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12月17日(木)

【民主の“高速逆走”で危機に瀕した日本経済】

若葉マークをつけた新米ドライバーが危なっかしいのはやむを得ない。
アクセルを踏むべき時に踏み込めなかったり、ブレーキのタイミングが遅すぎたり早すぎたり。
ベテランドライバーたちが寛容にそれを受け入れることで、新米は一人前に成長していく。

リアルに危ない民主の経済運営

政権交代からまだ3か月あまり。

鳩山政権に対しても、多くの国民は若葉マークに免じて目をつむってきた。
しかし物事には限度というものがある。
いかな新米ドライバーとはいえ、高速道路を逆走するような行為は絶対に許されない。
それはドライビングテクニックの問題ではなく、
他人を巻き添えにした自殺行為以外のなにものでもないからだ。

経済・財政運営をみる限り、残念ながら鳩山政権は
完全に高速道路を逆走し始めたというほかない。
“危なっかしい”のではなくリアルに“危ない”。

成長戦略が皆無であることを散々非難されたために、
鳩山政権は菅直人国家戦略相を中心とする「成長戦略策定会議」を
12月15日に立ち上げたが、正直言って、絶望的だ。

なぜか。

思想が間違えているからだ。

16日には国家戦略室が新たな成長戦略策定のために
有識者から意見聴取する会を開いた。
席上、竹中平蔵元経済財政相と菅直人国家戦略相との間で
激しい議論の応酬があったようだ。

「経済成長の基礎は供給側になければいけない」という竹中氏に対して、
菅氏は「需要側が重要だ」と譲らなかったとNIKKEI NETが速報していたが、
菅氏のこの発言は民主党政権の誤った成長戦略思想を象徴している。

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12月14日(月)

【虎視眈々と「ナンバーワン」を狙うスズキ自動車】

スズキ自動車とフォルクスワーゲンの資本提携によって
世界1の自動車メーカー連合が誕生するというニュースがでました。

成長するインド市場で圧倒的な存在感をもつ"巨人"となったスズキですが、
環境対応技術の開発では決定的な遅れをとっています。
一方フォルクスワーゲンはインドでの足掛かりが欲しい。
ワーゲンの電気自動車技術とスズキがつかんだインド市場。
いい補完関係です。

かつてスズキの鈴木修会長はバイクの国内シェアについて
「立派な第3位を目指す」と言っていました。
「1位を目指すなんていったら、ホンダ、ヤマハを刺激してろくなことにならん」からでした。
インド進出の理由も面白かった。
「インドならナンバーワンになれる」からでした。

大言壮語は言わないが、心の奥底では虎視眈々と
「ナンバーワン」を求めてやまなかった鈴木修会長。
そのしたたかさが自動車動乱期で見事開花していきそうです。
先々が楽しみです。

12月07日(月)

【ドバイショックは本当か】

ドバイの政府系投資会社が資金難に陥り、返済猶予を求めたことをきっかけに、
昨年のリーマンショックに続いて、今度はドバイショックかという緊張が
マスメディアに流れました。

信じられないことですが、所轄外のうえに門外漢でもある川端文科相が
「ドバイショックはリーマンショック以上に大きな問題になるかもしれない」と発言。
また世界は金融危機に突っ込むのかと緊張した方もいらっしゃるかもしれませんが、
まったくとんちんかんな話です。

もちろんドバイに一番貸し込んでいた欧州の金融機関が
倒産リスクを抱え込んだことは間違いありませんが、
たいした問題にはなりようがありません。
ドバイの背後には同じUAE(アラブ首長国連邦)のアブダビが控えています。
膨大な石油収入をもつアブダビは世界に2000億ドルの資産をもつ大金持ち。
いざとなればアブダビがいくらでも処理するでしょう。

この国は狼少年が多すぎますね。

11月26日(木)

【内田裕子がサンプロ特集を担当します!】

政策シンクタンク「HARVEYROAD JAPAN」で私とともに仕事をしております、
経済ジャーナリスト 内田裕子が、
この度、「サンデープロジェクト」で特集を担当することになりました。

