財部誠一 HARVEYROAD JAPAN オフィシャルサイト
12月15日(木)

【内田裕子の新刊が発売されました】

このたび、長年の懸案であった内田裕子の出版がついに実現しました。
PHPビジネス新書『負けない投資』です。
資産を持たない若者を読者対象としていますが、投資の基本的な考え方を身につけるうえで役に立つ良書になりました。
もちろん資産をたくさんお持ちの方にも示唆するところ大だと思います。
それにしてもこれまで、内田さんは何度となく世界の経済危機に翻弄されてきました。
リーマンショックはその最たるものでした。
大きなリセッションがあると、投資そのものへの関心も薄れてしまいます。
しかし、今回、欧州危機も最悪のレベルに近づきつつあり、ゆったりとした長期投資を始めるには絶好のタイミングで出版ができたことはラッキーでした。
是非ご覧ください。

12月09日(金)

【日本財政破綻のXデーが2015年にやってくる!?】

イタリアの次はフランスが標的に。ドイツの双肩にかかるユーロ問題の解決

欧州の金融危機はギリシャ危機からついにヨーロッパの大国、イタリアに飛び火した。
欧州の銀行が保有しているギリシャ国債の50%を債権放棄させるという中途半端な問題先送りで決着をつけようとしたことが、
当然の如く、裏目にでた。
市場は冷徹だ。独仏のリーダーをあざ笑うかのように、市場の標的はギリシャからイタリアに移った。
11月末、イタリアの10年国債は大量に売り浴びせられ、金利は危険水域といわれる7%台まで一時は上昇。
小国ギリシャの破綻処理もできないのに、大国イタリアが財政破綻に追い込まれたら、万事休すだ。

事実、イタリア国債が暴落した瞬間、今度はフランス国債が標的にされた。
フランス最大の銀行であるBNPパリバや、ソシエテ・ジェネラルなど、フランスの主要銀行はイタリア国債を大量に保有している。
イタリアがこけると、フランスの金融システムが一瞬にして炎上する関係にある。

欧州危機の最後の砦、ドイツは悩ましい。
危機回避のためにEFSF(欧州金融安定化基金)が資金支援するといっても、実質的な担い手はドイツとフランス。
フランスの尻に火がついたいま、頼りになるのはドイツ一国だ。
だが当然のことながら、勤勉なドイツ国民は、これ以上自分たちの税金が欧州危機に費やされることに猛反発している。

こうなったらEU加盟国同士のやっかいなルールにとらわれない、EBC(欧州中央銀行)の出番となるのだが、
じつはEBCを実質的に形成しているのもドイツだ。
つまりドイツがどこまで踏み込んで資金を提供し、新しいEUの枠組みを作り直すか。
問題の行く末ははっきり見えてきた。

ユーロからギリシャを追い出すのか。

ドイツがユーロから脱退してマルクを復活させるのか。

それとも一度ユーロの通貨体制を解体した後に、新たに厳しい財政規律のルールを規定し、
それをクリアした国だけであらたなユーロを形成しなおすのか。

いずれにしても、欧州の高級官僚の作文だけではもうどうにもならない。
12月9日の欧州首脳会議がラストチャンスだろう。
いかなる決着が見いだせるのか。
ユーロの未来は、文字通り、メルケル独首相の双肩にかかっている。

ダイヤモンド・オンラインにも原稿アップしました。
続きは こちらからご覧下さい!

11月25日(金)

【TPPはまだ一里塚、日本はFTAPPを最終目標にすべし】

「TPPの議論で思うことがある。貿易技術立国でここまで発展してきた日本にとってTPPが国益を損なうとしたら日本は何をしたいのか。
議論の順序として環太平洋のTPP参加の前に、アジアの国々とのFTA・EPAを先行しろという議論なら分かる。
だが、そんな国家戦略を描いて、日本がアジアをリードしているわけでもない。
この国はいったいどこに向かって行きたいのだろうか」

コマツの坂根会長からメッセージ

こんな書き出しで始まる文章がコマツの坂根正弘会長から送られてきた。
私個人に送られてものではなく、コピーされているところをみると、
複数のメディア関係者に宛てて発信されたメッセージであることが分かる。

現地時間の11月12〜13日にホノルルで開催されたAPEC首脳会議で、
野田首相がTPPへの交渉参加表明をする直前に郵送されてきたものだ。
今や日本を代表するグローバル企業となったコマツの経営者は、
農業界や日本医師会などの規制業種からあがるTPP絶対反対の声に押され、
通商国家日本の未来図をいっこうに語ろうとしない政治家たちに業を煮やしているのだろう。

日本のTPP論議には重大な視点が欠落している。
先進国から新興国へと世界経済の成長エンジンが劇的に転換した時代にふさわしい
新たな通商ルールを確立しなければならないのが世界の現実。
それに対して日本人はあまりにも鈍感だ。世界貿易機関(WTO)が農業問題で機能不全に陥った後、
FTAやEPAなど勝手きままに2国間での自由化交渉が活発になっていった。
事実上、WTOが空洞化したのだ。

TPPはそれに嫌気がさしたシンガポールが近隣諸国に声をかけたのが始まり。
そこに米国が乗ってきたことで一躍注目を浴びた。
日本では米国の陰謀論を心配する声も少なくないが、
TPP問題の本質は21世紀の新しい自由貿易のルールを決めることに尽きる。

nikkeiBPnetにも原稿アップしました。
続きは こちらからご覧下さい!

11月14日(月)

【持続可能な農業の議論と農協の持続可能性の議論】

先日、久しぶりにツイッターでつぶやきました。

「私がこれまで取材した多くの農業生産者は例外なしにTPP推進を支持。
全農の会長は『TPPで農業が壊滅する』と煽るが、ヤル気のある生産者いわく『壊滅するのは農業ではなく農協だ』」

60件ほどの反応が即座に返ってきました。
それがじつに興味深い。
大賛成か猛反発か。
TPPの議論などとてもできる土壌ではありません。
持続可能な農業にいかに変えていくかという議論と、組織が生き残ること自体が自己目的化している農協の持続可能性の議論とは、
まったく違う話なのですが、それすら理解することなく猛反発する人々のなんと多いことでしょう。

11月07日(月)

【被災地企業を苦しめる2つの復興格差、政府は地域ニーズを真剣に受け止めよ】

「気仙沼はいま産業復興に生じてしまった2つの格差に苦しんでいる」

震災から8か月が過ぎようとしている気仙沼の菅原茂市長によると、スピードの感のない国の復興支援が、被災地に多くの格差を生じさせてしまったという。

被災地の企業で生じている復興格差

「一般的によく報じられる仮設住宅に入れるとか入れないといったような格差も大きな問題なんですが、これらは時間の経過とともに確実に解決に向かっていく種類の格差なんです。本当に深刻な格差は地元企業間の復興格差です」

菅原氏は1年半前に、民間人から市長に当選した。それだけに、産業再生への思いも強いし、甚大な津波被害をこうむった気仙沼の企業が再起していくことの難しさを誰よりも痛感している。

市長の頭を痛める企業間格差の元凶の一つは地盤沈下だ。震災で気仙沼の地盤は70センチ以上も沈み込んでしまったために、満潮時には町の3分の1ほどが冠水してしまう。

国の予算で一部盛り土もされてもいるが、それは道路だけで、住宅やビルなど民間所有の土地は一切手つかずのまま放置されている。気仙沼の沿岸地域から瓦礫の山や打ち上げられたままの船舶の姿はほとんど消えたけれど、被災し使えなくなった建物はそっくりそのまま残っている。

被災地によっては建物もすべて解体、処分され、さら地の状態まで復旧しているところもあるが、気仙沼の復旧速度はきわめて遅い。

nikkeiBPnetにも原稿アップしました。
続きは こちらからご覧下さい!

11月01日(火)

【大洪水をめぐる報道と現実のギャップ】

「タイの人々が尊敬してやまないプミポン国王の王宮だけは何がなんでも浸水させない」

タイ政府や国民の願いも叶わず、洪水はバンコク中心部にまで及び、
王宮ばかりか政府の対策本部を設置していた国際空港にまで及んでしまった。
なす術もなく、じわりじわりと流れだしてくる水の流れにすべてをゆだねるしかなかったというのが実情だろう。

だが日本国内にいると、タイの様子がじつにわかりにくい。
テレビ画面が伝える映像だけを見ていると、タイの製造業は壊滅してしまったかのような印象を受ける。

たしかにアユタヤに工場をもつホンダの工場は早々に冠水し、そのダメージははかりしれない。
3.11の震災時にもホンダは他社よりも甚大な被害をこうむっており、気の毒としかいいようのない不運が続いている。

タイの現地の声を聞くと、洪水被害からの完全復旧までには最低でも半年はかかるという見方が多い。
工場に浸水した水が引くのに1ヵ月。
それから工場内をくまなく清掃し、使用可能な機械があればメンテナンスをするが、
MCマシーンのようなコンピュータ制御の高性能機械は一度水没してしまうと使用不能になってしまうことが多い。
精密金型も水に浸れば錆つき、使い物にならなくなる。新たに調達するのに、どれだけの時間とコストがかかるか。

大変な作業ではあるが、ホンダのようなに資金力のある大企業であれば、半年ほどの工場停止にも耐えられる。
また日本のある精密機械メーカーは、500人ほどいるタイ人の社員を一時的に日本の工場で働いてもらうことを検討している。
日本は無理でも、タイの従業員を近隣諸国の工場ではしばらく働いてもらいながら、雇用を維持していくというのだ。

しかし中小企業となると事情が一変する。
生産停止のまま、半年間ものあいだ従業員をつなぎとめておくだけの体力を持った中小企業など滅多にあるものではない。

冠水をまぬがれたにもかかわらず心中おだやかではない「日産の事情」

タイの洪水被害を受けた自動車メーカーはホンダだけで、
「マーチ」の生産をタイに全面移管した日産のタイ工場は幸いにして冠水をまぬがれている。
だがその心中はおだやかではない。

ダイヤモンド・オンラインにも原稿アップしました。
続きは こちらからご覧下さい!

