財部誠一 HARVEYROAD JAPAN オフィシャルサイト
12月20日(木)

【集中連載が終わり】

今年は多忙をきわめました。テレビの特集取材や講演会等々でアジア諸国から日本の地方まで、
とにかく移動につぐ移動。通常の連載記事の入稿も遅れがちでしたが、なんといっても辛かったのは月刊『Voice』の連載でした。
400字詰め原稿用紙にして1回40枚がノルマ。7カ月の集中連載がようやく終わりました。
それが嬉しくて、嬉しくて。2月には単行本化されるため、年末年始も仕事が残りますが、今は久方ぶりの安堵感に浸っています。
年末年始のお知らせがあります。
『財部ビジネス研究所』(BS日テレ日曜 9:00〜)は12月30日と1月6日(再放送)と、
年の瀬をまたぐという異例のスケジュールですが、京都企業の強さの秘密にせまる特集は、
見て楽しく、役に立つ。面白い放送になると思います。ぜひご覧ください。
つきなみですが、どうぞ良いお年をお迎えください。

12月10日(月)

【自民が組むのは「3党合意」の民主か、「野合」の第3極か】

尖閣問題に端を発した反日デモの蛮行は中国という国家の品格のなさをあらためて世界に印象づけた。
反日デモは3、4年に1度のペースで起きており、もはや恒例行事化しているものの、
新聞、テレビなどのマスメディアを総動員して中国政府が反日感情を煽った分だけ、
今回のデモでは過去に例を見ない悪質な破壊行為が噴出した。
日本人の嫌中感情は一気に高まり、日本企業の対中投資熱は一気に冷めた。

それから3カ月、中国の日本企業はどんな状況にあるのか?

日本の自動車メーカーの販売台数が激減していることは周知の通りだが、国内から眺めている風景とは違う現実もある。

反日デモ直後の9月28日にテレビ朝日系のニュース番組『報道ステーション』で岐阜県の中小企業、森松工業を特集した。
同社は日本初の純国産ロケットH-IIロケットの燃料タンクから資源開発用の大規模構造物まで、
特殊タンクメーカーとして世界の超一流メーカー相手にビジネスを展開している。
従業員はおよそ4000人。その内訳は岐阜の本社工場が500人強。中国の子会社(独資)、
上海森松が3500人強。上海市とお隣の南通市に6工場をかまえている上海森松は
、森松工業全体の売上高のおよそ9割を叩きだしている。

日経BPnetにも原稿アップしました。
続きは こちらからご覧下さい!

12月6日(木)

【衆院選候補者が問われるべきもの】

衆議院総選挙に隠れ、東京都知事選はまったく盛り上がっていません。
石原慎太郎前都知事が後継指名した猪瀬直樹氏を自民党と日本維新が早々に推薦する一方で、
政権党である民主党は前回選挙に続き、今回もまた独自候補を擁立できず自主投票。
首都東京の舵取りをまかせるに相応しい有力候補がしのぎを削るという状況には程遠い選挙戦となってしまいました。
東京にお住まいではない方にとっては、都知事選の話題そのものが退屈な事柄になっているのでしょうね。
衆議院選挙でも候補者が問われるべきポイントのひとつとして「実績」があげられことが少なくありませんが、
首長選挙においては「実績」抜きの評価、選択はありえません。たとえば石原氏の思いつきで始めた新銀行東京は、
都民の莫大な税金投入で不良債権処理を行い、破綻という最悪の結末はかろうじて回避しました。
ライバル候補が指摘するように、プラスの「実績」とともにマイナスの「実績」も合わせて
検証する選挙戦にして欲しいのですが、残念ながら願い叶わず、投票日を迎えることになりそうです。

11月30日(金)

【日本の原発政策への示唆】

先日、久方ぶりに堀場製作所の創業者、堀場雅夫さんと歓談をする機会を得ました。
久しぶりにお目にかかりましたが、頭脳明晰、意気軒高、とても米寿(88歳)とは思えぬお元気なご様子でした。
お目にかかるたびに思いますが、堀場さんのお話はいつも刺激的で、新しい時代の新しい情報に基づきながら、
政治からグローバル経済まで、独自の意見を圧倒的な説得力で話されます。
たとえば、フランスの原発会社アレバ社の話。脱原発に大きくシフトしたドイツは、
日本では大きく評価されているようですが、現実はそう単純ではありません。
自然エネルギーの買い取りに伴う電力料金値上げの負担があまりにも大きすぎるとなり、いまや政治問題化しています。
アレバ社は「ドイツが安い電力を買い増ししてくるのは時間の問題」だそうです。
そこでフランス人が堀場さんに言ったそうです。
「ドイツへの送電用原子力発電所をフランスとドイツとの国境沿いに作る。ドイツが値下げ要求してきた時に、
安全が損なわれてもいいのか、と反論すればそれでおわり」。
悪質なジョークではありません。3.11以後に欧州で起こった原発論議の全体像に目をやると、
日本の原発政策を考える上で大いなる示唆がある、と堀場さんが言っておられました。

11月19日(月)

【自民が組むのは「3党合意」の民主か、「野合」の第3極か】

19日の朝刊で新聞各紙が衆院選に向けての世論調査の結果を掲載した。
朝日、日経、毎日の3紙が週末に比例区の投票先について調査しているのだが、
まったく異なる結果になっているのが興味深い。

日経の見出しは「自民25%、民主16%、維新・太陽合計15%」。自民党が頭ひとつ抜け出すが、
民主と維新・太陽は拮抗している。世論調査後に維新と太陽が合流。「第三極ではなく、第二極を目指す」
という石原慎太郎日本維新の会代表の言葉を裏書きするかのような結果がでた格好だ。
日本維新が期待以上に勢力を伸ばすのか、見かけ倒しで終わるのか。
合流前の世論調査であることを考慮しなければならないが、
毎日新聞の調査結果には強い違和感を覚える。

毎日の見出しは「自民17%、維新13%、民主12%」となっているのだが、
維新と太陽を単純合計するとじつに17%で、自民党に並ぶという。

一方、朝日新聞が報じた数字はまったく違う。
「自民22%、民主15%、維新6%」だ。維新と太陽を合計しても7%にすぎない。

3紙の報道をみてわかることは、日本維新への評価が全く定まっていないということだろう。
自民と並んでトップに立つのか、民主と並んで二番手になるのか、単独の三番手になるのか。
世論調査は維新の可能性を示しただけで終わっている。世論調査などというものはこんなものだろう。

日経BPnetにも原稿アップしました。
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11月16日(金)

【森松工業の危機回避】

9月に『報道ステーション』(テレビ朝日系21:54〜)で岐阜の森松工業を特集しました。
ご覧いただいた方も少なくないと思います。中国で大成功している特殊タンクメーカーです。
放送直前に反日デモが起こり、中国国内企業からの注文がいくつかキャンセルされました。
内心、私も大変心配していました。松久信夫社長は最悪の事態を想定し、
中国の反日行動が3年間続くことを前提に、資金繰りの手当てを6つの銀行とすすめたそうです。
ところが現地の中国人社員が、強い危機感を持って、キャンセル案件をひっくり返したり、
海外営業に力をいれたりした結果、今年の12月決算では売上が過去最高の350億円になりそうだとのことでした。
また受注残を考慮すると、来期の売上高は450億円を見込めるとも話していました。
中国の政治はまるで信頼できませんが、信頼のできる中国人社員を育て上げた企業は危機的状況の中でも、
見事な結果を出せるのだと驚いたしだいです。

11月9日(金)

【さらに繋がる経営者の輪】

昨日(11月7日)の報道ステーションで放送された特集「生き残りを賭けた伊勢丹の戦略」は非常に視聴率も高く、好評をいただきました。
三越伊勢丹の大西社長とはホームページで展開している「経営者の輪」でお目にかかったのがお付き合いの始まりです。
三陽商会の杉浦昌彦社長からのご紹介でした。「経営者の輪」は取材に応じていただいた多くの経営者のみなさんのおかげで、
ストックとしてとてもバリューの高いものなっています。お時間があるときに、ときどき覗いてみてください。
先日も、ダイエーの桑原道夫社長とお目にかかりました。
サンプロ時代にダイエーの中内功さんにたびたび取材をさせていただいた記憶がよみがえりました。
「経営者の輪」は 私にとっても貴重なメディアです。

11月1日(木)

【景気先行きの不安な変化】

私の事務所のある港区虎ノ門界隈では夜の景色に微妙な変化が生じています。
夜の景色といっても下戸の私はひたすら食べる一方ですが、どこのお店も空席が目立って増えてきました。
お昼時はサラリーマンのランチで賑わいますが、同僚や知人たちと食事をする人たちの数がめっきり減っているのです。
データの裏付けのない、単なる印象にすぎませんが、ある食品メーカーの経営者にこの話をすると
「まったく同感だ」という返事が返ってきました。この食品メーカーの受注状況にも消費の弱さが表れてきたそうです。
「これまではスーパーが悪くてもコンビニからの注文状況がいいというように、メリハリがあったものだが、
ここもとは全般的に良くない。こんなことは過去に例がありません」
中国国内におけるトヨタの10月の販売台数は前年比で44%も減少したそうです。
中国の反日行動に端を発した嫌な感じが、国内の消費にもじわじわと広がってきたのかもしれません。
景気の先行き、丹念に見ていきたいと思います。

10月30日(火)

【ANAの沖縄国際物流ハブにヤマトが参画、海外翌日配達で物流を変革】

「百万の援軍を得た思いだ」
 10月25日、那覇市内のホテルで開かれた「国際航空物流ハブ/企業誘致セミナー」のセミナーの壇上で、
全日空の伊東信一郎社長は高揚しているようだった。

リーマンショック直後の2009年、世界経済が深刻な経済危機に見舞われていたさなかに、
沖縄県と全日空は二人三脚で沖縄国際航空物流ハブ事業を立ち上げた。
業績が赤字転落していくなかで、日本とアジアを結ぶ貨物の航空ネットワークを
沖縄県と一緒に構築しようという経営判断は困難を極めた。
冷静に振り返れば、全日空の経営としては尋常な経営判断とはいえないだろう。