内田裕子は10年の長きにわたり、私と一緒に製造現場を取材してきました。
歩いた取材現場の数だけは誰にも負けません。
経営者へのインタビューも数しれません。
今回の特集では、地方で頑張る中小企業を取り上げています。
内田が最も得意とするところです。

福岡県久留米市で鋼材やアルミなどの材料を扱う中小企業"松本商店"が、
必要な材料を必要な形に加工し、必要な時にお客さんにお届けしますという、
画期的なビジネスモデルを作り上げました。
久留米の「ジャスト・イン・タイム」サービスですが、
彼らはこれを「必要な時、必要な数量(イルトキ・イルダケ)」と名付けました。
材料屋を越えた材料屋、松本商店に内田裕子が密着取材を敢行。
塗炭の苦しみを味わっている中小企業の製造現場で
「必要な時、必要な数量(イルトキ・イルダケ)」がどれほど役立っているか。

【放送日時】
11月29日(日)10:00〜11:45(テレビ朝日系)
【番組名】
サンデープロジェクト 特集 シリーズ【ものづくり日本】
「基本に忠実であれ〜業界の常識を覆したビジネスモデル〜」

内田裕子渾身の取材レポートです。
ぜひご覧下さい。

11月16日(月)

【“質”が問われる事業仕分け】

来年度予算要求の無駄を洗い出す「事業仕分け」が活発に動いています。

作業初日となった11日は合計500億円の事業を「廃止」に。
2日目は「天下り」の温床である公益法人などが抱える14の基金、
合計約6000億円を「国に返納」するよう求めました。

もちろんただカネをひねり出せば良いというのでないことは当然のことで、
事業仕分けの“質”が問われるのはあたりまえでしょう。
11月24日からの事業仕分け第2セッションには立ち会ってみようと思っています。
仕分けをする側とされる側の論理と態度を見れば、
この作業の正当性がどれほどあるのか、それもおのずとわかってくると思います。

そして、民主党政権誕生によって会計監査院ががぜん頑張り始めたとのことです。
行政の無駄取りは会計監査院の仕事でしたが、
これまでたんなる「指摘」で終わってきた会計監査院が、
強い後ろ盾を得て、初めて機能し始めたようです。

11月10日(火)

【“中国の時代”に日本はどう生きる?】

リーマン・ショックを境に世界における中国の存在は様変わりした。

史上まれにみるグローバルな金融危機を前に無力だったのは米国だけではなかった。
それまで世界経済の舵取り役を果たしてきた先進8カ国(G8)の限界も露呈した。

G8の時代からG20の時代へ

代わって世界の表舞台に登場してきたのがBRICsなど
新興国を加えた20カ国によるG20の枠組みだ。
2009年9月24日、米国ペンシルベニア州で開かれたG
20の首脳会合後の記者会見で、
米国政府関係者が注目すべき発言をした。

「今後の国際的な経済問題を話し合う場として、
 中国、インド、ブラジルなど新興国を含めた
 20カ国・地域(G20)の会合を中心に据えることで各国が合意した」

G8よりG20を上位の意思決定会合にすることが確認された瞬間だ。
G20会合の定例化が決まった。2010年6月はカナダで、11月は韓国で開催される。
当然の成り行きだが、日本にとっては厳しい環境変化だ。

G8なら日本はアジア唯一の参加国として存在感を発揮しえたが、
意思決定の枠組みがG20へと拡大したことで
日本の存在感が大きく後退した事実は否定のしようがない。
対照的に圧倒的な存在感を見せつけたのが中国だった。

予想以上に中国の景気回復は速く、瞬く間に8%を越える成長軌道への復帰を実現した。
今年か来年か、GDPで日本を追い抜いて世界第2位の経済大国にのし上がる。
さらに中国の外貨準備高は2兆ドルに達しており、
第2位の日本の2倍の規模にまで膨れ上がっている。

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11月09日(月)

【駅伝ブームが始まった!】

人はなぜ走るのでしょうか?