10月31日(月)

【農業は「政治」そのもの】

先日、報道ステーションで農業の特集を放送しました。
パン用小麦の自給率はわずか1%。
そこに風穴を開ける新品種「ゆめちから」が北海道で大きく花開こうとしている姿を追った特集でしたが、
非常に反響が大きく、農水省の幹部とも「ゆめちから」の件で会うことになりました。

いったいどんな規制緩和や支援策が必要なのか。
関係者にヒヤリングをして驚きました。
つまらない規制が多すぎます。
たとえば外観による等級分けです。
外観が黒っぽいとそれだけで格が下がります。
小麦粉にした時の品質とは無関係に、見た目で差別されます。
その一方で、この外観基準は北米産小麦には適用されません。
見た目が黒っぽいからでしょう。
日本のパンはほとんどが北米産小麦に頼っており、こちらには外観規制が適用されていません。
製パン特性を備えた「ゆめちから」は、北米産と一緒で見た目が多少黒っぽいのです。
国内産小麦と同じ規制を当てはめると低等級の品種になってしまいます。
しかし北米産と同様の基準にすれば何の問題もありません。

規制のあり方ひとつで、「ゆめちから」の将来が大きく左右されてしまいます。
補助金のつけかたも問題になってきます。
まさに農業は「政治」そのものです。

10月24日(月)

【日系企業はタイから大移動するのか】

先週、タイの大洪水の現場を見てきた経営者の方から話を伺いました。
タイの企業と合弁会社を設立し、この12月から工場建設が始まる予定でした。
その経営者が、興味深い話をしていました。
「アユタヤはインラック首相の地盤。
アユタヤリスク(洪水発生リスク)はあるけれど、インラック政権は今後、治水に大きな力を入れるでしょう。
水が引いたら、予定通り、工場建設を進めます」。
日本国内では、今回の大洪水をきっかけに、日系企業がタイから大移動しかねないといわんばかりの報道が少なくありませんが、
問題はそれほど単純ではありませんし、タイ政府も全力をあげて外資企業の復旧にあたるにきまっているではありませんか。
被害の全体像と復旧、復興の見込み。
その全体像を知りたいものです。

10月17日(月)

【市民を恐怖に追い込む7つの不安】

先日、読書ノートを何気なく広げていた時に『スウェーデンの挑戦』(岡沢憲夫著)について記したページが目にとまりました。
著者は「人生の各段階で市民を恐怖に追い込む不安」は次の7つだと記していました。

@ 生まれてくること(生むこと)への不安
A 職を失うことへの不安
B 病気になることへの不安
C 社会的孤立、孤独への不安
D 不本意に死を迎えることへの不安
E 老後生活(歳をとること)への不安
F 教育機会喪失への不安

年金支給開始年齢の引上げが避けて通れぬ日本。
7つの不安がこの国には蔓延しています。
どうしたらいいのか。
日本人の覚悟が問われる時代になりました。

10月13日(木)

【欧州危機のクライマックスはこれからだ】

欧州危機の最終局面はどうなるのか。
EUや独仏が切望するような秩序ある決着にたどりつけるとはとうてい思えない。

「大きな金融機関の連鎖破綻、大規模な金融再編というドラスチックな事態への突入は避けられない。
そこで初めて十分な公的資金が注入され、事態が収拾されていくというプロセスをたどらざるを得ない」

メガバンクのベテランエコノミストは欧州危機のクライマックスはこれからだと断言する。

破綻なしでは納税者が納得しない

「銀行の連鎖倒産で市場が大混乱する前に、公的資金を予防的に注入するという考え方も当然あります。
EFSF(欧州金融安定基金)の機能を拡充して金融機関への資本注入を可能にして、
2008年のリーマン・ブラザーズ破綻のような事態を回避したいと考えるのは当然だ。
しかし欧州各国の官僚たちが『too big to fail(大きすぎて潰せない)』などといっているうちは、
納税者を納得させられる大規模な公的支援などできるわけがない」

世界経済を震撼させている欧州危機はリーマン・ショック第2ラウンドで、
これまで人類が遭遇したことのない金融危機だと私たちは思いがちだが、そんなことはない。

それどころから人類は常に金融危機とともに生きてきたといってよいほど、古今東西、
過剰な債務の積み重ねで経済が絶好調となり、土地や株などの資産価格が上昇して、
政府も企業も個人も、誰もが好景気の恩恵に浴していたものが、ひとたび不況に突入した途端に、
すべてが暗転し、とどのつまり、金融システム危機に陥ることを過去数百年、人類は繰り返してきた。

日経BPnetにも原稿アップしました。
続きは こちらからご覧下さい!

10月11日(火)

【テーマは日本の産業空洞化】

先週、久しぶりにトヨタ自動車に取材に行ってきました。
朝日新聞出版から新刊をだすことになっており、
日本の産業空洞化をテーマに、その帰趨に決定的な影響力をもっている自動車業界の本音に迫るためです。
超円高、電力供給不安等々の状況の下、国内の年間生産台数が300万台のトヨタ自動車が、
グローバルな生産、販売体制のなかで日本のオペレーションをどう考えていくのか。じつに興味深い話が聞けました。
それにしても世界経済はますます混迷の度を深めてきました。
ことに欧州の財政危機問題は再び金融問題へと様相を変えてきました。
今後、欧州問題の最終決着がいかなる形になるのかについて、レポートしていきます。

10月03日(月)

【日産自動車、日本国内での生産にこだわる理由とは】

7月から3カ月もの長きにわたって続いた自動車業界の「“土日”出勤」「“木金”休日」が9月30日に終了した。
それはニュースになることもなく、特段の感謝や称賛の声もなく、
まるでそんな事実があった自体が忘れ去られてしまったかのように自動車業界の“土日”出勤が終わった。

日本人は好んで「現場」という言葉を使いたがるが、
その割にはリアルな「現場」の実態を凝視するつもりなどはなからない。
「現場」とは地道な作業を積み重ねていくものづくりの原点を象徴する言葉だ。
その言葉が放つ虚構性のなさや実直さに、多くの日本人は共感する。
だがその共感は情緒的で表面的なものに終始しがちだ。

この夏、日本は奇跡的に大停電による大混乱を回避することができた。
それは政府や東電が15%の節電を企業に強制し、それが成功したといった単純なものではない。
マクロ経済にも製造業の現場の混乱にも配慮せぬ、まったくデタラメな強制節電に対して、
日本企業が社員の生活も含め、甚大な被害を甘受しながら、節電要請に応じたからだ。

それどころか日本人一人ひとりがじつにまじめに節電にとりくんだ。
こんな国民は世界中どこをさがしてもいないだろう。
震災時の整然たる日本人の行動は世界から称賛されたが、それは夏の節電でも見事に発揮された。

ただ、首をひねらざるを得ない点もあった。
冷静に考えれば、突然のブラックアウト(大停電)を回避するという
絶対的なミッションに必要な節電行為は電力需用のピーク時にどれだけ電気を使わないかに尽きる。
夜中に冷房を止めたり、夜の高速道路の照明を切っても、ブラックアウト回避にはなんの意味もない。
日中の電力消費ピーク時にどれだけ節電するか。
それこそが問題だったのだ。

節電やピーク需要の低減に業界を挙げて取り組んだのが自動車業界だ。

日経BPnetにも原稿アップしました。
続きは こちらからご覧下さい!

09月26日(月)

【自らの力でやり切る】

先週、北海道の小麦農家を取材しました。
農業の世界では知らぬ者がいない、日本一の小麦生産者“勝部農場”です。
代表理事の勝部征矢さん(73歳)の父親は、
かつて米国の『TIME』誌で「東洋一の小麦農家」として紹介されたこともあります。
その父の事業を見事に継承、発展させました。
この方の話を聞いていて大変印象深かったのは、見事な理念、哲学を持っておられたことでした。
「補助金をもらうことは、魂を売り渡すことだ」という話す勝部さんは、
170haの広大な農地を排水性の高い高機能農地へと改良するのもすべて自費でした。
「なぜ自費だったのか?」という問いに、彼はこう答えました。
「(国の土地改良で)自分の順番が来るのを待っていたら、いつになるかわかったものではなかったからだ」。
必要な作業を必要な時に必要なだけ自らの力でやり切る。
日本一の小麦農家はそれですべてやり通してきた方でした。

09月21日(水)

【のんきな政府と国民を後目に海外へ脱出する日本の製造業】

自動車、エレクトロニクスなど日本経済の屋台骨を支えてきた分野で大企業の経営スタンスが激変してきた。
2011年9月16日付の朝日新聞朝刊によれば、スズキが超円高を逆手にとって小型の「逆輸入」検討し始めたという。

スズキ車逆輸入検討
スズキは、アジアで生産した小型車を日本に「逆輸入」して売ることを検討する。
円高や生産コストの低さを生かして安価に輸入し、競争が激しい小型車市場でシェア拡大を目指す。
(中略)
インドネシアで生産する小型ミニバンの次期モデルや、
小型車「スイフト」クラスの廉価版などが候補に挙がっている。
(2011年9月16日付 朝日新聞朝刊より引用)

スズキといえば今やインドで大成功をおさめて企業として有名だが、日本国内でも軽自動車では圧倒的な強みを発揮している。
ただ、登録車の小型車の領域となると、大手自動車メーカーとの厳しい競争にさらされる。
この超円高環境でスイフトなど、小型車の「逆輸入」を実現すれば、
スズキは圧倒的な価格競争力を手にいれることができるだろう。

日本国内ですでにブランドを確立したメーカーの製品であれば、
それがどこの工場で生産されたかなど、消費者にとってさしたる問題ではない。
「逆輸入車」の品質が国産車にくらべて決定的に見劣りするということでもない限り、
クルマの生産地など問題にならない。
それどころか「逆輸入」でさらなる低価格が実現できたのであれば結構なことだと、
積極的な評価を得るかもしれない。

日経BPnetにも原稿アップしました。
続きは こちらからご覧下さい!