アジアの主要都市に4時間以内で行ける沖縄は地政学的に見て、大きな可能性を秘めている。
メイド・イン・ジャパンの品質とアジアを結ぶ物流ネットワークの一大拠点として
沖縄が持つ潜在力を顕在化させる手立てとして、沖縄国際航空物流ハブ事業は大いなる意義を持っていた。

問題は社会的意義の大きさと事業の収益性が必ずしも一致しないことだ。
むしろこうした案件は社会的意義を強調しすぎるあまり、一時的な公的支援に依存し、
事業そのものは継続性に問題を抱え、最後は頓挫の憂き目にあうことなど世の中にはいくらでもある話だ。

国際航空物流ハブの事業計画を推進するか、一度棚上げするか。
全日空の経営は激烈な議論を経て推進を決めた。国際航空物流ハブは24時間空港として運営される。
全国各地から製品や部品や青果物を、羽田・成田・関空経由で夜中に沖縄国際航空物流ハブに集め、
翌朝にはアジアの主要都市に届けるサービスが始まった。

日経BPnetにも原稿アップしました。
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10月25日(木)

【沖縄の貨物ハブこそが日本経済を救う】

今、沖縄にいます。
東京はすっかり涼しくなりましたが、沖縄ではまだ まだ海水浴を楽しんでいる人がいます。
「ここ数日、ようやく最高気温 が30度をこえなくなってきました」とタクシーの運転手さん。
もちろん沖縄に海水浴に来たわけではありません。沖縄県が3年前から本格的に取り組んでいる「国際物流ハブ」。
さらに利用を促すため沖縄県が「企業誘致シンポジウム」を開催しており、そこで基調講演をするためにやって来ました。
今回のテーマは「沖縄が変える日本企業のアジア戦略」。
これまでは特区として、一番アジアの近い日本として、沖縄のメリット を民間企業が利用することは良いことだという認識で関わってきました が、
今回、チャイナリスクが顕在化してきたことで、沖縄の存在価値は 劇的に変わりました。
沖縄は日本にとって役立つ存在などではなく、沖 縄の貨物ハブこそが日本経済を救うのだと私は考えるにいたりました。

10月19日(金)

【8年ぶりの出演依頼】

つい最近8年ぶりに懐かしい方と仕事をしました。
私がサンデープロジェクトに出演し始めた90年代後半から特集を一緒に作ってきたプロデューサー兼ディレクターです。
2004年にそれまで所属していたTV制作会社から独立され、その間、かつての所属先とバッティングする仕事はしないという自主ルールのもと、
長い時間がかかりましたが、しっかりとした制作会社を創り上げました。
そして8年ぶりに私に連絡があり、テレビ東京の『ジパング』という番組のモデレーターとして出演してほしいというご依頼。
嬉しい限りで、即座にその出演依頼を受けました。10月22日(月)22:00(テレビ東京)放送です。お時間があればぜひご覧ください。

10月12日(金)

【反日デモ激化の理由と日本企業の今後】

領土問題の多くは内政問題の転嫁を目論む政治家の思惑によって引き起こされてきたというのが歴史の教えである。
言葉を変えれば「領土問題≒権力闘争」と考えて良い。わが国の尖閣国有化に端を発した中国の反日デモが
過去に例をみないほどエスカレートした背景には、中国共産党内の激烈な権力闘争があった。

中国は共産党の一党独裁だから、最高権力者である国家主席をトップとした整然たるヒエラルキーによって
国家運営がなされていると思いがちだが、実はそうではない。いくつもの派閥が激烈な権力闘争を繰り返しているというのが現実だ。
代表的な派閥は胡錦濤や温家宝が所属する「団派」。中国共産党青年団(共青団)出身が多く、
官僚の腐敗問題や民主化にも強い問題意識をもつ集団である。これに対抗するのが、
胡錦濤の前に国家主席を務めた江沢民が率いる「上海閥」。
そして、次期国家主席への就任が確実視されている習近平が所属する「太子党」。
共産党幹部の父や祖父を持つエリート集団だ。それぞれに有力OBがおり、さらに軍の幹部なども強い影響力を持っている。
彼らにとって今年は特別な年である。5年に一度の共産党大会が開催される年にあたっているからである。
最大のエポックは中国の最高意思決定機関“中央政治局常務委員会”のメンバーの選出である。常務委員会はわずか9人で構成されている。
過去の5年間は国家主席の胡錦濤が序列一位で、首相の温家宝は第三位というように序列が決められていたが、
巨大国家中国の最終的な意思決定はわずか9人の常務委員によって行われる。常務委員ポストをどれだけ獲得するか。
5年に一度、壮絶な権力闘争が起こるのも当然の帰結といえる。
しかも今年は70歳定年制により常務委員9人のうち7人が新任となるだけに、派閥抗争はエスカレートした。

DIGITAL GOVERNMENT のサイトに原稿アップしました。
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10月11日(木)

【宝塚歌劇団誕生の秘話】

今週はオフィシャルホームページ内の「経営者の輪」で阪急阪神ホールディングスの角和夫社長のインタビューがありました。
関西を代表する同社ですが、取材にいく機会がまったくなく、前回お邪魔をしたのは25年くらい前のことですから、
今回が初取材といった風情でした。詳しくはオフィシャルホームページに近いうちアップ致しますので、そちらでご覧ください。
それにしても今回のインタビューは明るく楽しいやりとりに終始しました。
そのなかで阪急グループの創業者、小林一三氏の話がでました。
角和夫社長がもっとも尊敬する人物なのですが、世間が考える天才経営者、
小林一三像とはちょっと違う一面もいろいろご紹介いただきました。
「小林一三は運のいい人だった」という話の中のたとえ話としてでてきたのが、宝塚歌劇団誕生の秘話。
小林一三氏がやりたかったのは室内プールだったそうです。それが室内だと水が冷たすぎる等々、
あまりの不評で閉鎖となり、そのスペースをどうするか、となった。
たまたまその当時、三越が「少年合唱団」を海外から呼んだイベントをしていたのを見て、
「三越が少年なら、うちは少女だ!」。それが宝塚歌劇団誕生の真実だそうです。

10月9日(火)

【48年ぶりIMF・世銀の年次総会、新財務大臣で政権は何をしたいのか】

「当行も周到な準備をしてきました。世界中から金融界の大物が東京で一堂に会する大イベントです。
頭取以下、万全の態勢で臨みます」

10月9日(火)から東京で国際通貨基金(IMF)と世界銀行(世銀)の年次総会(12日〜14日)および関連行事が始まった。
日本での開催は東京オリンピックのあった1964年以来、じつに48年ぶり。
メガバンクの経営幹部は大きな期待感と緊張感を持って10月9日を迎えたという。

「9日から14日まで、連日、朝から晩まで様々な行事が行われます。各国の財務大臣や中央銀行総裁はもちろんですが、
邦銀が逆立ちをしても面談してもらえない大物、たとえばサウジアラビ通貨庁(SAMA)の総裁とも会える。東京開催でなければ
あり得ない」

IMFと世銀の最高意思決定機関である総務会が合同で開催する年次総会は数ある国際会議のなかでも最重要の会議だ。
通常はワシントンで開かれるが3年に1度、ワシントン以外の都市で開かれる。じつは今年の年次総会は当初エジプトで開催される予定だったが、
エジプトの政情不安や昨年の日本の震災に対する配慮も手伝って、急きょ東京開催が決まった。
9日から14日までの開催期間中、世界各国から集まる金融・財政関係者やメディアの数は1万人規模と言われている。

開催期間中、様々な懸案を抱える国々が2国間交渉によって問題解決の糸口を探る貴重な機会になる。
ホスト国日本にとっては日本経済や日本の財政問題に対する情報を世界に発信するまたとないチャンスだ。

日経BPnetにも原稿アップしました。
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10月4日(木)

【世界一の百貨店、仕入れ先は小さな靴メーカー】

今週水曜日、浅草にある小さな靴メーカーに行ってきました。
三越 伊勢丹が進める仕入れ構造改革の取材の一環です。それにしても驚 きました。
三越伊勢丹が直接取引をしている靴メーカーがご主人と奥 さんと若い従業員2人、
あまりにも小さな靴メーカーだったからです。 新宿の伊勢丹本店は世界1の百貨店。
なかでも婦人靴売り場は花形 の売り場のひとつ。
その最前線で活躍するシューカウンセラーの女性 社員たちは、お客の声に耳を傾け、
その情報をバイヤー経由で浅草 の靴メーカーに伝えます。
靴メーカーの社長は類まれなセンスでそれ を具現化し、それが伊勢丹本店の靴売り場に並ぶのです。
それを販 売することは「嬉しい限り」とシューカウンセラーたちは言います。
もっ ともそんな小さな靴メーカーでは、売れる靴ができたとしても、一定量 を確保できません。
そこをどのように工夫しながら浅草のものづくりに 持続可能性を付与したか。そこがひとつのポイントです。
それはまた、 おいおい記していきます。

9月28日(金)

【日中関係に対する日本企業の向き合い方】

「日中関係の考察」と題して、ある会員の方からメールを頂戴しました。
経営者としての覚悟がにじむものでした。一部抜粋してご紹介します。

「現在、尖閣問題で日中間で起きている事態、とりわけ中国国内の反日デモ、
日系企業の襲撃、不買運動に関して、そもそもこれらのことは100年前から存在していることであり、
目先の事態にいちいち狼狽しないことが肝要。というのが私の基本スタンスです。
これをみれば100年前と最近の情勢と当時の政治、外交、軍事、国民感情的にもほとんど変わっていないことが分かります。
中国からみればこの100年、日本は常に朝鮮半島、中国本土への領土的拡張攻勢をかけてきて、
尖閣も日本が勝手に、中国が知らない間に奪い取ったという認識になるのでしょう。
一方、日本は尖閣は国際法に準拠して領土宣言をして、当時の諸外国から一切クレームもなく、
国際法上、完全に合法的に認められる領土という認識であり、この点で中国との溝は埋まるわけがない。
従って、我々民間レベルではそもそも中国と付き合う、経済活動するためにはそのことを理解したうえで、
ある意味、覚悟して、また、リスクヘッジした上で中国とのビジネスを進める必要があります。
日中関係が簡単に好転する見込みがない現状では企業としても「臥薪嘗胆」の覚悟が必要。
私の持論としては仮に経済制裁、中国市場撤退という最悪の状況になったとしても、本体が傾かない工夫が必要で、
具体的には投資の分散であり、他の海外市場(例、東南アジア)でリスクヘッジできるような
多面的事業展開を図ることが企業として進むべき道であろうと考えます」

