ルートを通じた調達先の多様化も欠かせない。南鳥島の深海の開発のニュースはご存知の通り。途方もなくカネも時間もかかるが国内調達の夢は諦めるわけにはいかない。これ一発で中国に対抗できる絶対的カードは今のところないが、この機会に官民が結束して「中国なしで回る経済構造」を完成させれば、中国最大の武器を未来永劫無効化できる。