09月20日(火)

【The Seven Basic Plots】

先日、日本語堪能な米国人エコノミストと対談をしました。
その折、彼が「ブッカーという著者の書いた『7つの物語』参考にして日本再生の物語を考えてみた」と発言。
すべての物語は7つのパターンに集約されるという興味深い話でした。
ぜひその本を読んでみたいと思いたちAmazonで検索したのですが、なかなかヒットせず苦労しましたが、
最後にAmazon UKで『The Seven Basic Plots』にたどりつきました。
日本語訳はされておらず、原書で購入しました。
本が届いてびっくりしました。400頁を越える大作。
学生じゃあるまいし、この本がいつ読了できるのか。
暗澹としますが、読み始めてみると、なかなか面白い本です。
人間はすべてのことを「物語」として受け止め、理解し、記憶する・・・その通りです。
日本経済の先行きはどうなるのか?
日本人は「破滅の物語」として語りたがる人が多そうですね。

09月12日(月)

【政治家は復興に尽力を】

もちろん民主党の出来の悪さは先刻承知。
期待をかけた野田政権もお粗末な舌禍事件が相次いだあげくに、
経産相が「放射能つけてやろうか」で政権発足からわずか9日目で辞任しました。
あきれ果てますが、即座に「首相の説明責任を厳しく問う」という自民党幹部の発言にもうんざりさせられます。
「感覚が悪い」のは辞任した鉢呂前経産相だけではなく、自民党をはじめとする野党も一緒。
新政権発足直後に、いきなり政局をもちだす感覚の悪さには辟易とさせられます。
「政治家も少しは身を入れて、復興に尽力しろよ」
それが多くの国民の声でしょう。
3.11から半年、民間は個人も企業も必死になって復興に力をいれてきました。
悪口ばかり言われている役人も、それなりの働きをしています。
何もしていないのは政治家だけです。衆議院の任期満了まであと1年。
せめてそれまで、政局政治を封印し、政治家は復興に尽力しろと言いたいですね。
無理だと思いますが・・・。

09月05日(月)

【不幸に乗じた商売を企む連中】

先日、東北の被災地の市長さんと話をする機会がありました。
その折に「復興と再生可能エネルギーはどのように関連するか」と質問をされました。
なぜ、そのような質問をするのか、お話を聞いてびっくりしました。
震災直後から、市長のもとには、有象無象の人々からスマートシティ構想等々、
再生可能エネルギーがらみの投資案件がひっきりなしに持ち込まれてきたというのです。
もうすでに売り込みはピークアウトして、最近は新しい話の持ち込みが激減しているそうですが、正直、驚きました。
玉石混交で、なかには被災地支援最優先で考えられた案件もあるのでしょうが、
被災地の不幸に乗じた商売を企む連中が続々と押し寄せていたようです。

再生可能エネルギーを製造業も含めた大きな産業プロジェクトとして東北の復興に役立てて欲しいのですが、
現実は随分違った様相になってしまっているようです。 

08月22日(月)

【見事な構想力に脱帽】

先日、群馬テレビの開局40周年記念番組の収録がありました。
新日鉄の三村明夫会長やいすゞ自動車の井田義則会長など、群馬県出身の財界の方々と、
群馬県のストロングポイントやウィークポイントについて話し合いながら、
今後の群馬県発展のために何をすべきか、議論が深まっていきました。

いすゞの井田会長の意見がじつに興味深いものでした。
海のない群馬県を海上物流の一大拠点にしようという構想でした。
海には面していないものの、横浜港と新潟港の中間で、高速道路、新幹線、在来線のすべてをもつ群馬県。
太平洋と日本海を結ぶ群馬県は関東地方の物流の拠点になれる、という主張でした。

見事な構想力に脱帽しました。

08月09日(火)

【最大の金融危機は中国のバブル崩壊、その時政府にガバナンス能力はあるか】

企業の倫理や効率性を高めるための考え方や仕組みを指す
“コーポレート・ガバナンス”という用語は日本社会のなかで随分と定着してきた。
そもそもの始まりは1960年代の米国で企業の非倫理的、非人道的な行為に歯止めをかけるための概念、仕組みとして生まれた。
いまや先進諸国では企業存立の基礎と位置付けられているが、
最近“コーポレート・ガバナンス”ならぬ“カントリー・ガバナンス”という表現が散見されるようになってきた。

欧米諸国は自らが金融危機の只中にあって、外国の批判をしている場合ではない。
だが、それら先進諸国の金融関係者が最も心配していることがある。
それが中国経済のハードランディングだ。

いまここで中国経済がおかしくなったら世界経済の底が抜け、リーマンショックの悪夢が再び蘇る。
だが、中国政府の統治能力はまったく信用できないと多くの金融関係者が不信感を募らせている。
そうした彼らの体内からアドレナリンを一気に噴出させたのは、7月23日に中国で起きた高速鉄道事故だった。

追突した先頭車両を粉々に破壊して事故現場近くの土中に埋め、証拠隠ぺいをはかった。
その一方で鉄道部が見せたのは人命救助に対する驚くほどの無関心さだった。
そして数時間後には何もなかったかのように、後続車両に事故現場を通過させている。

あまりのでたらめさ加減に中国の民衆が猛反発し、28日には温家宝首相が事故現場に赴き、
事故原因の徹底調査と情報公開を約束したが、もはやその時点で重要な証拠の大半は消失していたはずだ。

日経BPnetにも原稿アップしました。
続きは こちらからご覧下さい!

08月08日(月)

【金融危機の再来】

今週の「HARVEYROAD WEEKLY」では、米国経済の危うさについてレポートしていますが、
じつは欧州経済も相当に逼迫しています。
イタリア、スペインという大国にまで金融危機が広がる恐れも否定できず、
金融関係者のなかにはリーマンショックの再来を危惧する声もあります。
いずれにしても米国が過去に公表していたGDP統計が大幅に下方修正されたことで、
世界経済は一気にシリアスな局面にいざなわれたという印象です。
世界経済においてアジアの存在価値は今後さらに大きなものになっていきそうです。

8月12日(金)の「報道ステーション」(テレビ朝日系)に出演する予定ですのでお盆休みの方も多いと思われますが、お時間があれば、ぜひご覧ください。

08月01日(月)

【政治家はどこの国も同じか】

8月1日(月)、日経平均株価は朝から急反発して1万円を回復して午前の取引を終了しました。
急上昇の理由は、米債務の上限引き上げ問題についてオバマ大統領による「与野党が合意に達した」との発表があったことです。
世界経済を大混乱させる米国債のデフォルトという危機的事態を人質に、米国議会も政局を繰り返していたわけです。
なんとなく米国の政治は日本より上等なものだと思い込んでいる人も少なくありませんが、政治家はどの国でもろくなものではありません。
もっとも辞めるといっておきながら、将来の日本に関わる重大政策について、
場当たり的かつ情緒的な発言を繰り返す菅直人のような人間を首相に選んでしまった日本よりはましではありますが。

7月26日に『パナソニックはサムスンに勝てるか』(PHP研究所)が発刊されました。
アジアの時代の企業のあり方について示唆に富む内容です。
ぜひご覧ください。

07月29日(金)

【ノルウェー銃乱射事件の深層、移民社会に国民はどこまで寛容になれるか】

寛容な移民政策に我慢がならなかった右翼の男がオスロ市中心部を爆破、
ウトヤ島で銃を乱射し、76人もの命を奪ったノルウェーの惨劇を知った時、2年前の取材を思い出した。

ノルウェーは「世界で最も暮らしやすい国」と言われてきた。
税金は高いが豊かな福祉が実現されている北欧諸国のなかでも、
人口500万人のノルウェーは産油国としてとりわけ財力を持ち、格別に豊かな国である。

リーマンショックの翌年の2009年、私はスウェーデンから陸路でノルウェーに入国した。
国境を越えた途端に出現した景色の変貌ぶりといったら衝撃的だった。
国境に向かうスウェーデンの道路はよく整備された有料道路といった風情で、特別な感慨を想起させるものは何もなかった。
移動が夜中だったこともあり、外の景色もよくわからず、さしたる印象は何も残っていない。

ところが、ノルウェーに入った途端に景色が一変した。
オレンジ色のライトに美しく照らし出された片側三車線の高速道路が突然、目の前に開けた。
産油国の豊かさを思い知った瞬間だった。

日経BPnetにも原稿アップしました。
続きは こちらからご覧下さい!