臥薪嘗胆の覚悟です。

9月26日(火)

【「鴻海ありき」に陥ったシャープの危機的な未来】

株価が3分の1になってしまった事態を受け、シャープと鴻海との資本提携が暗礁に乗り上げたのは当然だ。
資本提携の中身は、鴻海がシャープの発行済み株数の9.9%を取得するというもの。
金額にして670億円。

ところが株価は3分の1まで暴落。670億円出資するなら、現在の株価を考慮して、
25%前後の株を寄こすのが筋だというのが鴻海サイドの言い分だ。
カネを出す側の論理としては当然だ。

  一方、シャープにとっては資本提携の意味そのものが変わってしまう。
そもそも9.9%という出資比率は、解散請求権が発生する10%をギリギリ回避する数字だった。
ところが株価暴落のせいで、予定されていた出資金額670億円を現在の株価で換算すると
出資比率が20%を優に超え、シャープの経営への影響力が俄然高まる。
さりとて、9.9%の比率に拘ると、出資金額が200億円程度になってしまい、予定していた資本が不足してしまう。

当然の帰結として、シャープと鴻海との間で資本提携の「見直し」が始まった。
8月下旬、鴻海の郭台銘董事長が来日するに及び、メディアが騒ぎだした。

「鴻海はシャープに支配されてしまうのか?」

「そうなれば技術はダダ漏れだ」

そんな心配にさらに拍車をかけたのが、来日後の郭董事長の記者会見ドタキャン事件だった。

8月30日、台湾の経済代表団とともに来日していた郭董事長はシャープ経営陣と交渉に臨んだが合意には至らず、
結論は持ち越しとなったが、議論の行方とは関わりなく、その日、
郭董事長はシャープの堺工場で日本メディア相手に記者会見をする予定だった。

ところが郭董事長は急きょ記者会見をキャンセル。
その足で関空に向かい、離日してしまったのだ。

いったいなぜ、そんなデタラメな挙にでたのだろうか。
会見ドタキャンから4日後の9月4日付けの台湾有力紙『聯合晩報』が郭董事長の独占インタビューの記事を掲載した。

ダイヤモンド・オンラインにも原稿アップしました。
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9月20日(木)

【反日デモを引き起こした民主政権の無能ぶり、尖閣国有化は最悪のタイミング 】

「井戸を掘った人を忘れない。中国の若者はそんなことも分からなくなってしまった」

広州の工場が焼き討ちにあったパナソニックの幹部は声を震わせた。
いまでこそ中国には無数の日本企業が直接投資をしているが、最初は1978年にトウ小平氏が来日し、
近代化に向けて日本企業に協力を要請したことに始まる。トウ氏はパナソニックを訪問、
当時の松下幸之助相談役にも依頼している。
松下幸之助氏は翌年に中国を訪問、同年には駐在員事務所を開設、ブラウン管のプラント輸出を行っている。
その後、1987年には合弁会社、北京・松下彩色顕象管有限公司(BMCC)を設立している。
まさにパナソニックは中国の電子工業において、「井戸を掘った人」なのである。

本来、中国政府は「井戸を掘った人」たちに対して、特別な計らいを続けてきた。
例えば、日中国交回復を担った田中角栄元首相はロッキード事件で失脚、刑事被告人となったが、
中国政府はその恩義を忘れず娘の田中真紀子氏や田中氏の秘蔵子だった小沢一郎氏に対して常に門戸を開いていた。

同様に早くから中国に進出した松下幸之助に対して、また法人としてのパナソニック(松下電器産業)に対しても、
中国はその恩義を忘れないという姿勢を崩そうとしなかった。自国の家電メーカーが育ってくると、
中国はあからさまな自国企業優先政策に傾斜。パナソニックの中国における存在感は急速に薄れて行ったが、
それでも政治の場におけるパナソニックの存在感は揺らがなかった。
醜く膨張した拝金主義のなかにあってなお、中国は「井戸を掘った人」への最低限のリスぺクトを
忘れていなかったのである。

だが今回の反日デモにはそんな配慮などは微塵も感じられなかった。
中国に投資している日本企業は小売業も製造業も中国人を雇用し、地域経済への貢献も強く意識しながら、
経営してきたにもかかわらず、問答無用で破壊され、関係者は大きなショックを受けている。
まして中国に早期進出し、中国経済に多大な貢献をしてきたパナソニックの経営陣が受けた衝撃は
いかばかりであったか。察するに余りある。

日経BPnetにも原稿アップしました。
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9月14日(金)

【地域によって異なる被災地の現状】

今週に仙台で講演会がありました。金融機関と地元仙台の商工会議所の共催で行われたものです。
講演終了後、商工会の幹部の皆さんと少し話をする機会がありました。いまや誰もが知るところとはいえ、
仙台のバブル経済ぶりは尋常ならざるレベルまできているようです。地元商工会のある幹部が私に言いました。
「ご存知でしょうが、仙台はとんでもないバブルです。復興でバブル、そんなことがあっていいわけがありません。
なんとかメディアで発信してください」とにかく莫大なマネーが流れ込み、復旧すらままならぬ被災地でも、
カネがあるから働く意欲がわかぬと、パチンコ屋通いをする人たちが相変わらずいます。
その一方で、福島の原発被害で人生を奪われてしまった人々への支援は進んでいません。
復旧、復興以前の問題として、いまいったい被災地はどうなっているのか。地域によってまるで異なる、
被災地の正確な現状認識が必要ですね。仙台商工会の皆さんは、情緒に流されず、
客観的でリアリティのある被災地の全体像を把握してくれ、と言っていました。

9月6日(木)

【ハワイで“Easy Pay”】

ワイキキの目抜き通り、カラカウア通りには多くのブランドショップが軒を並べていますが、
妙な場違い感をかもしながら、存在感を発揮していたのがアップルストアでした。
ふらりと入ってみて驚いたのが“Easy Pay”と呼ばれる、アップルらしい斬新なお支払い方法でした。
クレジットカードの読み取り機能を装着したケース付きのiPhoneを使って、店員のおにいちゃんたちが、
その場で決済をしていました。商品をキャッシャーまで持っていって決済するのではなく、
商品が置いてある店内のどこでも、その場で決済が済んでしまうのです。
スマートフォンは一昔前のスーパーコンピューターをはるかに凌駕する性能を備えているばかりか、
通信機能もそなえていますから、独自のアプリと付属品を開発することで文字通り簡単に
“Easy Pay”が実現できてしまったのです。この独創性、さすがアップルですね。サムスンにはありえません。
これにて、私の夏休みの旅行先がハワイであったことがバレました。
おかげさまでゆっくりできました。

8月16日(木)

【家電業界の生きる道】

先日、産経新聞大阪本社の経済部の方が取材に来られました。テーマは「家電業界の今後」でした。
シャープの堺工場売却、パナソニックの尼崎工場の生産縮小等々、大阪では家電業界の合理化や外資との資本提携が、
他人事ではありません。記者の問題意識も、地域経済に根差したものでした。それにしてもシャープの経営方針の
変わりぶりには驚かされます。これまで日本企業はいかに情報漏洩を防ぐかに腐心してきましたが、
シャープはいまや「漏れない情報などない。だから全部オープンにする」といわんばかり。日経新聞のインタビューに応じた
町田勝彦相談役は情報戦に対する姿勢を「180度転換」したと明言しています。本当にそれでいいのか。
それ以外に生きる道はないのか。大いに考えさせられます。それにしてももはや「家電業界」という分類そのものが陳腐化しています。
コアバリューをどこに置くのか。家電各社はまったく異なる企業へと変身しつつあります。
そのなかで見えてこないのが、シャープです。シャープはいったいどんな会社になりたいのでしょうか?

8月10日(金)

【銀座の老舗】

じつは今日(8月10日)、文明堂の会長にご案内いただきながら、銀座の魅力を探るというとても興味深い取材をしました。
銀座の老舗を数軒、訪ねました。オーダーワイシャツの「ナカヤ」は銀座ですでに106年。
銀座4丁目の交差点に面した日産ギャラリーと松坂屋の中ほど、ナカヤビルの2階にあります。
間口は狭く、お店がそこにあることを伝えるのは、たたんだ2枚のワイシャツが縦に並ぶ小さなショーウィンドーが
地味にあるだけで、ぼんやりと歩いていたら、まずもって目に入りません。
しかしエレベーターで2階にあがると、そこは別世界。素晴らしく気持のよい異空間がひろがり、
選りすぐりの生地がきれいにならんでいました。驚いたのは最高級の生地で作られたトランクス。
仕立てた後に残った余り布で作られた下着です。価格は2385円。こんな贅沢はありません。
取材中にもかかわらず、つい買ってしまいました。お薦めです。

8月2日(木)

【際限なく広がる心配】

8月になりました。民主党、自民党両党の党首選はもう来月に迫っ ています。
「諸々の政治日程を考慮すると総選挙は11月だ」と自民党幹部。米国の大統領選挙も11月。
そして10月には中国の共産党大会で習近平が国家主席に選出される予定です。
日米中の政権中枢が不安定な時期に同時に突入します。「尖閣が気になるなあ」と自民党幹部。
「石原さんは右翼だから仕方がないと中国は割り切っているが、日本政府が尖閣を買うとなったら黙ってはいられない。
ましてや軍をバックにしている習近平は、強い態度に出ざる得ない」と心配していました。
でもその心配は、さらに広がっていきました。「尖閣で日中衝突、中国が船でも出してきたときに、
野田政権が断固たる態度で中国に向かいあったら、低下一方の民主党支持率が反転しかねないというのです。
まあ選挙にからむ心配は際限なく広がっていくようです。
ちなみにこの自民党幹部によれば米国大統領選は「ロムニーの逆転勝利」とのことでした。
本当でしょうか?