最近のランニングブームは尋常ではありません。
1年ほど前にTBL(BS日テレ『財部ビジネス研究所』)でビジネスマンやOLたちの間で、
昼休みや仕事終わりの皇居ランニングが大ブームになっているという特集を放送しました。
この放送をきっかけにTBLランニングチームが誕生。
内田裕子をはじめ番組スタッフも皇居を走り始め、レースに参加し始めました。

そしてこの10月、内田裕子と当事務所の関係者が神宮外苑駅伝に参加。
11月8日には立川の昭和記念公園で開催されたEKIDENカーニバルにTBLランニングチームが参加。
リサ・ステッグマイヤーさんも第1走者として10キロを走りました。
膝に故障を抱える私は恥ずかしながら“監督”として参加。
駅伝は襷をつなぐ究極のチームプレー。
個人のランニングレースと違い、駅伝メンバーの達成感、一体感は格別のようでした。
なんといっても応援団まで感動を共有できるほどですから。

それにしても2度の駅伝、参加チーム数が1500組〜1600組!
なぜいま駅伝ブームなのか。本格的に検証する価値がありそうです。

11月02日(月)

【予算措置不要の内需拡大策がある!】

3泊4日、急ぎ足の中国取材から帰ってきました。
今回の取材は中国とフィリピンに造船所を持ち、
苛烈な競争を生き抜いている広島の造船会社の姿を追ってきました。
詳しくはまたあらためますが、途中立ち寄った上海で親しい友人たちと会いました。
上海市の高級官僚は絵にかいたようなブルジョア官僚で、目下最大の関心事は資産運用です。
「上海ではいま再び不動産価格が上昇している」というのです。
ただし「今回はどこのマネーが買い上げているのかわからない。
用心しなければならない」とも話していました。

興味深いのは彼が一番投資したいのは中国国内ではなく、日本だということです。
中国では土地の所有権は買えません。
あくまでも利用権のみ。
しかも購入したマンションの内装はすべて自分でやらなければいけない。
壁紙からトイレまで、すべて自分で買ってこなければいけません。
彼曰く「トータルでみると日本のマンションはとても割安だ」。

ビザ発行の規制緩和でチャイナマネーを呼び込むチャンスです。
予算措置の要らない最高の内需拡大策です。

10月27日(火)

【鳩山首相 献金問題の行方】

「鳩山退陣は時間の問題。頑張っても、せいぜい2月だろう」

政治部のベテラン記者の見立てです。
総選挙前から取り沙汰された個人献金問題です。
秘書は既に任意聴取されましたが、地検特捜部はついに鳩山首相の捜査へと動きだしました。

2月鳩山退陣説。どこまでリアリティのある話なのかはわかりません。
しかしその時、国民が受ける衝撃は半端ではないでしょう。
政権交代しても日本の「短命政権病」を断ち切れないのですから。

ちなみに次期首相は「岡田外相」だそうです。
こんなシナリオが現実になるなら、日本は救いがたい国です。

10月26日(月)

【民主党「内需」優先主義の奇妙さと危うさ】

「民主党に献金する必要はないが、自民党への献金はやめてもらいたい」

ある大手企業の役員は小沢一郎幹事長のこの言葉に背筋が凍ったという。

「小沢さんは自民党をこの世から消し去る気なのだと思いました。
 来年の参院選はそのプロセスでしかない。
 4年後の衆院選まで絞めあげれば、自民党は資金難で崩壊しかねない」

泥船から逃げ出してくる自民党議員を民主党が吸収して、
巨大政権与党へと膨張したところで党を二つに割って、
本格的な二大政党時代を創りだす。
小沢幹事長の深謀遠慮か。政治の本質は権力闘争だ。
それで日本が良くなるなら何でもやってくれて構わない。

ところが、このところの民主党閣僚たちの極端な「内需」偏重発言ばかりは看過できない。
日本経済に対する認識におけるそのリアリティのなさに空恐ろしくなる。

外需依存は悪いことなのか

現実離れした認識その1は「外需依存がすべての元凶」という考え方だ。
リーマンショック後の世界同時不況の実態は、
2000年代前半から始まったヨーロッパと米国のバブル経済の崩壊だ。
金融テクノロジーを駆使したサブプライムローンを組み入れた投資信託など、
一般の人たちには難解な金融商品もあったが、
それらは単にカネ余り時代の資金運用手段のひとつとして、
そういうものがあったというだけにすぎない。
事の本質はきわめて単純で、欧米のバブル経済が同時崩壊し、
日本の輸出産業はそのダメージをもろに被った。
それだけの話だ。