07月25日(月)

【外需を日本の内需へ】

7月21日の日本経済新聞の一面トップは「内需企業も海外主力に」という見出しを掲げていました。
現在の日本経済を象徴するものでした。ユニチャームと資生堂は3年後に、国内外の売上高が逆転する見通しです。
お醤油のキッコーマンは5年前、海外売上比率が26.2%でしたが、11年3月決算では43.2%まで急増しています。
震災とはまったく無関係に先進国から新興国へ、日本からアジアへという大きなトレンドが続いています。

7月20日に全日空がマレーシアの格安航空“エアアジア”との合弁会社設立を発表しましたが、
その狙いは「日本の内需」への期待ではなく、アジアから日本にやってくる旅行客を取り込むことにあります。
いうならば外需を日本の内需に取り込もうという戦略いがいのなにものでもありません。

日本国内にいると内向きな話ばかりになりがちですが、視線だけは常に海外に向けていないと、
日本国内の変化すら見誤ってしまう時代になりました。

07月15日(金)

【分厚い資料が不要な時代】

15日の午後、日本で数少ないパッケージ・ソフトを作っているインフォテリアという企業のカンファレンスに参加しました。
ビジネスの現場でスマートフォンがいかに活用されているか、また今後どのような利用価値が創出できるか、
といったことをテーマに講演とシンポジウムを行いました。

ちなみにインフォテリアが開発した「Handbook」というクラウドを利用したソフトは、
パソコン上で書類や写真や動画等々のデータを管理することができ、その情報が自動的にiPadに同期されるというものです。
わかりやすくいえば、会社のPCで管理している最新情報が、iPad上で、自動的に更新されて閲覧できるというものです。
たとえば会議で分厚い資料は不要になります。
コピー無用。
会議直前の最新情報を、役員たちはiPadで確認できるのです。
また詳しくお伝えします。

07月14日(木)

【日本食材への風評被害を吹き飛ばした、香港の「愛 日本料理!」キャンペーン】

なんと香港の日本食レストランは“風評被害”を自らの力で乗り越えていた。

震災前より活況を呈す日本料理店も

もともと香港には根強い日本食人気があった。
中華料理に次ぐ食の一大カテゴリーはイタリアンでもフレンチでもなく、日本食だった。
ことに20代、30代でビジネスに成功した若者たちにとって日本食は特別な存在。

ある高級日本食レストランの経営者によれば、「毎年一番賑わうのは2月14日のバレンタインデー」だというほど、
日本食は美味くて、健康的なだけではなく、トレンディでもある。
メインランド中国からの旅行客急増で香港は経済も好調だ。
なかば必然的に香港には日本食レストランが急激に増えていた。

ところが福島の原発事故以来、それまで圧倒的だった日本産食材への信頼が瓦解。
放射能汚染のリスクを恐れた香港人グルメが、蜘蛛の子を散らしたように日本食レストランから逃げてしまった。

3月、4月は売上高が前年比で50%減、ひどい場合は80%減という状況が続き、
高い家賃負担に耐えられず、倒産してしまった日本食レストランも少なくないという。

だが7月12、13日と香港を訪ねてみると、意外や意外、風評被害を乗り越え、
いまでは震災前よりも売り上げが増えてしまったという店もでてくるくらい、日本食レストランは活況を呈していた。

日経BPnetにも原稿アップしました。
続きは こちらからご覧下さい!

07月11日(月)

【単純な線引きでは対応できない】

先日、震災後、初めて福島県に行く機会がありました。
東北新幹線の郡山駅からクルマで40分ほど、田村市のアパレルメーカーの取材でした。
福島第一原発から37キロの位置にある本社工場周辺は、線量計の値は0.1〜0.15マイクロシーベルトと低く、
従来どおりの操業にもどっています。
しかし原発から20キロをわずかに超えた都路(地名:みやこじ)工場は、機械も搬出され、完全に閉鎖され、建屋だけが残っています。

ご存知の通り、福島第一原発から20キロ圏内は立入禁止です。
都路工場からほんの50メートルほど歩いた交差点には「立入禁止」の電光表示板が置かれ、その奥には検問所が設置されていました。
ところがその辺りの放射線量も0.2〜0.4マイクロシーベルトと、予想外の低さ。
郡山駅前よりも低い値でした。
驚いたことに、その周辺には、宅急便の小型トラックが往来し、自動車の整備工場が営業。
聞けば、周辺住民から「再開して欲しい」という声が多くなってきたので、もどってきたとのこと。
この整備工場からは、道路まで人々の生活感が漂っていました。
原発被害をどう考えていくのか。
単純な線引きでは対応できない難しさを痛感しました。

07月04日(月)

【史上まれに見る製造業の空洞化の危機】

つい先日、米国のオバマ大統領がカーネギーメロン大学で行った講演会が印象的でした。
いまだバブル崩壊後の不良債権処理に苦しむ米国経済再建のために「製造業復活」を訴えていました。
グリーンテクノロジーを中心に製造業を復活させ、輸出を伸ばそうと語りかけているのです。
おそらく今、輸出に全く関心のない国は日本だけでしょう。
中国も韓国も欧州も北欧もみな輸出でいかにして外貨を獲得するかに、奔走しています。

しかし日本には輸出で経済を牽引しようという当たり前の空気が醸成されないばかりか、
扇情的な自然エネルギー論だけが跋扈するという危うい状況です。
脱原発を唱えるにしても、現実的で科学的なアプローチがあってしかるべきです。
そうしたなか、日本の国内生産への執着をもはや大企業の経営者は持ち切れなくなっています。
史上まれに見る製造業の空洞化の危機に日本は今、直面しているのです。

7月10日の「財部誠一を囲む勉強会」では3.11が変えた日本企業の経営マインドと、今後の日本経済について考えます。
ハーベーロード・ジャパンの会員以外の方は、事務局までお問い合わせください。

06月29日(水)

【菅政権は被災地に官僚チームを送り込み、現地と一緒に復興の青写真を描け】

6月24日、復興構想会議による「復興への提言」がまとまった。

被災地を地形や被害状況によって5分類し、集落の高台への集団移転や、土地利用手続きの一本化、
「特区」活用して産業誘致など、被災地のニーズをくみとった提言が目立つ。

ただし提言全体が抽象的であることに加えて、
宮城県の村井嘉浩知事にように復興構想会議に先立って独自の復興プランを動かし始めている地域もあり、
この提言内容がどこまで具体的な政策に反映されるのか、まったく分からないというのが実情だ。

提言が成立してから4日目の28日、菅直人は自らが本部長をつとめる
東日本大震災復興対策本部(全閣僚がメンバー)の初会合を官邸で開き、こう言ったそうだ。

「大きな予算につながっていく指針を取りまとめてほしい」

新聞等の解説によれば7月中に指針を決め、
秋の臨時国会に提出される3次補正予算に反映させたいということのようだが、
なんのことはない3.11から半年間、本格的な復興には一切手をつけないということになる。

日経BPnetにも原稿アップしました。
続きは こちらからご覧下さい!

06月28日(火)

【人生の相棒】

今週月曜日発行の『週刊現代』に私の写真が掲載されています。
「人生の相棒」という巻末のグラビアページに、愛犬まろん(トイプードル)とともに写っています。
お時間のある方はご覧ください。
ちなみにこの頁の過去の出演者を撮影時に見せもらったのですが、タキシードあり着物あり。
気合の入り方が違いました。
それも愛犬のなせる業でしょうか。
いずれにしても、私も含め、みな親バカの風体です。

06月15日(水)

【迷走する覚悟なき“脱原発”】

欧州で進む「脱原発」

欧州で “脱原発”が急激に広がっている。
ドイツ、スイスに続いて、6月13日に国民投票を行ったイタリアも“脱原発”を決めた。
そもそもイタリアは過去に原発を全廃しており、今回の国民投票は原発復活の是非が問われたのだが、
有効投票数のじつに約95%が反対票を投じた。

日本が欧州の世論を左右することなど滅多にあるものではない。
震源は日本だ。
3基の原子炉が一気にメルトダウン、水素爆発で放射性物質を大量に飛散させた福島の原発事故が、
ドイツ、イタリア、スイスの国民感情に決定的な影響を及ぼし、
3国のエネルギー政策をあっという間に方向転換させてしまった。

当然のことだが、震源地日本でも“脱原発”の国民感情は強く、点検中の原子炉の再稼働にメドが立たない。
54基の原子炉のうち現在稼働中の原子炉は19基。
それらが順次点検入りし、再稼働への合意形成が出来ない状況がさらに続くなら、
来年6月には日本の原発は全停止する。
つまり何もしなければ来年6月に日本も“脱原発”となる。

「これを機に原発から自然エネルギーへと一挙に舵を切るべきだ」

テレビの街頭インタビューでは十中八、九、こんな返事が返ってくる。
原発が巨大なリスクを抱え込んだ技術である以上、
太陽光発電や地熱発電などの自然エネルギーでこれまで原発による電力供給分を代替できるなら、それにこしたことはない。
欧州の脱原発を伝えるニュースでも必ずといっていいほど“脱原発”は“自然エネルギーへの転換”とワンセットで語られている。
だがこれはいわば「ペテン師的報道」と言わざるを得ない。

日経BPnetにも原稿アップしました。
続きは こちらからご覧下さい!