8月1日(水)

【被災地・雄勝から始める、新たな漁業と町の育て方】

美しい自然を見にきてほしい
「被災地だからではなく、美しい自然を見に来てほしい」

宮城県石巻市雄勝町に誕生した漁師の合同会社「OH(オー)ガッツ」の代表、伊藤浩光さん(51歳)の言葉だ。
雄勝町は昨年の震災時、津波に町が飲み込まれ、4300人の人口がわずか1000人まで激減してしまった。
漁業も町も、元に戻るという単純な再生を期待すること自体ができぬ状況だった。

だが漁業以外には地域再生の原動力になる産業も見当たらない。
そこで生まれたのが「そだての住人」と呼ぶ、雄勝の水産物を対象とした独創的な養殖オーナー制度のビジネスモデルだ。

青果や水産物のオーナー制度自体は珍しいものではない。事前に出資金を支払い、収穫物などを送ってもらう方式だ。
例えば、りんごやみかんの木に出資をして、その木で収穫された分量のものを産直で送ってもらう。
生産者の情報はもちろん、生育状況、現地の季節の話題なども定期的に送られてくる。
生産者と消費者が長期間にわたってつながるための仕組みだ。

だがオーガッツのコンセプトはそれだけではない。同社のWebサイトからメッセージを引用してみよう。

「これまでの養殖オーナーのように、ただお金を前払いして商品を買うのではなく、実際に雄勝町に来ていただき、
漁師と実際に話をし、牡蠣や銀鮭を育てる作業を見学したり、ご希望の方には実際に作業にも加わっていただくというものです。
ここにある想いは、どこで誰が作ったかわからない商品を食べるのではなく、雄勝のオーガッツが作った、
安全で美味しいものを食べていただきたいという想いと、『そだての住人』になる皆様ご自身が作り手となって、
自分が作ったものを食べるという喜びを、ぜひ感じてほしいからです。
そして、大津波により全壊した地域を復興させるまで、一緒に歩んでいただければと思います。」
(オーガッツ公式HPよりhttp://oh-guts.jp/sodate/index.html )

じつは7月29日(日)の『財部ビジネス研究所』(BS日テレ)で“オーガッツ”を特集した。
冒頭の言葉はこの特集取材に対して代表の伊藤さんが語ったものだ。

日経BPnetにも原稿アップしました。
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7月31日(火)

【なぜ日本語で歌いながら世界でブレイクできたのか「由紀さおり」というイノベーション】

由紀さおりが米国のジャズオーケストラ“ピンク・マルティーニ”とコラボレーションしたアルバム『1969』は
昨年、世界20ヵ国で発売され大ヒットとなった。iTunesの全米ジャズチャート1位、米国ビルボード誌のジャズチャート5位等々、大ブレイクした。
昨年10月17日にはロンドンの『ロイヤル・アルバート・ホール』で開かれたピンク・マルティーニのコンサートにも出演。
英国のBBCが中継した映像は、日本のテレビでもニュースとして伝えられた。
時ならぬ「由紀さおり」の大ブレイクに、多くの日本人は驚き、そして心を躍らせた。

私もその1人だったが、同時に、抑えがたい疑問がわき上がった。アルバム『1969』は1曲を除き、すべて日本語で歌われている。
ピンク・マルティーニがジャズオーケストラだから『1969』は当然のように“ジャズ”に分類されているが、
1969年当時の日本の音楽風景を知っている人間が聴けば、誰が聴いてもそのアルバムは“歌謡曲”である。
ピンク・マルティーニ風にアレンジされてはいるが、由紀さんが歌っているのは、150万枚の大ヒットとなった自身の
デビュー曲『夜明けのスキャット』や石田あゆみさんの『ブルーライトヨコハマ』、黛ジュンさんの『夕月』等々、
1969年当時にヒットしていた歌謡曲が大半だ。

つまり「由紀さおり」が「由紀さおり」のまま、突如として世界でブレイクしたのである。

なぜそんなことができたのだろうか。

一般的な解説によれば、ポートランドの古いレコードショップで『夜明けのスキャット』をジャケ買い(ジャケットだけを見て衝動的に買うこと)した
ピンク・マルティーニのリーダー、トーマス・ローダーデールに見出され、「由紀さおり」は一気にグローバルな存在へと
駆け上がったということになっている。シンデレラストーリーだ。

そこで思う。

そんなに調子よく物事が進むことがあるのだろうか。

「由紀さおり」という歌手を取材対象として調べてみると『1969』成功の背景には、自力で谷底から這い上がってきた
「由紀さおり」の凄みが見えてきた。確かにシンデレラストーリーに一脈通じる「運」の良さはある。
だが「運」を逃さず掴みとったのは「由紀さおり」自身であった。

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7月26日(木)

【鳴子ホテルのその後】

報道ステーション(テレビ朝日系22:54〜)で「東北に新拠点!トヨタの挑戦」の特集を放送した翌日、
宮城県の鳴子温泉郷に向かいました。残念ながら夏休み、ではありません。
BS日テレ『財部ビジネス研究所』でこれまで2度とりあげてきた鳴子ホテルの取材です。
経営破たんに陥り、事業再生ビジネスを手掛けるオリックス不動産の支援を得て、再建に取り組んできた老舗旅館です。
昨年11月には、見事、オリックス不動産から旅館の所有権を買戻すまでになりました。独り立ちしてから9か月。
いま鳴子ホテルはどうなっているのか。出演者全員で鳴子ホテルを訪ね、応援の気持ちを伝えつつ、
取材をさせていただきました。実際に行ってみてわかったことがありました。
鳴子ホテルの源泉は素晴らしく、それを管理するために6人の湯守りがいました。ここのお湯は天下一品
というだけのものがありました。

7月20日(金)

【お父様から送られた「5つの言葉」】

「『大義名分』(Empowerment)、『品性高潔』(気高く誇りを持つ)、『用意周到』(プロフェッショナル)、
『信念不抜』(GET THINGS DONE)、『一致団結』(チームとして成功を掴む)、これが楽天のブランドコンセプトです。
ネタを明かせば、これは当社が2005年にTBS株を取得し経営統合を提案したとき、
私の父(神戸大学名誉教授、元日本金融学会会長の三木谷良一氏)が『事を起こすには、
この5つが重要である』ということを紙に書いて送ってきたものです。」

「経営者の輪」で対談した楽天の三木谷浩史社長の言葉です。
楽天によるTBS買収は激しい攻防の末、楽天がTBS株をすべて売却するというかたちで決着。
楽天の全面的な敗退という結末になりましたが、そのさなかに父親が送ってきた「5つの言葉」。
それが現在の楽天の企業理念になっているというのです。
オフィシャルホームページ「経営者の輪」、ご覧ください。

7月17日(火)

【トヨタが東北復興にかける思い、その本気度】

7月12日、仙台駅に近いウェスティンホテル仙台2階の宴会場では、トヨタ自動車にとって
国内第三の生産拠点となるトヨタ自動車東日本の設立記念式典が開かれた。
あいにくの雨模様となったが、会場は背広姿の男たちの熱気に包まれていた。

トヨタが本格的な生産拠点を作るというのだから、地元が活気付かぬはずがない。
だが、それにしても、この設立記念式典の賑わいには特別なものがあった。式次第が始まる前から、
会場に笑顔があふれていたからだ。中高年のおじさんたちが、嬉しくしてしかないといった風情だった。

仙台は復興バブルで、日本全国の地方都市が羨むほどの好景気に包まれている。
建設業を中心にとにかく仙台にはカネが集まり、足元の景気は絶好調だ。
ただし、バブル景気が長続きしないことくらい、手堅い東北の人々は明確に認識しているのだろう。
浮利に酔いしれるよりも、日本製造業の4番バッター、トヨタの東北進出こそ“復興のど真ん中”であると感じている。
その手ごたえが、笑顔となって会場にあふれたのだ。

トヨタ自動車東日本はトヨタ車の生産子会社、セントラル自動車と関東自動車工業、
部品製造子会社のトヨタ自動車東北の3社が合併して、7月1日に誕生した。
形式的にはトヨタ自動車が全額出資する子会社という体裁で、本社のある愛知県、
アジアへの輸出基地である福岡県、に続くトヨタにとって国内第3の製造拠点となる。

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7月12日(木)

【ロンドン五輪、日本マラソン勢に対する瀬古説】

7月8日にオンエアーされた「財部ビジネス研究所」(BS日テレ日曜9:00)は「オリンピックとスポーツ支援」と題して、
伝説のマラソンランナー瀬古利彦氏をスタジオにお招きしてお話をうかがいました(7月22日に再放送があります)。
瀬古さんとのやりとりのなかで「なぜ日本は女子マラソンは強く、男子マラソンは弱いのか」と尋ねた時、
瀬古さんが面白い返事をしていました。
「女子は競技人口が少ないからです。世界の女子マラソンランナーの半分近くは日本人。だから強かったが、
アフリカ勢が増えてきて、日本女子のレベルは落ちてきている。ロンドン大会も厳しいが、次の五輪ではさらにきつくなる」
競技人口という切り口で日本のマラソンを考えたことは一度もなく、妙に新鮮なお話でした。
バルセロナで銀メダル、アトランタで銅メダルの有森裕子さん。シドニーで金メダル高橋直子さん、アテネで金メダルの野口みずきさん。
輝かしい女子マラソンも北京ではメダルゼロ。競技人口激増中で、ロンドン五輪も日本人選手にとって厳しい状況のようですが、
瀬古説を裏切り、女子マラソンではメダルを取って欲しいものです。

7月5日(木)