きわめて不幸な話だが、なぜそれが世界で最も競争力のある
日本の自動車産業やエレクトロニクス産業の成り立ち方を否定する話になるのか?
まるで理解不能だ。
トヨタ自動車が日本国内で販売している自動車の台数は、全体のわずか10%。
残りの9割は海外生産と輸出だ。
日本経済の大黒柱であるトヨタの雇用の多くは外需と輸出に支えられている。
その貢献度は無視できない。

さらにいえば中堅中小企業の大多数は何らかの形で、外需産業の下請けである。
外需産業の存在を否定することはそれを支える中堅中小企業に死ねと言うことに等しい。

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10月19日(月)

【羽田空港ハブ化は当然だ】

前原誠司国交相の「羽田空港ハブ化」発言が波紋を呼んでいるようですが、
国際的視野に立てば、羽田空港のハブ化・24時間オペレーションは当然のことです。
むしろ遅すぎたというべきです。

成田空港や関西空港などをかかえる千葉県や大阪府には、
ことここに至るまで歴史と経緯があることはすべて承知したうえで、
それでも羽田空港ハブ化は、日本の国益を守るために避けて通れません。
対立する利害を調整する基準は国際的な視野に立つことが不可欠です。

内向きな議論ばかりが続く民主党政権で、前原大臣の国際感覚は出色です。

10月07日(水)

【亀井徳政令は悪夢か】

「3年間の返済を猶予する」という亀井静香金融担当大臣の言葉は、
金融の現実を知っている者には荒唐無稽、現実をわきまえぬポピュリズムとしか映らなかった。
民間の契約関係への国の介入などあっていいはずがない。
メディアがいっせいに疑念の声をあげたのも当然のことだ。

現実的な資金繰り支援策へ

しかし資金繰りに苦しみ続けてきた中堅中小の経営者の反応はまるで違っていた。
まるでそれは「悪魔の囁き」のように中小企業を魅了した。
それだけ多くの経営者が日々の資金繰りに苦悶しているということだ。
彼らは長年、銀行の非情さと無責任さに泣かされながら、
したたかに銀行からカネを借り続けてきた。
借り手が一方的にメリットを受けるモラトリアムを
銀行が簡単に飲むわけがないことを、彼らは身体で知っている。

メディアが言うような「徳政令」が本当に実現できるのか?

日本中の経営者たちの心は揺れていた。

そんなさなか、亀井大臣はテレビ朝日系の情報番組
『サンデープロジェクト』(9月27日)に出演した折に明言した。

「私は“徳政令”などと言ったことはただ一度もない」

その通りだ。モラトリアムの対象がすべての中小企業に及ぶとも言っていない。

だが“徳政令”はマスコミが一方的に創りあげた
共同幻想なのかといえば、そうではない。
“徳政令”と表現されても仕方ないほど、
亀井大臣がモラトリアムへの期待感を煽ったことは間違いない。

しかし10月1日、全国銀行協会の永易(ながやす)克典会長(三菱東京UFJ銀行頭取)との
会談をきっかけにモラトリアム幻想は急激に萎み、
現実的な資金繰り支援策へと方向を転じた。

10月2日の報道によれば返済猶予はあくまでも「貸し手と借り手の話し合い」によって
実行されるべきものと亀井大臣が発言したという。
もはやこれはモラトリアムでもなんでもない。
返済条件の変更に銀行が応じやすくするために、
国が信用保証をつけるといった程度の話に落ち着きそうである。

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10月05日(月)

【米農政失敗の象徴】

先週、秋田県の大潟村に取材へ行きました。

いまから40年前、この村は琵琶湖につぐ日本第二の湖だった
八郎潟を埋め立てしてつくられた人工の農村です。
600戸ちかい農家が希望に溢れて全国から集まってきました。
日本の農地の平均1.5ヘクタールにたいして大潟村では15ヘクタール。
10倍です。
大規模農業の夜明けになるはずでした。