06月06日(月)

【世界一の企業としか取引しない】

鹿児島県の講演会にいった際に、以前から立ち寄ってみたい企業がありました。
金港湾を見下ろし、桜島の勇壮な姿を真正面に見据える霧島の高台に本社工場をかまえる株式会社藤田ワークスです。
中小企業は発注企業に選別され、比較され、厳しい条件を押し付けられるものですが、藤田ワークスは取引先を選びます。
藤田幸二社長いわく「シェア世界一あるいは技術で世界一、いずれにしても世界一の企業としか取引しません」。
じつは取引の条件がもうひとつあります。
なんと支払いは現金限り。
手形は一切受け取らない主義を貫徹しているそうです。
得意先は東京エレクトロン九州、アルバックグループ、ディスコ、旭化成等々。
ちなみに藤田社長は「HARVEYROAD WEEKLY」の会員さんです。
これからどこまで伸びていくのか。
期待感が膨らむ会社でした。

05月30日(月)

【「高層」と「地盤」】

週刊エコノミスト(5/31号)が「災害と不動産」という特集をしています。

不動産価値のコペルニクス的転回として、2つのキーワードをあげています。
「高層」と「地盤」です。
今回の東日本大震災の影響で、かつて大人気を誇った首都圏の湾岸、高層マンションの人気が一気に急落。
大きくバリューダウンしています。
恐ろしい津波被害の映像や液状化被害が想像以上に大きかったことへの驚愕。
汐留の高層ビルに本社を置く某社では、震災発生時、地下駐車場にあった社用車をすべて1階にだし、
駐車場の入り口のシャッターを閉めたそうです。
また20数階のオフィスまで階段を上がった時の苦労も話しておられました。
たしかに不動産の価値が大きく変わってしまいました。
興味深い記事でした。

05月25日(水)

【もはや倒閣なくして、日本復興はない】

震災発生から2カ月半、官邸がまるで機能していない。
ニュースの見出しだけを追ってみれば「復旧」作業はそれなりに進展している。
最も分かりやすい事例は被災地と首都圏以西をつなぐ道路の復旧だ。

阪神淡路大震災の教訓が生きた道路の復旧

3.11の地震発生からわずか11日後には応急復旧が完了、東北自動車道は早期開通を実現した。
東北自動車道から三陸沿岸部の津波の被災地を結ぶ、
最低限の物流ルートも早期に確保された。八戸港や宮古港の復旧も早かった。
津波に完全にのみ込まれた仙台空港の機能回復も米軍の補助を受けながら驚くほど速やかに行われた。
世間からはさしたる評価も受けていないが、被災地への道路、港、空港の機能回復は見事だった。

霞が関の中堅官僚は国交省の対応についてこんなことを言っていた。
「公共事業面での対応は、阪神淡路大震災の経験等も踏まえて、
初動からほとんど条件反射的に対応して、考え得る限り最善の機能回復を図ってきたと思う」

東北自動車が開通直後に、通行を緊急車両に限定したのも、阪神淡路大震災の反省からだ。

これまで我々は縦割り行政の非効率を何度となく批判し、
また政官業癒着のなかで国益を貪ってきた霞が関の構造改革を強く望んでもきた。
だが国家の実態として、霞が関が果たしている機能そのものを排除し、
長い歴史のなかで役所に蓄積された膨大な経験や知見を何もかも捨て去って良いなどとは誰もが考えていないだろう。

だが菅直人首相は霞が関の完全排除こそ「政治主導」だと完全に思い込んでいるに違いない。
いや排除すべきは霞が関だけではなく、菅政権から見れば経団連も同類だ。
霞が関と財界を徹底的に排除し、
その場その場で専門家のレクチャーを受けながらごく少数の素人政治家だけで物事を決めていく。
これが国難に際して菅政権がとっている基本スタンスである。

日経BPnetにも原稿アップしました。
続きは こちらからご覧下さい!

05月24日(火)

【『武士道』と『第2次世界大戦回顧録』】

「財部ビジネス研究所」(BS日テレ)の<KEY PERSONに聞く!>のコーナーでは
2度連続で西武ホールディングスの後藤高志社長に登場いただきました。
その時の余談です。

カリスマオーナーとして君臨していた堤義明氏が証取法違反で逮捕され、
一気に信用不安が広がった西武グループ。
後藤さんはその再建のために、みずほコーポレート銀行副頭取から西武グループに転じました。
それから6年、西武ホールディングスとしてしっかりとした地歩を固めつつあった矢先の震災でした。
原発危機は西武グループのホテル事業を直撃しました。
多くの経営者がそうであったように、後藤さんも経営者としていこの難局とどう向きあうべきか、思案されたようです。
その時、後藤さんが読んだ書物を2冊教えていただきました。
新渡戸稲造の『武士道』とウィンストン・チャーチルの『第2次世界大戦回顧録』です。
チャーチルの回顧録は9.11時のニューヨーク市長、ジュリアーニ氏が
テロ直後の混乱のなかで読んだ書物としても知られています。
お時間があればご一読を!

05月23日(月)

【ついに始まった産業の空洞化 日本企業が見出せないこの国にとどまる意味】

「大規模新築ビルへの移転」と「西日本への本社機能分散」が始まった

日本企業の“大移動”が始まった。
東京の賃貸オフィス市場には震災の影響が如実に現れている。
法人向けオフィスビル賃貸の大手仲介業者の経営幹部は「首都圏では大規模新築ビルへの移転が急増している」という。

「3月14日以降のほぼ1ヵ月間で、震災関連の依頼件数が302件にのぼりました。
その内、直接的な被害を受けた東北(一部関東圏)エリアは126件。
それ以外の、被害は受けていないものの今後のリスク回避を目的とするケースが186件。
同業他社を含めると、リスク回避を目的とした依頼は500件を優に超えていると思います。
新築大規模ビルの空室にはあっという間に商談が入り、借り手市場から一転、
商談即決の事例が多くみられるようになりました」

リーマンショック以後、首都圏では最大のコストであるオフィス賃料を抑制するために転居する企業が相次いでいたが、
3.11の震災を境に、流れが逆転したという。
耐震性能に優れた新築大型ビルの需要が急増しているのだ。

大移動は新旧ビル間だけで起きているわけではない。
「西日本への本社機能分散」も本格化しつつある。

「当社大阪支店への依頼75件のうち、62件は東京に本社を持つ企業からのものでした。
震災直後のニュースでは計画性のない狼狽的な企業の西日本移転が話題になっていましたが、
落ち着きを取り戻した3週間目以降、事業継続のための本社機能の一部移転の動きが活発になってきました。
西日本といってもオフィスの場合は、圧倒的に大阪志向で、福岡や名古屋はきわめてまれです。
また企業の傾向でいえば外資系企業は業種を問わず全般、
日本企業においてはよりシステムの重要性が高い金融やIT企業の反応が早かったように思います」
(前出の不動産仲介業者幹部)

ダイヤモンド・オンラインにも原稿アップしました。
続きは こちらからご覧下さい!

05月16日(月)

【月刊誌『THE21』の対談】

先週末に月刊誌『THE21』の対談を行いました。
お相手はモルガン・スタンレーMUFG証券のロバート・フェルドマンさんです。
信頼のおける数少ないエコノミストのひとりです。
テーマは「日本企業の復活力と、そこから見える日本経済の未来」です。

震災から現在までの企業の対応や復旧への取組みを検証し、日本企業の強みの再認識記事を掲載したい、
というのが編集部の狙いだそうです。
「これからの日本企業が何を大切にしていくべきなのか、
今後の日本経済が力強く復活するためのカギとはなんのかについて読者に提言したい」とのことです。
大いにフェルドマンさんと話し合いたい内容です。
6月10日発売予定です。ぜひご覧ください。

05月10日(火)

【「安心・安全」のコストを犠牲にしてしまった日本社会】

理解を超えた安値だった

「おそらく日本のスーパーマーケットで生食用の牛肉を販売している店なんてないと思いますよ。
さらに言えば和牛を100g400円以下で販売することもできません。
食肉の衛生管理をきちんとやれば、それなりのコストがどうしてもかかってしまう。
焼肉酒家えびすの価格の安さは私たちの理解を超えている」

スーパーマーケット業界でもその優れた経営手腕で知られるベテラン経営者は、そう言い切る。

焼肉チェーン店と卸売り業者の双方に強制捜査が入った。
食中毒の原因となったO−111菌が、いつ、どこで付着したかが焦点になるといわれているが、
消費者に直接肉を提供した焼肉酒家えびす(運営会社はフーズ・フォーラス)の責任の重大性は何がどうあれ、
変わるものではない。

同じ牛肉を取り扱うチェーン店でもスーパーマーケットと焼肉店では風景があまりにも対照的だ。
スーパーマーケットはそもそも生食用の牛肉など販売すらしていないが、
焼肉店はユッケが大ブームで「ユッケのうまい店はいい焼肉店の証」であるかのごとき風潮すらあった。

もちろん前出のスーパーマーケットの経営者も「牛肉は絶対に生では食べられない」と言っているわけではない。

「衛生管理をしっかりやれば生で食べることもできます。
しかしアルバイトやパート従業員を使いながら徹底した衛生管理をするのは難しいのです。
しっかりとしたシステムを作り上げる必要がある。
要するに食の安心・安全を確保するにはコストが必要だということです」

日経BPnetにも原稿アップしました。
続きは こちらからご覧下さい!