【混迷の度が深まる政局】

衆議院で消費増税法案が可決され、小沢一郎とその一派が離党した直後に、
自民党の有力議員と話をする機会がありました。「今後の政局はどうなるのか?」という私の問いかけに、
その自民党議員は、珍しく、暗い表情を作りながら語りました。
「増税法案採決で民主党が手間取っていたところが、解散に追い込む最後のチャンスだった。
今の自民党執行部は本当に甘い。衆院の会期延長も想定外の長さ。選挙は秋から年末にかけてだろう。
そこまで待つと、大阪維新も準備が整う。おそらくみんなの党と連携するだろう。
一方自民はいまの形勢だと、谷垣総裁のままでいくか、新たに石原伸晃を総裁に担ぐか。
この2択だろう。これでは勝てないよね」。このストーリーが現実のものとなれば、
政治は目新しさこそ加わるものの、混迷の度をさらに深めていくということになりかねません。
こちらの表情も暗くなりがちですが、それはそれ。
自分のできることをしっかりとやっていこう、と気持ちを新たにしました。

7月3日(火)

【「今治タオル」復活にみる地場産業再生の道】

6月25日の朝日新聞が「巻き返す今治タオル」と題した記事を掲載した。

かつて愛媛県今治市周辺はタオルの産地として全国にその名を知られたが、廉価な中国産に押され、
今治タオルは存亡の危機にさらされてきた。

「生産量のピークは1991年の5万456トン。その後は安い中国産になどに押され、減少に次ぐ減少。
2009年には5分の1以下の9381トンに。76年に504社を数えた今治産地のメーカーは、7割強が倒産や廃業で姿を消した」

記事はそんな今治産地がブランド化をきっかけに、反転攻勢に転じたと伝えている。

06年に国の補助金を受け、11項目にもわたる独自の品質基準をクリアした認定商品にだけ
「今治タオル」の統一ブランドマークの使用を許可。
また「品質を維持するために10万枚ごとにサンプル検査をする」という念の入れようだ。
さらに、ふんわり柔らかい今治タオルならではのハイクオリティを受け入れてくれる東京都心の
流行スポットへの進出にも勢いがでてきたという。

日本各地で伝統的な地場産業が壊滅の危機に瀕しているなかで、地場産業復活の見事なお手本をレポートした
秀逸な記事だったが、記事の後段に、私のある記憶を呼び覚ます記述があった。

「業界団体はかつて、急増する中国産タオルの輸入を制限してもらおうと、
国に緊急輸入制限措置(セーフガード)を申請したが、発動されなかった経緯がある。
平尾理事長は『背水の陣の危機感でライバルメーカーが一致結束して産地再興へ知恵を絞った、
自由な競争下で鍛えられた』と振り返る」

この2001年から2003年ほどのあいだ、産地は繰り返しセーフガードの発動要請をしたが、政府は認めなかった。
そして私自身もあるテレビ番組で「セーフガードの要請に尽力するよりも、品質で勝負する新しいビジネスモデル構築に
血道をあげるべきだ」といった趣旨の発言をした。この発言に、四国タオル工業組合の関係者から猛抗議がきた。

苛烈な現実も知らずに無責任なことを言うなといった内容だったと記憶している。
だが結果的には、一時凌ぎにもならぬセーフガードに拘泥することをやめ、必死に生き残りをかけて
産地の産業構造全体を変えてしまうイノベーションを起こすにいたった。
巻き返しはまだ始まったばかりだが「今治タオル」のブランド力はかつてとは比較にならぬ存在感を発揮している。

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6月28日(木)

【「経営者の輪」という繋がり】

私のオフィシャルサイト上で展開している「経営者の輪」が時間を追うごとにさらに充実してきました。
大きく業態変化を起こしながら収益を拡大させてきた三越伊勢丹ホールディングスはローソンと並んで、
私の注目企業ですが、同ホールディングスの大西洋社長との最初の出会いも「経営者の輪(SEASON3)」でした。
三陽商会の杉浦昌彦社長からのご紹介からすべてが始まりました。
これまで御縁がありそうでなかった楽天の三木谷浩史社長ともお目にかかりました。
今話題の「社内英語化」やグローバル展開、さらにはTBS買収時に父親からもらった言葉が楽天の企業理念に
なっているといったエピソードもありました。アップされるのは7月中旬の予定です。
大西洋社長から続く岡本硝子の岡本毅社長、その次のアドバネクスの加藤雄一社長のお二人にも
興味深いお話をしていただきました。
お時間のあるときに、是非、ご覧ください。

6月21日(木)

【マラソンブームと世界のレベル】

 ロンドン五輪開催まであと一カ月ちょっとになりました。
「財部ビジネス研 究所」(BS日テレ日曜9:00)でも五輪を意識しながら「スポーツと企業」と いうテーマで番組作りをし、
瀬古利彦さんと対談をする機会がありました。 日本を代表するマラソンランナーだった瀬古さんですが、
「瀬古」と言えば 「SB食品」と中高年世代はすりこまれています。その広告効果たるやすごいものがあります。
瀬古さんは4年前にSB食品陸上部の監督を退き、現在は同社のスポーツ推進局長をしながら、
マラソンや駅伝の解説をしています。ストイックそのものだった現役時代とはうってかわり、
最近はおちゃらけキャラがすっかり定着してしまいました。きちんとした対談が成立するのかと一抹の不安もありましたが、
大丈夫でした。対談収録後にロンドン五輪のマラソンについて尋ねてみると、残念ながら男女ともに、
瀬古さんは悲観的でした。日本はかつてないマラソンブームだというのに、世界のレベルからは引き離される一方だと言います。
瀬古さんの見立てがはずれることを願いつつ、ロンドン五輪のマラソン観戦をしようと思っています。

6月14日(木)

【消費増税法案のゆくえ】

先日、自民党の大物議員と財務省幹部と3人で話をする機会がありました。
財務省幹部は消費増税をめぐる自民党内の様子をうかがうのに必死でした。自民党大物議員によれば、
与野党の修正協議を進めている実務者たちは、民主も自民も公明も、いずれも増税に前のめりになっているとのこと。
一方、党内はいずれも増税反対派が多数を占めているとのこと。したがって与野党修正協議が進展したとしても、
消費増税案の「採決はない」という見立てでした。
しかし財務省幹部によれば「野田総理は民主党空中分解でも採決すると腹をくくっている」ため、
自民党は必ず採決に応じて民主党分裂、解散総選挙を促すはずだという希望的観測を語っていました。
政治は漂流するばかりです。いったいどこに向かっているのか。辿り着く 先がどこなのか。皆目見当がつかぬというありさまです。
しかし野田総理 の消費増税の覚悟は相当なもので、採決なし、解散なしで問題先送りとい う状況も想定しかねます。
いずれにしても今後の政局、現時点では五里霧中です。

6月11日(月)

【都心オフィスビル市場「年内に底入れ」は本当か?】

復興特需による景気回復シナリオを実感させるようなGDP統計が発表された。

6月8日に内閣府が発表した1〜3月期のGDP2次速報値は、物価変動の影響を除いた実質で
前期比1.2%増となった。5月に発表された1次速報値1.0%から0.2%上方修正された格好だ。
年率に換算するとじつに4.7%増となる。超円高や欧州の金融危機など、不安材料だらけのさなか、
国内景気は回復に向かっているのではないかという期待感を抱かせる。

景気と密接に連動する東京都内の不動産市場にも、明るいニュースが出始めてきた。
たとえば5月25日の日本経済新聞には米国の投資銀行ゴールドマン・サックスが日本の不動産投資を
再開するという記事が掲載された。

「海外投資家が日本の不動産への投資を拡大する。米ゴールドマン・サックスは2008年の金融危機以降、
4年ぶりに日本の不動産投資を再開する。今夏に専用 のファンドを立ち上げて年金基金などから資金を募り、
都心のオフィスビルなどに投資する。
投資額は千億円にのぼる見通しだ」

07年以降、都心のオフィスビルの賃料の下落率が4割弱に達していることや、企業業績の回復などを背景に、
今年後半の底入れ期待が高まり、海外勢の不動産投資が始まったと記事は解説している。

実際、私の事務所がある東京港区の神谷町周辺だけをみても、じつは超高層ビルの建設ラッシュが起きている。
そこで都内のオフィスビル事情に精通している人たちに取材をしてみると、惨憺たる姿が浮かび上がってきた。

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6月07日(木)

【大ヒットCMの仕掛け人】

くどいようですが、6月10日(日)の「財部ビジネス研究所」(BS日テレ 9:00am〜放送)は、
大ヒットCMを連発しているエステーの特命宣伝部長、鹿毛康司(かげこうじ)氏をゲストにお迎えします。
じつは5月24日の収録が終わった直後、鹿毛さんから意表をつく質問を受けました。
端的に言えば私の「基礎的な収入基盤は何か?」というお尋ねでした。
初対面の方からこの手の質問を受けることはまずありえず、少々面食らいました。
面白いのは私が答える前に「やはり講演会のようなものですか」とおっしゃるので、「まあ、そうですね」とやりすごしました。
すると鹿毛さんは、どこか遠く見るような目で、深く頷きました。
以前から心のどこかにひっかかっていたものが、 すっと消えたかのような表情でした。
その晩、鹿毛さんからのメールを見て、得心しました。鹿毛さんは雪印 を退社する時に、
「フリージャーナリスト」がひとつの選択肢だったとのこ とでした。
いろいろ考えたのでしょう。その記憶が、意表をつく問いかけになったのだと理解しました。
6月10日(日)(BS日テレ9:00am〜放送)の「財部ビジネス研究所」をぜひご覧ください。

5月31日(木)

【美味しい料理とダイエット】

先日、渋谷からそう遠くない池尻大橋にある「オステリア・イルドラゴ」というイタリアンレストランで食事をしました。
30代の若いご夫婦二人でやっているお店ですが、北イタリアで修業を積んだシェフの実力は相当のもので、
じつに美味しい料理がでてきます。
奥さんはソムリエ。
そもそもは私の事務所がある港区神谷町のイタリアンで働いていたシェフが結婚と同時に独立、開業しました。
以来、応援団となり、便利のいいロケーションではありませんが、時々、知人を誘ってはおじゃまをしています。
このご夫婦はふたりとも気立てが良く、その温かい人柄が、ほんわかとした空気感を店内に醸し出しているのですが、
ほんわかとしている分、2人ともややウェイトオーバーだったのですが、しばらくぶりに会ってみたらい、かなりスリムになっており、びっくり。
どんなダイエットをしたのかと尋ねてみれば、就寝2時間前には一切モノを食べない、ことだけとのこと。
それだけご主人は4カ月で7キロ、奥さんは4キロ、ウェイトダウンだそうです。羨ましい限りです。
ちなみに私はいま、ロングブレスト・ダイエットにはまっています。
2週間ほど経過しましたが、現時点では効果らしい効果は一切ありません。