04月26日(火)

【菅政権の「会議乱立」が招く震災復興への致命傷】

「天井以外は被災前のまま」の見事な地震対策 3月中に再稼動したパナソニック関連工場

「日本のものづくりは並はずれた復原力を持っている」

3.11の震災直後、関東・東北エリアにある15ほどの関連工場の被災状況をクルマに乗って一気に見て回った
パナソニック社長、大坪文雄は被災したはずの工場の整然たる姿に強く心を動かされた。

「天井は崩落していましたが、視線を目の高さ以下にキープする限り、
工場の様子は震災前と何か変わったことがあるのか思ってしまうほど整然としていた」

ある工場では12万トン級のプレスが15ミリ太いビスを使って数10か所で地面に固定されていた。
それでも震度7の揺れに抗しきれず、20センチほどプレスが横ズレした。
だが、巨大なプレス機械は横に少しズレたこと以外、何の支障も起きなかった。
さらに大坪が驚かされたのは重要な金型を収納しておく棚に施されていた地震対策の見事さだった。

重量が数10キロもある金型は地震の際、一つ間違えれば、建屋の壁をぶち破り、吹っ飛んでいく。
貴重な金型が損傷して使えなくなるばかりか、殺人の凶器にすら変貌する。

大坪が訪ねた工場では、収納棚の底をやはり太いビスでしっかりと地面に固定し、
さらに棚の上板も天井とL字型の留め具で固定。
また従来なら収納した金型の前面にたるんだ鎖を両サイドからぶら下げていたそうだが、
鎖が太い鉄の棒に取り替えられており、いかなる揺れにも耐えられる万全の対策が施されていた。

たしかに巨大な揺れの結果、工場の天井は抜け落ちた。
しかし、地面の瓦礫さえきれいに片づければ、工場は何事もなかったような日常風景に戻ってしまったのだ。
もちろん生産再開までには様々な機器の調整をはじめ難問山積だったが、
パナソニックの15工場は3月中にすべて再稼働にこぎつけた。

「素早い支援」と「凄まじい復原力」 大企業の現場から感じる復興への手応え

被災地への支援物資輸送も尋常ならざる速さだった。
「災害時は何をさておいても支援に全力をあげる」という
創業者松下幸之助の思想は今もこの会社に脈々と生きている。

震災発生の3日後、宮城県内の関連工場にはAV機器のビジネスユニットから送った大量の水、食料が到着していた。
それを工場の社員たちで分け合っただけではなく、工場周辺の被災者にも配った。
その際も公平性を損なわぬようにと、工場内の敷地に机をだして、
住所、氏名、受け取った支援物資の内容を一人ずつ記帳するということまでやっている。
もちろんこの工場の社員たちも被災者だ。自宅が倒壊したり、半壊したり、津波で親族を失った人たちもいる。
それでも彼らは、職場の復旧に全力をあげたという。

ダイヤモンド・オンラインにも原稿アップしました。
続きは こちらからご覧下さい!

04月25日(月)

【『アジアビジネスで成功する25の視点』】

4月25日に新刊「アジアビジネスで成功する25の視点」(PHPビジネス新書)が出版されます。

「HARVEYROAD WEEKLY」の読者でもあるPHP研究所の編集部長から出版のお話をいただいた時には、正直、ためらいました。
その理由は「HARVEYROAD WEEKLY」はまさに「生もの」だからです。
常日頃から私が強く意識していることは、今まさに目の前で起きている世の中の変化を、その場でさばき、
「今」をどう捉えたらいいのか、それを会員の皆さんにお伝えすることこそが使命であるということです。
したがって相当な時間が経過した原稿を単行本として出版するのは、
腐った魚を冷凍して再販するようなイメージを払拭できませんでした。

しかしながら、編集の妙といいますか、出来上がった本は、また違う趣を放っています。
もちろんところどころ、新たに加筆をしています。
ご興味があればご覧ください。

財部誠一最新著書

4月25日(月)発売!
ご購入はこちらから
04月18日(金)

【いまの菅政権では産業の早期復興は難しい】

産業界の復興に無力な政府

「この国難に与野党協力はもちろん、官僚の力も総動員して事に当たるべきだ。
それなのに菅首相は自己保身に汲々となり、党内では依然として小沢、反小沢で睨みあいを続けている」

民主党最大の支持団体、連合の幹部でさえ批判の声を強める。
政局にしようというのではない。
菅総理のあまりの狭量と危機感の欠如が問題なのだと連合幹部は指摘する。

「民主党内の結束もできない。役人も使いこなせない。産業復興への意識は脱落している。
総理のポストを自民、公明に差し出してでも、与野党大連立内閣を作るより他に解決策はないかもしれない」

津波の激甚災害に原発危機が重なった前代未聞のクライシス・マネジメントだ。
菅総理がすべての事態に対応仕切れないことは当然だ。
だからこそ衆知を集め、国家運営のすべてを遅滞なく実行していかなければならない。
だが自己保身と政局が気になってしようがないのだろう。
菅総理には国家の総力を挙げて国難に立ち向かう気がさらさらない。

このままでは、産業の空洞化が恐ろしい勢いで進むかもしれない。
正直私は背筋に寒気を覚える。
津波被害の激甚さと原発危機の陰に隠れてしまいがちだが、産業界が被った震災被害も尋常ではない。

日経BPnetにも原稿アップしました。
続きは こちらからご覧下さい!

04月04日(月)

【美しい日本の春】

自然の猛威は地獄の所業を行い、日本人を震え上がらせ、萎縮させています。
その一方で、自然は何事もなかったかのように穏やかな季節を引き連れてもきました。

私が毎年花見をしている目黒川の川沿いには、小さな提灯が今年も飾り付けられました。
目黒川沿いの道路はクルマ一台やっと通れるほどの幅で「飲めや歌え」のどんちゃん騒ぎをするスペースがそもそもなく、
両岸から川を優しく覆うように咲き誇る桜を、のんびりと歩きながら愛でるほかありません。
今年も楽しみにしていたのですが、4月6日から14日までインド取材のため、満開の桜を見ることができないかもしれません。
だとしたら、残念ですね。
是非皆さん、桜を愛でてください。
美しい日本の春がすべての日本人の心を癒してくれるはずです。

03月28日(月)

【日本経済の復興ために、いま企業に求められているもの】

3.11の衝撃と原発危機に端を発する首都圏の機能停止。
製造業のサプライチェーンの寸断は計画停電で再起への道筋が見えず、放射能の恐怖で首都圏は平常心を喪失しています。
この半月、これからいったい日本経済はどうなるのか、情報収集に努めつつ、グローバルな経済構造の変化に照らし合わせながら、
思案に思案を重ねました。
その間には、報道ステーションの特集取材で北陸の農業経営者に取材したり、九州へ講演会にいったりしながら、
また日経BPnetやダイヤモンド・オンラインのコラム、Voice(PHP研究所)の連載原稿を書きながら、思案を続けました。

日本経済の復興ためにも、いま企業に求められているものは「先進国から新興国へ」「アジアの時代へ」という
リーマンショック後のトレンドをさらに強く掴み取ることであると考えるに至りました。
それなしに日本の復興はありえない。

今後さらに取材を重ね、深く思慮をめぐらせていきたいと思います。
頑張りましょう。

03月22日(火)

【“過剰な自粛”が被災復興につながるのか
 今こそメディアと大企業に求めたい「冷静な対応」】

東日本大震災がもたらした津波被害の激甚。
地震から1週間を経た今でも、被害の全体像は見えてこない。
東北地方では恐怖と無念のなかで多くの人々が命を落とし、
九死に一生を得た人々も掛け替えのない家族を失い、家をなくし、過酷な避難所生活を強いられている。
美しい三陸の海岸も、のどかな港町も、実り豊かな田畑も消えてしまった。
被災した人々の絶望を慰める言葉を私は見いだせない。

マグニチュード9.0という誰も想定できなかった地震は、福島の原発危機という恐るべき事態をも併発した。
私は原発の取材を何度かしている。
日本の原子力発電所の技術レベルは世界屈指で、
06年の中越地震で想定外の揺れに見舞われた柏崎の刈羽原発も「止まる」「冷やす」「閉じこめる」をしっかりと実現した。
関連設備の火災で黒煙が上がり、一時は騒然となったが、震災後の調査に入ったIAEAが、
その技術力を高く評価したことはまったく報道されなかった。

それに対して福島の原発事故は深刻だ。
18日に原子力安全・保安院は福島第一原発1〜3号機の事故について、
国際原子力事象評価尺度(INES)の暫定評価をレベル5とした。
レベル5とは「施設外に影響を及ぼす事故」であり、米国スリーマイル島の原発事故にならぶ。
それを超える事例は86年、旧ソ連で起こったチェルノブイリ原発の事故(レベル7)しかない。
「広島に投下された原子爆弾500発」に相当する放射性物質を飛散させた、原発史上最悪の事故だ。

そのイメージを想起してしまうのか、東京でもちょっとしたパニック現象が起こっている。
英語情報が限られている外国人ならいざ知らず、
人体に影響を及ぼさない微量の放射能しか検知されていない東京に住む日本人のなかにも、
西日本の親戚に子供を“疎開”させたり、東京脱出するかどうかで思い悩んだりする人たちが少なからずいる。

この事故の原因と対策は非常にシンプルだ。
原因は想像を絶した津波だ。
本来なら原発事故に際して機能するはずのバックアップの仕組みが全く機能しなかった。
海水をかぶり電源を喪失してしまったからである。

ダイヤモンド・オンラインにも原稿アップしました。
続きは こちらからご覧下さい!