5月31日(木)

【外国の銀行に儲けだけを吸い取られる、日本の地域金融機関の不甲斐なさ】

「こんな馬鹿げたことがあっていいわけがない」

 バンコクで会ったメガバンクの駐在員は日本の地域金融機関に憤慨していた。

 「タイ進出を決めた日本の中小企業に融資をするのはタイの銀行で、なんと地銀や信金はその信用保証をさせられています。
タイからの企業誘致話に乗せられて、日本企業が失敗しても損はすべてその企業と信用保証した地銀、信金が負うという仕掛け。
なぜこんなばかげた話に乗ってしまうのでしょうか」

メガバンクと地域金融機関とはそもそも利害が対立する場面が多い。地元企業を育成して有望株に育ってくると、
まるで鳶に油揚げをかすめ取られてしまうかのように、メガバンクに“メインバンク”の地位を奪われてしまうことも珍しくない。

だがメガバンクへの不信感がいくら強いからといっても、やらずぶったくりのようなタイの融資案件に飛びついてしまう危うさは看過できない。

技術やノウハウを持った日本の中小企業を誘致して、タイの金融機関でバーツを調達(融資を受ける)させ、
タイ国内で工場を建設させて、タイ人を雇用させる。最終的にこの企業がタイの事業に失敗し、
返済不能に陥ってもタイの銀行は痛くもかゆくもない。
日本の金融機関が債務保証しているから、とりっぱぐれがないのだ。

この美味しいスキームを片手に、タイの銀行は日本全国を営業しているという。

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5月24日(木)

【サラリーマンの劇的な出会い】

5月23日に「財部ビジネス研究所」(BS日テレ)の収録があり、ポルトガルの少年ミゲル君が
「ショーシューリーキー♪」と熱唱するCMで、CM高感度ナンバーワンに輝いたエステー株式会社の
宣伝部長、鹿毛康司(かげこうじ)さんにおいでいただきました。
鹿毛さんは2000年に雪印乳業が引き起こした食中毒事件の際に、最前線で顧客対応を指揮した人物です。
その直後、今度は子会社の雪印食品が牛肉偽装事件を起こし、雪印乳業が存亡の危機に立たされた時にも、
社員の先頭に立って社内改革を訴えた方でもあります。その鹿毛さんが、なぜエステーに転職をしたのか。
そこにはエステーの鈴木喬会長(当時社長)との劇的な出会いがありました。
サラリーマンの世界でもこんな出会いがあるのかと、驚嘆したしだいです。
6月10日(日)9:00〜の放送予定です。ぜひご覧ください。

5月22日(火)

【コンビニは第2の成長期に突入 “カット野菜”の進化が示すローソンの未来】

ローソン社長、新浪剛は久しぶりに強い手ごたえを感じている。
2011年度の小売業界の好決算に気づいていない人には、頓珍漢なほどに、違和感のあるコメントに違いない。

ついこのあいだまで、百貨店やスーパーマーケットなどの流通業界は十数年以上も、毎年、売上を減らしてきた。
たしかにコンビニ業界は、長期低迷を続けてきた流通業界のなかでは優等生で、
百貨店やスーパーマーケットとの比較で言えば、それなりの業績を残してきた。
ところが今年の2月、3月決算で、流通業界に“異変”が起きた。
15年連続減収からついに抜け出す百貨店が現れてきたのだ。
三越伊勢丹にいたっては、国内全店黒字という快挙を達成。
スーパーマーケット業界の二大勢力、イトーヨーカドーとイオンがともに史上最高利益を更新した。

まさにV字回復を実現した流通業界だが、そのなかにあってもローソンを率いる新浪の鼻息は荒い。
時間軸を輪切りにして、今年は史上最高決算が達成できたと喜ぶわけではなく、
長い歴史のなかでコンビニ業界は「第2の成長期」に突入したというのだから、驚いてしまう。

そもそもコンビニ業界にとって黄金期は1980年代後半のバブル経済時代だった。
とにかく店を出せば売上も利益も伸びる。
出店競争をしながら、コンビニ業界全体が急成長した。
ここが第一次成長期だった。
バブル崩壊後もコンビニは加盟店の拡大に走り続けたもののしだいに失速。
新浪に言わせれば「2000年前後にコンビニは停滞期にはいった」という。

「第一次成長期のコンビニは、小さな店舗スペースにどんな商品を並べるのがいいのか、
次から次へと面白いチャレンジをしながら、コンビニという新しい業態を創り出していた時代でした。
ところがある程度完成してきたところで、今度は成長するために店の数を増やすことにばかり注力し始めた。
出店競争でコンビニどうしの食い合いになってしまった。
ところがここにきてコンビニは第二次成長期を迎えている」

もちろん突如として「第2の成長期」がやってきたわけではない。

5月18日に報道ステーションでローソンの特集を放送し、その取材過程で、
社長の新浪の話を東京大崎にある本社の社長室や恵比寿にあるローソンの店舗で、
じっくりと聞くことができた。

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5月21日(月)

【ITバブル再燃の米国に日本が学ぶべきこと】

ギリシャ政局の混乱とスペインの金融不安の高まりで、多少の落ち着きを取り戻していた欧州危機が
再燃したことに加えて、中国景気の減速懸念が高まりつつある。こうした不安に欧州危機をかろうじて
支えてきた世界経済への見通しの明るさまでかき消されかけてきた。それが世界同時同時株安の背景だ。

史上最大の新規公開

5月18日、滅入るばかりの投資家の気分を一気に高揚感へと転じさせる超特大IPO(新規株式公開)が
米国ナスダック市場で実現した。

Facebookの上場だ。

実名を使用する世界最大の交流サイト(SNS)運営企業の上場への期待感は強く、
当初は1ドル34ドルと公表されていた売り出し価格が、あまりにも引き合いが強かったことから、
急きょ38ドルに引き上げられた。

公開時にはいったいどんな値がつくのか。世界中の投資家の耳目を釘づけにしたが、
上場初日のFacebookの株価は拍子抜けするものだった。

取引開始直後についた初値は42.05ドル。売り出し価格の38ドルを10%ちょっと上回るだけにとどまった。
午後4時の終値は38.2ドル。売出し価格をかろうじて上回って引けた。

それでもFacebookの時価総額は初日の終値で約1046億ドル。日本の株式市場に置き換えてみると、
Facebookの時価総額は上場と同時に、トヨタに次ぐ第2位の規模になる。従業員数32万人のトヨタと3000人ほどのFacebook。
雇用と所得を守ることを社会的責任と考えてきた日本企業的な価値観からすると、Facebookの時価総額を正視すると、
なんとも複雑な気分に陥る日本人が少なくないのではないか。

Facebook上場、いったいどのように受け止めたらいいのだろう。

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5月17日(木)

【ネガティブなニュースばかりではない】

まだ統計的な裏づけをとったわけではなく、あくまでも私の生活圏における変化にすぎませんが、
東京都心部ではちょっとした建設ブームが起こってきたようです。
池尻大橋近くで、30台ほどが収容可能だった駐車場で突然姿を消して、ビル建設が始まりました。
最近はあまり行きませんが、六本木5丁目にある「第一神宮(麻布店)」という焼肉屋の目の前にあった
駐車場(収容台数12台ほど)も忽然と姿を消し、工事が始まりました。
5月17日の内閣府発表によれば、今年の1月〜3月のGDPは年率4.1%となり、3期連続でプラスになりました。
政治の混乱や原発再稼動問題、さらには欧州金融危機再燃リスクなど、
ネガティブになるようなニュースばかりが続いていますが、日本国内の足元の景気は存外良くなっているのかもしれません。
いずれにしても東京都内の不動産事情、きちんと調べてみようと思っています。

5月10日(木)

【コンビニ、カット野菜の進化】

ゴールデンウィーク明けの最初の仕事は北関東で広く野菜の生産と大規模な野菜工場を展開している富士食品工業の取材でした。
じつはこの会社、もやしの生産日本一。
全国のデパート、スーパーマーケット、コンビニ各社等々、食品流通に関わる人たちの間では大変に有名な会社です。
長さ100メートルに及ぶ巨大な栽培エリアから、収穫期を迎えたもやしが加工エリアに巨大パレットごと自動搬送され、
洗浄、カット、袋詰め等のプロセスを経て、その日の内に関東地方の小売店に届けられるという仕組みです。
もっとも私が取材したのはもやしではなく、レタスやキャベツなどのカット野菜。
隙のない本格的な土作りから野菜作りを始める富士食品のレタスは驚くほどのシャキシャキ感と甘さ。
それがカット野菜としてコンビニの店舗に並んでいるのです。
コンビニのカット野菜など、品質を求める対象ではないと思い込んでいた私の誤りでした。

5月18日(金)の『報道ステーション』の特集内で富士食品の様子、ご覧いただけると思います。

4月27日(金)

【原発再稼動の前に責任者の総入れ替えを】

30年で脱原発が私の持論である。
しかしこの先、10年、20年原発ゼロで日本の電力需給がバランスしていくとはとうてい思っていない。
火力、原子力、水力、再生可能エネルギーとのベストミックスを探りながら、
原発依存度の低下をはかる以外に現実的な選択肢はないと考えている。
したがって原発再稼働についても現実的な議論を期待する人間の一人だ。

だが福井県の大飯発電所の原発再稼働には賛意の表明などとうていできるものではない。

民主党政府、原子力安全委員会、電力会社、原発の安全に対して責任を負うべき組織が
国民からの信頼を完膚なきまで失ってしまったからだ。
原発それ自体の危うさもさることながら、原発を直接、間接に管理する組織が全く信用を失ってしまった。