03月17日(木)

【日本経済は必ずよみがえる】

月並みな見舞いの言葉を口にすることに罪悪感さえ覚える。
それほど東日本巨大地震がもたらした被害の激甚ぶりには言葉を失っている。

東京にいる私がメディアを通じて目にしている凄惨な被災現場は、
地獄絵図のほんの一部でしかないと理解する程度の良識は持っている。
海外メディアは極限状況にありながら、それでもなお冷静に規律ある行動をとっている被災者の姿をたたえ、
「日本ガンバレ」と励ましのメッセージを送ってくれている。
有難いし、日本人として誇りにも思う。

だがその一方で、私にはどうにも拭い切れぬ理不尽さが残る。
この激甚災害がなぜこのタイミングで東北地方に襲いかかったのか。

バブル崩壊から20年強、日本経済は出口のない閉塞感の中であえぎ続けてきた。
だが丁寧に時を振り返ってみれば、IT企業の上場ブームもあったし、
東京は六本木や汐留等々の大規模な再開発ブームにも沸き、
不良債権問題に決着がついた2004年以降は不動産市場はミニバブル化。
08年のリーマンショックまで、東京はちょっとした好景気だった。

しかしその間、地方経済は不振をきわめ続けたが、とりわけ厳しかったのが東北地方だった。
その是非はともかく、公共事業が減少するなか、新たな企業誘致も進まず、
明るい展望がまったく見えない日々が続いた。

そんななかで宮城県は企業誘致戦略で見事な成果をあげた。
トヨタ自動車の子会社であるセントラル自動車や、半導体製造装置の東京エレクトロン、
あるいは東芝など、地元経済を大きく押し上げる企業誘致に成功した。

なのにリーマンショックで工場建設が次々と延期。宮城県の人々の落胆ぶりにははかりしれぬものがあった。
それでも2010年には各社の新工場が続々と動きだし、
今年1月6日にはセントラル自動車の新本社工場が稼動を始めた。

日経BPnetにも原稿アップしました。
続きは こちらからご覧下さい!

03月10日(木)

【米国担当者の暴言は許せない。沖縄の基地依存という図式は大きな誤解だ】

米国務省のメア日本部長が沖縄に対して暴言を発したことが大きなニュースになっている。
基地問題でなかなか政府と合意しようとしない、
沖縄の人を「ごまかしとゆすりの名人」だと発言したのだという。
本当だとしたら実に許せない発言だ。

そもそも沖縄経済が米軍基地に依存しているかのような認識自体が誤りだ。
実は取材で沖縄に行った際に、県の職員から興味深い資料を見せられた。
A4版のコピー用紙1枚のシンプルなものだったが、そこに書かれた内容は意外性に満ちたものだった。
タイトルは『沖縄県に関する3つの誤解』。

そこに書かれた第一の誤解は「国からの財政移転額は沖縄県がトップでないか」という思い込みだ。
『3つの誤解』は県民総所得に占める人口一人当たりの支出額をもとに各県を比較し、ランキング表を掲載している。

公的支出額の多い順に並べてみよう。

1位島根県、2位鳥取県、3位高知県、4位秋田県、5位北海道、6位山梨県、7位鹿児島県、8位青森県、9位沖縄県、10位長崎県。
一人当たりの公的支出額でみると、沖縄は全国9位なのである。

第二の誤解は「国から沖縄県への予算額は年々増加しているのではないか」という思い込みだ。
実は驚くべきことに、「年々減少している」というのが現実だ。

日経BPnetにも原稿アップしました。
続きは こちらからご覧下さい!

02月28日(月)

【タイと日本、中小企業のお見合い】

2月24日から福岡で取材をしています。
タイの工業相と福岡県が主催したタイと日本の中小企業のいわばお見合いでした。

通常、行政が仕掛けるこの手のイベントは、日本サイドがあご足代を全て持ち、外国企業を「お客様」として招き、
名刺交換して終わりというのが関の山。
今回は違います。
タイの中行企業経営者たちは宿泊代、飛行機代も自腹(タイ政府からの一部補助あり)です。
提携、合弁を前提とした本気のお見合いです。
2015年にはASEAN域内は関税がゼロになります。
ぜひタイに進出して、一緒に工場を作り、タイの市場はもちろんASEAN諸国に売りまくろう!
という、超前向きな取組みです。

いまやタイは日本人の想像を超える一大自動車立国となりました。
日本人の事が大好きなタイの人々が言います。
「ニーズが増えない日本で倒産するより、タイにおいでよ」。

絶対お勧めです!
微笑の国はFTAでASEAN最大のものづくり大国を目指しています。

02月24日(木)

【破綻した中国企業のインフラビジネス、日本企業は運営ノウハウを武器に戦え】

世界でもっとも活気に溢れるアジア経済。
先進諸国が狙うのは800兆円ともいわれるアジアの巨大インフラ投資だ。

今月11日には日豪政府が、インドやインドネシアなど成長著しいアジアの第三国にインフラ輸出事業での協力を約束した。
オーストラリアの金融と日本の技術で、案件獲得を目指す。

発電事業や港湾整備、高速鉄道等々、インフラビジネスは事業規模が大きいだけに、
各国とも官民一体で熾烈な争奪戦を続けている。
当然、国内のインフラ需要に明るい見通しの立たない日本の企業も、案件獲得に東奔西走している。

技術大国の日本だが精彩を欠いている。ただでさえ日本企業は韓国企業の激しい価格攻勢に苦しめられてきた。
さらに韓国はリーマンショック後のウォン安と、
元サムスン建設社長のビジネスマン、李明博大統領の強烈なリーダーシップを得て、攻勢を強めている。

ところが悪いことに、今度はそこに中国企業が本格参戦してきた。いうまでもなく、
中国勢の特徴は韓国企業も驚く価格破壊だ。
だが、中国勢のインフラビジネスの歴史は浅い。
そううまくいくのだろうか。

日経BPnetにも原稿アップしました。
続きは こちらからご覧下さい!

02月14日(月)

【学生はなぜ就職できないのか 超・国内志向の若者を待ち受ける「就活の悲劇」 】

就活に追い詰められ、苦悶する学生たちの姿を追ったテレビ報道をしばしば目にする。
だがそのたびに私は、学生たちの異様な言葉に驚きを禁じ得ない。

「70社受けました」「100社受けました」でも「ダメでした」といった具合のコメントがこれみよがしにテレビ画面に映し出される。
内定をもらえなかった会社数の多さこそが、「超氷河期」と呼ばれる過酷な就活事情をストレートに物語っていると
視聴者に訴えかけたいのだろう。
だが、これほど無責任な報道はない。

70社も100社も受験することが物理的にできるだろうか。
おそらく希望した企業のHPにアクセスし、エントリーシートを送信した数ではないのか。
そのなかで実際に説明会に参加し、さらに面接にまで進むことができた企業はいったい何社くらいあったのだろうか。
そうしたディテールをすべてが切り捨てられ「70社」「100社」という数字だけが独り歩きしている。

就活が過酷であればあるほど、その全体像を正確に伝えるのが、メディアの責務だろう。
だが就活報道の実態は、野次馬以下だ。
問題のありかをさまざまな切り口から掘り下げる努力も試みもない。
まるで談合をしているかのうように、ただただ「非常事態だ」と大騒ぎをして、社会不安を煽りたてるだけの報道が目立つ。

たしかに昨年の就職内定率は68.8%。
「就職氷河期」と呼ばれた1996年当時を下回る厳しさだが、おなじ「氷河期」でも当時と今とでは状況が全く違う。

今は本当の“就職氷河期”ではない 採用が「量より質」にシフトしたのみ

「“就職氷河期”という言葉はリクルートが創った言葉ですが、それが(現状に)当てはまるとは思っていません。
大手企業が新卒を一括、大量採用することが前提だった時代にあって、(バブル崩壊後に)あの大手もこの大手も
採用を凍結するという事象が起こり、それを就職氷河期と表現しましたが、今は違います。
苦しくても新卒を採用したいという企業は多い」

リクナビの岡崎仁美編集長のコメントだ。

私が出演しているBS日テレの情報番組『財部ビジネス研究所(TBL)』で就活問題を特集、そのインタビューに岡崎編集長が
応えてくれた。

「(採用時に)量より質という方向性が厳格に貫かれている中で、需給バランスだけでいうと、学生はどこでも就職できる
数字になっている。
しかし実際は、(人事部は採用枠を)採り切らないまま採用をやめたり、中途採用と新卒採用にこだわらずに採用したり
というような中で(新卒の)就職難という事態が続いている」

それは数字の上にもはっきりと現れている。

ダイヤモンド・オンラインにも原稿アップしました。
続きは こちらからご覧下さい!
※ダイヤモンド・オンラインの無料会員登録が必要となります。

02月07日(月)

【大相撲と八百長】

大相撲春場所は八百長問題で休業になりましたが、そもそも「八百長」の語源を探ると辞書にはこう記されています。
「八百屋の長兵衛(通称、八百長)という人が相撲の年寄某とよく碁を打ち適当に勝ったり負けたりするように
手加減をしたことからでた語という」。