これはもう「とりつけ騒ぎ」だ。

銀行が寄って立つ基盤はおどろくほど脆弱で「危ないらしい」という噂ひとつであっという間に倒産してしまう。
銀行の支店には大量の現金が置いているわけではなく、
一刻も早く自分の預金を引き出したいと人々が大挙してやってきただけで、その銀行は破綻だ。

噂の火はまたたく間に広がり、金融庁や日銀が何を言おうが、ましてや当該銀行の経営者が何を訴えようと、
パニックに陥った預金者の耳には、いかなる真実も、いかなる論理も通じない。

「あの銀行がつぶれるはずがない」という曖昧な思い込み。それが信用だ。
実態がないだけに、ひとたび崩れると信用はパニックに変質する。

原発問題はあきらかに「とりつけ騒ぎ」状態に陥っている。
誰が、何を言おうと、一切信用できないというのが今の現実だ。

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4月20日(金)

【脱不動産業はなるか、三越伊勢丹が3月決算で全店黒字化へ】

三越伊勢丹ホールディングスはこの3月決算で営業利益が前期比2倍の220億円となり、
08年に経営統合後の最高益になりそうだ。
1%とわずかだが増収となり、売上高予想も210億円上方修正されて1兆2350億円になった。

百貨店はデフレ経済のダメージをもろにこうむった被害者という一面もあるが、
業界全体で15年連続の売り上げ減少に歯止めがかけられなかった本当の背景は、
テナントへの「場所貸し」というカビの生えた不動産業態から抜け出せなかったことに尽きる。
同社の大西洋社長は、この不動産業体質からの脱却なしに百貨店の未来もなしと考えている。

大西社長が百貨店の収益モデルをわかりやすく解説してくれた。
「百貨店の仕入れには4つのパターンがある」

第1はブランドにスペースを貸して家賃をもらうパターン。
仕入れにも在庫にも一切関与しない、まさに場所貸し業。

第2はブランドと協力して店舗展開するが、百貨店は一切在庫負担を負わないパターン。
場所貸しに限りなく近い。

第3は商品の発注にも百貨店が関与するかわりに、商品在庫も百貨店がある程度持つというパターン。
ただし、最終的に残った在庫はブランド持ち。

第4は百貨店がすべて発注、在庫リスクも全部百貨店がもつパターン。

「全国の百貨店はそれぞれに特徴のある経営をしていますが、
全体の8割から9割近くが第1から第3までのパターンになっています」と大西社長は言う。

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4月20日(金)

【組織への宮仕えか自分自身で人生を描くか】

人事の季節を迎え、大企業に勤める友人、知人から「執行役員になった」「理事になった」「常務になった」といった連絡があり、
大いに喜ぶ一方、昇進が適わなかった知人たちからは連絡が途絶えます。
50代半ば、まだまだ人生これからだというのに、サラリーマン人生は最終コーナーです。
複雑な気持ちになります。
一般論としては、いまだに役人の天下り問題が話題になりますが、
定年まで残り6、7年になった知人の外務官僚は、人事をあつかう官房から「再就職先の斡旋はない。
自分の力で探すように」と既に通告されているとのこと。
安定した組織への宮仕えは人生のリスクを軽減してくれますが、遅かれ早かれ「定年」によって強制的に終止符を打たれます。
対照的にオーナー経営者は多大なるリスクにさらされ、苦闘の連続ですが、力さえあれば、自分の人生は自分自身で描けます。
どちらがいいのか。人それぞれなのでしょうね。

4月11日(水)

【ミャンマーの街は日本製中古車だらけ! 激動の国でトヨタ、大和証券が存在感を増す理由】

国際社会に対する米国の影響力はリーマンショック以後、加速度的に低下してきた。
だが腐っても鯛というべきか。
昨年12月のヒラリー・クリントン国務長官の訪問をきっかけに、
過去20年間欧米からの経済制裁を受けてきたミャンマーの国情は一変した。

国際社会における中国の存在が巨大になるなか、中国封じ込めに躍起になる米国と、
中国への過大な経済依存から抜け出したいミャンマーとの利害が一致した。
しかしその背景には、2011年にミャンマー軍事政権が突如として政治改革に舵を切った事実があった。

もちろん多くの日本人にとっては、ミャンマーの軍事政権による自主的な政治改革など、にわかに信じられる話ではない。
日本でミャンマーといえば、カダフィーのリビアとなんらかわらぬ軍事独裁国家としか描かれてこなかったからだ。
軍事政権はやること成すことすべてが悪の所行で、逆にアウン・サン・スー・チー女史は、
思惑一杯の取り巻きも含めてすべてが善として扱われてきた。

たしかに20年前の総選挙で、アウン・サン・スー・チー率いるNDLが大勝した選挙を破棄し、
彼女を軟禁し、その政治活動を封殺してきた軍事政権は民主主義の敵以外の何者でもなかった。
また日本人にとっては、07年に取材中の日本人ジャーナリストが治安部隊に射殺された事件も脳裏を離れない。
多くの日本人がミャンマーを悪逆非道の軍事政権とみなし、忌み嫌ってきたのも仕方のないことだった。

だが、事実としてミャンマーの政治状況に変化は起きている。

東南アジア事情に詳しい米国外交評議会のジョシュア・クランジックによれば、
政治犯釈放や4月の選挙(アウン・サン・スー・チーが当選を果たした補欠選挙)実施など、
その激変ぶりに「ミャンマー国内はもちろん米国政府内でも戸惑いが広がっている」という。

「この急激な変化は(ミャンマー)国内の政治活動家の多くを驚かせている、
アメリカの政府高官たちでさえ、わずか、1年前は、ミャンマーの将軍たちが自発的に権力を手放すことはあり得ないと見ていた」
(『フォーリン・アフェアーズ・レポート』2012年NO.3)

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4月4日(水)

【定時運行への慣れ】

4月4日(水)、11:08発のやまびこ135号で仙台に向かう予定でしたが、
今週日本列島を襲った暴風雨が東北地方に停滞しており、東北新幹線は動いていません。
運行停止の原因は線路上の倒木です。
撤去し13:00には運行再開とのことでしたが、倒木は撤去されたものの、
今度は農業用のビニールが架線に巻き付いていることが発覚。
ただいま13:00ですが、まだ再開のアナウンスはありません。
幸いなことに、今日は時間的に余裕があったため、致命的なことにはなっていませんが、
定時運行に慣れてしまうと、事故に対する耐性がなくなってしまいますね。
ゆっくりランチの弁当を食べ、この財部ジャーナルを書き、大幅遅れのストレスを頭から排除し、のんびりやっています。

3月30日(金)

【シャープ・鴻海提携の内幕を読む、日台協業で韓国勢に一矢報いられるか】

今は亡きスティーブ・ジョブズが誰よりも頼りにし、
iPhoneやiPadの生産を全面的に託した相手は台湾のフォックスコン(富士康)である。
そのフォックスコンを傘下にもち、いまや世界中の電子、電機メーカーから生産委託される世界最大のEMSメーカー、
ホンハイ(鴻海精密工業)がシャープの筆頭株主に躍り出る。

突然のシャープ、ホンハイ資本提携のニュースに株式市場は敏感に反応した。
発表翌日の3月28日、東京証券取引所では取引開始前からシャープ株に買い注文が殺到。
取引終了時に、値幅制限の上限(ストップ高)となる前日比75円高の570円で、
買い注文の株数に応じた比例配分によってようやく売買が成立した。
29日午前中の取引でも、ライバルメーカーの株価が値下がりする中、シャープ株には朝から買い注文が殺到。
わずか2日の間に467円から一時は619円まで暴騰した。

シャープといえば液晶テレビ。
液晶パネルの自社生産にこだわり、パネルからテレビの組み立てまでの一貫生産により
高品質・低価格を実現するのがシャープのビジネスモデルだった。
だが世界的なパネル価格の暴落で、テレビ事業をかかえる日本のエレクトロニクスメーカーは苦杯をなめ続け、
遂に今年度、巨額の赤字決算に追い込まれることになった。
パナソニック、ソニーとならび、シャープも2900億円の最終赤字に転落する見通しだ。

その背景にあるのがサムスン電子やLGなど韓国勢や台湾企業、中国企業が大規模投資を繰り返して続々とパネル工場を建設したことがある。
世界最先端であったはずの日本の技術優位も危うくなり、資本力に劣る日本メーカーは世界のパネル競争から瞬く間に脱落してしまった。

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3月15日(木)

【洪水被害から立ち直りつつあるタイ】

13日からタイへ視察にきています。
タイは大洪水の被害から立ち直りつつあります。
タイに投資をしている知人の経営者によれば「洪水対策を早急に立ち上げたことで、
インラック首相の支持率は急速に上がってきた」とのこと。
アユタヤの工業団地に新工場を建設、4月末には稼動予定だそうですが、
すでにタイ政府により工業団地の周囲には洪水対策として高さ6.5メートルの塀が作られています。
そんな大洪水後のタイのリアルな姿もしっかりと見てきたいと思います。

3月9日(金)

【被災地に必要なのは復旧への成功事例、報道機関はその姿勢を問い直せ】

3.11から1年、被災地に対するメディアの関心が急速に高まっている。
おそらくこれから先何年もメディアは3.11を年中行事に見立て、思い出したように被災者の不幸をこれみよがしに伝え、
しばらしくしたら忘れてしまうということを繰り返していくのだろう。

昨年10月、福島のスパリゾート・ハワイアンズを取材した折に、
地元のフリーカメラマンが仕事の激減ぶりを嘆いていた。

「テレビの仕事が急速に減った。『“震災もの”は数字(視聴率)がとれない』で片付けられてしまう」

“震災もの”という表現自体に怒りを覚えるが、震災からわずか半年で震災報道への関心も、
また関心を高めようという制作サイドの意欲も減退していたというのが実態だった。

だが3.11が近づいてくると、事情は一変。朝から晩まで“震災もの”だ。

被災地の復興は1年、2年ですむ話ではない。
5年、10年という途方もない長い時間をかけながら一歩ずつ積み上げていくほかない。
その過酷な作業にどれだけ親身になって寄り添っていけるのか。

報道に責任というものがあるとすれば、被災地の現実を誇張なく、正確に世の中に伝えていくことではないのか。
震災1年の節目だからといって、悲劇的な映像を繰り返し流し続け、
被災者の不幸を露出することにしか興味を持てない報道姿勢には怒りを禁じえない。

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3月1日(木)

【ファーストステップは常に「株高」】

日銀がインフレ目標を1%と明確に掲げた2月14日を境に、為替は1ドル80円台まで円安になり、
日経平均は9000円前後から9800円台まで急上昇しました。
ある地方銀行の経営者は「3月決算を目前にしたところでの株高、決算が劇的に良くなる」と喜んでいました。
保有株の含み損が一気に激減し、決算内容が大きく好転するからです。
「日銀の金融緩和が2月でなく、決算後の4月あたりだったら事情がまったく違っていました。
本当に決算前によくやってくれました」と安堵の表情を見せていました。
景気回復のファーストステップは常に「株高」です。
先行きの良さを株価が先取りするという考え方もありますが、
株高は企業の決算にも、個人の消費意欲にも、きわめて大きな効果を発揮します。
もちろんこれですべて解決したわけでは当然ありません。
日銀にはさらなる量的緩和に踏み込み、円安―株高の流れを作ってほしいものす。

2月27日(月)

【労務費高騰で進まぬ被災地の復旧工事、反社会勢力の跋扈も】

被災地の復旧工事が思わぬところで頓挫している。
土木工事業者が初めから入札に参加しなかったり、入札が成立しないことを前提とした低価格で応札したりといった事態となり、
県や市が発注する土木工事の4割前後、所によっては5割が入札不調となり、復旧工事そのものが宙に浮いてしまっている。

臨時作業員の手間賃は3〜5倍に

なぜ、そんな事態に陥っているのか。

一般的な解説は単純だ。
人件費と資材の急騰で、落札して工事をしても、赤字になってしまうから、だという。
確かに被災地では臨時作業員の手間賃が異常に値上がりしている。
石巻の土木工事業者によれば、「通常なら1日1万2000円程度の手間賃が3倍〜5倍になっている」。
3倍なら3万6000円。4倍なら4万8000円。そして5倍ならなんと1日で6万円の手間賃になる。

いくら過酷な仕事とはいえ、こんなに美味しい仕事は滅多にあるものではない。
だから反社会勢力が大挙して被災地に押し寄せている。
人手不足に悩む地元建設業者に他の地域で調達してきた労働者を派遣しようというものだ。
もちろん、手間賃の一部は彼らが吸収してしまう。
その誘いに乗らない限りは工事を実施できないほど、現地では人手不足が深刻化している。

被災地復旧のスピードアップは被災者のみならず、多くの国民が望むところであり、3次補正で巨額の復興予算もついた。
宮城県の2012年度の予算は昨年の2倍にあたる1兆6000億円だ。
復旧工事のペースが加速して当然なのに、工事現場にはあり得ない停滞感が漂っている。

それにしても、なぜ土木工事の手間賃がここまで高騰してしまったのだろうか。
人件費は当然のことながら需給の影響を強く受ける。
人手が不足すれば人件費は上昇し、人手が余れば人件費も下がる。
いま被災地で起きているのは、極度の人手不足だ。
その理由の一つに被災者のマインドがあるという。

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2月24日(金)

【家電メーカー全滅決算の読み方 】

エレクトロニクス業界の決算説明会は日本中の中小企業を震え上がらせた。

自動車とともに日本経済を支える二本柱であるエレクトロニクス業界の12年3月決算は巨額赤字や大規模な人員合理化など、
惨憺たるありさまとなったからだ。
震災、タイの大洪水、そして超円高等々、3月決算が絶望的な数字にならざるをえないことくらい、
製造に関わる人々であれば誰もが覚悟していた。
だが2月に入り、エレクトロニクスメーカー各社が続々と明らかにした2011年度決算は、
彼らの覚悟を切り裂き、恐怖を塗り込むものとなった。

数千億円規模の赤字が続々…
「軽電」と「重電」メーカーで明暗くっきり

ソニーは赤字幅を当初の900億円から2200億円へと大きく下方修正した。
これでソニーはなんと5年連続の赤字決算となる。
しかも2000億円を超える赤字が2年続くことになる。
ソニーの苦境は尋常ではない。

かつて「世界の亀山モデル」とまで言われた液晶テレビの覇者、シャープの落日ぶりも胸を突く。
昨年10月時点では60億円と予想されていたが、一転、2900億円もの赤字計上に追い込まれた。
大幅赤字の原因は言うまでもなく、テレビ事業の低迷と液晶パネル価格の暴落だ。

NECの大規模な人員削減も耳目を集めた。
2012年度の上半期中に、国内外で1万人を削減するという。
削減する1万人のうち正社員が5000人にのぼる。
NECグループの正社員総数11万人のうちの4.5%に相当するという厳しいものだ。
収益が厳しいから人員合理化が不可避となるが、人員合理化に伴う費用急増で収益はさらに下振れする。
NECは1万人削減に伴う費用として400億円の特別損失を計上。
最終利益は当初予想された150億円の黒字から、1000億円の赤字に転落する。

しかしなんといっても衝撃的だったのはパナソニックだ。
尼崎工場(兵庫県尼崎市)の薄型テレビ用パネル生産の一部停止、
人員削減の前倒しなどの構造改革にともなう莫大なコストが発生することを見込んで、
昨年10月末時点で、12年3月期は4300億円を越える巨額赤字になりそうだとの見通しが公けにされていた。
シャープやソニーの赤字を大幅に超える欠損が出るということだった。

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2月9日(木)

【政治センスが無さ過ぎる】

「民主党、鳩山元首相に『外交』、菅前首相に『新エネルギー』の政策を担当させる方針」というFNNのニュースに、
池田信夫氏がツイッターでつぶやいていました。「これブラックジョーク?」。至言ですね。

米軍再編と沖縄の負担軽減は、きわめて微妙なバランスの上で合意され、それでもその履行には困難が伴い続けてきたというのに、
鳩山政権が無根拠、お気軽に「最低でも県外移設」とぶちあげたところから、沖縄県の負担軽減問題は一気にバランスを崩し、
米国政府―日本政府―沖縄県の3者は「相互不信」の泥沼に陥りました。
その責めを全面的に負うべき鳩山氏をこのタイミングで外交政策に当たらせるという野田総理。
政治センスがなさすぎです。

2月2日(木)

【苦しい時に何をするか】

この10年、ライバル企業とは対照的に、思い切った改革が出来ぬまま、ついに1万人の従業員削減をするとNECが発表しました。
また東芝は当初の増益予想から一転、大幅な減益決算に追い込まれ、
業績不振のソニーは社長交代。
事業構造改革に大胆に踏みこむとはいえ、パナソニックも7800億円を超える巨額の赤字決算になります。
キヤノンは御手洗さんが社長復帰の怪。
たしかにメディアがいっせいに報じるように日本のエレクトロニクス業界は、アップルやサムスンとの比較で、惨敗です。
メイド・イン・ジャパン崩壊だとのそしりも免れない有様です。

しかし大切なことは「苦しい時に何をするか」です。
メイド・イン・ジャパンを放棄するのは簡単です。しかし世界で戦うためには、この厳しさのなかで答えを見つけていく以外ありません。

1月12日(木)

【『メイド・イン・ジャパン消滅』1月20日に出版されます】

1月20日、朝日新聞出版から『メイド・イン・ジャパン消滅』が出版されます。

日本における製造業の存在意義がいまほど問われている時代はありません。
日本人は誰もが気軽に自国の技術力を誇り、貿易立国日本を当たり前のものとして受け入れてきましたが、
大規模製造業の経営者の国内生産に対する執着は急速に減退しています。
製造業ではありませんが、日本を代表するグローバルカンパニーのひとつである日本郵船の宮原耕治会長は
「本気で本社の海外移転を考えなければならない時期が来た」と日経新聞の記者に語っていました。
私のオフィシャルサイトの『経営者の輪』にご登場いただいた折も、宮原会長は「シンガポールへの本社移転」に触れています。

ものごとを決められない政治からの脱却が絶望的な今、
自社の雇用をしっかりと守り抜くことを最大の価値と考える企業経営者が急増しています。
メイド・イン・ジャパンは消滅するのか、しないのか。
それを必死に考えなければならない時代の幕開けです。

1月11日(水)

【ローソンが国内外で攻勢、新浪社長「次の5年を第2の成長期」】

「これからの5年間はローソンにとって第2の成長期になる」

新春初のインタビューとなったローソン社長、新浪剛史氏は意気軒高だった。
一般的には猫も杓子も少子高齢化で日本の国内消費減少、小売業に明るい未来など描けるものかと悲観するが、
ローソンはこれから久方ぶりの成長期に突入する、と新浪氏は確信していた。

日本とアジアの両方で成長する

日本国内での成長を諦め、アジアの成長に期待するというわけではない。
日本国内でも、アジアでもローソンは成長期を迎えているというのだ。
たしかにローソンに限らずコンビニ業界の売り上げは好調だ。
2011年度第3四半期、各社は軒並み売上高が史上最高を記録した。
2010年10月にたばこ増税が実施された影響で、売上高の前年比伸び率が大きく出ていることを差し引いても、
売上高の増加は顕著だという。
その背景には、コンビニの姿そのものが大きく変化しているがある。

新浪氏は7年前の1月に、こんなことを言っていた。

「私が社長に就任した時はローソンの危機であった。
しかし今はコンビニ産業の危機である」

三菱商事を辞め、ローソンの社長に就任して4年目だった。
ローソンの経営がようやく軌道に乗り始めたと思っていたところに、
中食や外食など異業種との競合が激しくなり、小さくなっている胃袋の取り合いが始まり、
コンビニ産業全体が危機に直面するに至ったと新浪氏は認識していた。

その危機を打開するために、女性客を狙ったナチュラルローソンの拡大、
生鮮品を扱う「ストア100」の展開など、将来を見据えた事業展開を思い切りよく実行に移していた。
それは時期尚早だったのか、新事業を黒字化するにはそれ相応の時間が必要だったのか、
新浪氏が描いたきれいな絵柄通りには進まなかった。

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