すごいですね。
「八百長」という言葉が誕生したところから「相撲」が関わっていたわけです。
財団法人日本相撲協会の存在をどう考えていくのか。
大相撲ファンもそうでない方でも、その帰趨は大いに気になるところでしょう。

それにしても大相撲の八百長問題は過去にもたびたびメディアを賑わし、裁判沙汰にもなったものの
証拠不十分で相撲協会が勝訴してきましたが、私のiPhoneのアプリ「大辞林」(有料!)を見る限り、
八百長を否定したら大相撲の存在自体が否定されてしまうほど両者の間に深くて長い歴史があるという話でした。 

01月31日(月)

【無知にも限度がある】

27日、本会議場を出た直後に、記者が菅総理に尋ねました。
「米国の格付け会社が日本国債の格付け引き下げたことに対してどう思うか?」。
すると総理は「そういうことに疎いので、改めてにしてください」。
それを翌日、野党議員が槍玉にあげました。
すると菅総理、「疎い」とは「本会議場を出た直後で情報が入っていなかったという意味だ」と釈明。

しかしその釈明は説得力がなさすぎます。
「国債の格付」という概念をまったく知らなかったという驚くべき無知をさらしてしまいました。
財務大臣時代に自民党議員から経済用語の意味を尋ねられて立ち往生したこととは意味が違います。
なぜ02〜03年、日本が不良債権問題で沈没しかけていた当事、日本国債の格付が引き下げられるたびに株式市場が暴落し、
国中に危機感が広がったことを菅総理は知らなかったというのでしょうか。
連日「S&P」や「ムーディーズ」といった格付け機関の名がメディアで取り上げられたではありませんか。
あの時、あなたは何をしていたんですか、と聞きたくなってしまいます。

菅政権は「税と社会保障制度の一体改革」を目指していますが、菅総理は何をどこまでわかって話しているのでしょうか。
無知にも限度があります。 

01月26日(水)

【中国上海で活躍する日本人若手経営者、その成功の秘訣とは】

BS日テレの番組『財部ビジネス研究所』で中国特集を放送した。
上海で成功しつつある30代の日本人若手経営者を紹介したのだが、これがじつに印象的だった。

現地化は中国語を話すことから

いずれも外食ビジネス。
イタリアン、スイーツ、スープカレーとジャンルは違うが、見事な現地化を実現していた。
何が見事だったのかといえば、上海で働く彼らがみな中国語を話すことだった。
市場での材料の仕入れも、中国人従業員とのコミュニケーションも、そして最も大切な接客も、すべて中国語でこなしていた。
正直、驚嘆した。

中国ビジネスの難しさは誰よりも分かっているつもりだ。
惨憺たる日本企業のありさまをどれだけ目にしてきたか分からない。
一見うまくいっているかのように見えても、じつは赤字から抜け出せない大企業も山ほどみてきた。

その一方で、数は少ないが、中国で大成功をおさめた日本企業の取材にも力をいれてきた。
いったいその差はどこにあるのか。

「現地化」の一言に尽きる。

中国で失敗の理由をあげつらえば無限に出てくるだろう。
だが成功している企業には絶対的な共通項があり、その最たるものが「中国語を話せる」ことだ。
逆に中国ビジネスに悪戦苦闘を続ける大企業の多くは、言葉の壁を優秀な通訳によって乗り越えようしている。
コミュニケーションの深さは通訳の能力で決まると思っているのだ。

日経BPnetにも原稿アップしました。
続きは こちらからご覧下さい!

01月24日(月)

【連続性をもった産業育成戦略】

福岡県の麻生知事と久しぶりにお目にかかりました。
4期という長きにわたった麻生知事も今年4月で退任。
地方都市としては例を見ないスケールで商工政策を進めてきました。
多選批判がある一方で、多選であればこそできた、連続性をもった産業育成戦略が随所で結実しています。
その麻生知事は、常にポジティブ志向の私でさえ驚くほど、景気の先行きに確信をもっていました。
根拠は多岐にわたっていましたが、麻生知事自らが実感していたのは企業の設備投資意欲がことのほか強くなってきたことでした。

北九州はいまや日本最大の自動車産業の集積地。
組立メーカーだけでなく、大小の部品メーカーが全国から集結し、かつLSI(IC)システムの開発まで、
自動車産業のすべての工程が集まっています。
設備投資意欲は高まってきたものの、いまひとつ乗り切れない企業が多かった昨年とは異なり、
ここにきて企業の投資意欲が俄然強くなってきたことを麻生知事は体感していました。

01月17日(月)

【日本企業は失敗、撤退の歴史を乗り越えられるか 「Asiaの時代」の絶望と希望】

もう「かつてのAsia」は存在しない “先進国レベル”が射程距離に

先進国から新興国へと成長エンジンが切り替わった、と誰もが言う。
なかでもAsiaに対する期待が俄然、高まってきた。
新年早々の新聞紙面からもAsiaに対する関心の高さが随所にみてとれた。

たしかにAsiaの経済は世界でも群を抜いている。
中国経済は金融引き締めで急ブレーキがかけられた格好だが、それでも年率9%程度の成長は達成しそうだ。
人口2億3000万人、イスラム最大の人口大国インドネシアは長い間、期待はずれに終わってきたが、
ついに7%成長が期待されるまでになってきた。
タイはあっという間にリーマンショック後のダメージを克服した。
人口8000万人のベトナムは国民の平均年齢が20代で、今後、急速な経済成長が確実視されている。

アジア諸国でビジネスを展開している知人が新年早々、興味深いメールを送ってくれた。

アジアの上昇エネルギーの“質”が明らかに変わってきたという。

「これまでのアジア諸国の上昇エネルギーは『昨日よりも今日、今日よりも明日…』という力強いけれど、
身近でシンプルなものでした。
手の届く範囲での希望や目標にまい進してきたと言い換えることもできます。
しかし昨年あたりから大きく変化が起こってきたという印象が強い。
あらゆるジャンルにおいて、かつては『手が届かない先進国レベル』が射程距離に入ってきたという感触をアジア諸国の人々が持ち始めています」

Asiaは明らかに変わった。

80年代、90年代のAsiaに対する知見ほど危ういものはない。
人件費削減のための生産基地としての側面ばかりが突出し、政治も商慣習も先進国とは比べるべくもない
二流ぶりを発揮していたAsiaのかつてのイメージを引きずっていたとしたら、ビジネスにおいては致命傷になる。
もうかつてのAsiaは存在しない。
先進国レベルを手に届く目標として意識できるまでになってきたのだ。
こうしたAsiaの経済成長を日本企業が自社の売上や利益の拡大につなげることができれば、日本経済全体も浮上していくだろう。

ダイヤモンド・オンラインにも原稿アップしました。
続きは こちらからご覧下さい!

01月14日(金)

【菅再改造内閣】

1月14日、菅再改造内閣の顔ぶれが決まりました。

与謝野馨氏の入閣には唖然とさせられました。
衆院選で落選し、自民党比例区での復活当選で議席を得たのに、自民党を離党して新党、たちあがれ日本を結党。
「民主党政権が日本を滅ぼす」と強いメッセージを出しておきながら、それも投げ出し、菅政権で入閣。
さもしい、としか表現のしようがありません。
次の衆院選には出馬せず政界から引退することをほのめかしていた与謝野氏。
残り少ない政治家人生を楽しむためには、大臣になるのが一番と考えたのでしょう。
もちろん与謝野氏には与謝野氏の理屈があるのでしょうが、政治家としての矜持のかけらもなくした変節大臣の主張に、
いったい誰が真剣に耳を傾けるでしょうか。
そんな与謝野馨氏に入閣を求めた菅直人も、その求めにほいほいと乗った与謝野馨氏も、さもしい。

過去にもお粗末な政権はいくらでもありましたが、これほどさもしい政権は憲政史上に例をみません。
解散、総選挙へと突入していくのはもはや時間の問題ではないでしょうか。

01月07日(金)

【いつまで続く、トヨタの漂流】

今年の景気予測は悪くない。
いずこのシンクタンクも似たりよったりで「前半は減速するものの、後半は上昇」というのが大方の見立てである。
その通りの展開になるのであれば、実体経済を先取りする株式市場は年明け早々から上昇する、ということになる。

トヨタ株は買えるのか

そんな年明けのなか、機関投資家の間ではトヨタ自動車株の成り行きに注目が集まっているという。

「トヨタ株をいつ買いに出るのか?」
「何をきっかけに買いにでるのか?」
それが皆目分からないのだ、と大手証券幹部は言う。

「今年度、トヨタは連結決算では3000〜4000億円の黒字を出すと予想していますが、単独決算では依然として赤字から抜け出せない。
日本経済の閉塞感を象徴するトヨタの業績不振がいつ解消するのか。 正直、手掛かりがない。ホンダ、日産とは対照的です」

リーマンショックによる米国自動車市場の急激な縮小と米国内で燎原(りょうげん)の火のごとく広がった
大規模リコール問題とのダブルショックが無敵艦隊、トヨタを痛打した。
豊田家御曹司への政権移譲直後のダメージから、実はトヨタはまったく抜け出せずにいる。

日経BPnetにも原稿アップしました。
続きは こちらからご覧下さい!

 ■バックナンバーはこちらから!

2016 2015 2014 2013 2012 2011 2010 2009 2008 2007 2006 2005 2004 2003 2002 2001 2000