ところが入植者が耕作を始めた直後に、国は減反政策に舵を切りました。
そこから大潟村の悲劇が始まりました。
この村は日本の米農政失敗の象徴です。

09月28日(月)

【エレクトロニクスメーカーの闘争心】

先日、大手エレクトロニクスメーカーのトップと
久しぶりにお目にかかる機会がありました
。折しも鳩山由起夫新総理が国連で「温暖化ガス25%」を国際公約した直後。
「どうですか、この目標は」という問いに対する答えが印象的でした。
「25%でも30%でも関係ありません。
 当社は環境に資する会社になることを目指すのみです」
「民主党政権の支援についてはどんな感想がありますか?」に対しては
「何かを期待するつもりはありません。自力でいきます」。

民主党政権はけっこういい滑り出しをしました。
しかし外需を否定し、内需専心という非現実的な経済政策だけはいただけません。
しかしそれは外需の担い手であるエレクトロニクスメーカーの闘争心に火をつけたようです。

09月25日(金)

【八ツ場ダムとJAL 「政官業癒着」の構造は同じだ】

連日、就任早々の前原国交相を悩ませる「八ツ場」と「JAL」。
一見するとなんの脈絡もないバラバラの政策課題に見えるが、
実はこれらの問題はまるで同根に思える。

政官業の強欲な癒着構造。

これこそが八ツ場の悲劇やJALの自力再生を阻んできた元凶である。
治水、利水が本来ダム建設の大義名分。
だが、政官業の癒着構造が維持してきたのは
ダム建設によってもたらされる巨大利権だ。
族議員と官僚とゼネコンを中心とした既得権者の利益が最優先され、
本当に必要なのかという議論がないがしろにされたまま、
札束で地元対策が行われてきたのが八ツ場ダムの歴史だろう。

国の支援をいくら受けても自力再生できぬJALの甘えた経営は、
形を変えた八ツ場ダムである。
JALという官営航空会社は株式を公開して民間企業となった後も、
政府が一定の株式を保有し続け、歴代社長の多くは旧運輸官僚の天下りだ。

航空行政は政官業癒着の構造そのものだ。
採算がとれるとはとうてい思えぬ地方空港建設は、
ダム建設にも負けない蜜の味である。
空港さえできれば経済が活性化するのではないかという
地元住民の勘違いも見過ごせないが、
いずれにしても日本中で採算度外視の地方空港建設に
歯止めがかけられなかった。
その最大の背景は政官業の強欲癒着構造に尽きる。

民主党の目指すべき「脱官僚」とはこの癒着構造をぶち壊すことにほかならない。

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09月18日(金)

【政権交代のダイナミズム】

民主党政権の新閣僚たちが次々と「脱官僚」施策を打ち出し始めました。

「天下り凍結」「国の出先機関原則廃止」「八ツ場ダム中止」「補正予算の執行停止」などなど、
人により、立場により、評価は分かれるでしょうが、
政権交代のダイナミズムは誰しもが感じているのではないでしょうか。

たしかに新任閣僚はまえのめりで、制度設計もなんの調整もなしに
スンナリと変革が成就するとは思えません。

しかし政官業癒着で税金をネコババしてきた構図に
鋭くメスが入ったことは間違いありません。

大企業敵視、産業政策ほぼゼロの民主党政権には言いたいことは山ほどありますが、
若葉マークの政権に多くを望みすぎてもだめでしょう。
自民党政権下で溜まりに溜まった膿をだすことが先決です。

09月14日(月)

【若手官僚は「脱官僚」をチャンスと捉えろ】

「脱官僚」で霞が関は右往左往とばかり思っていたのですが、
どうやらやる気のある若手官僚のなかには千載一遇のチャンスと
前向きな受け止め方をする人たちも少なくないようです。

既得権の岩盤は官僚一人ではなく、政官財のトライアングルが作りだしたもの。
これまではビクともしなかったその岩盤がいままさに崩れかけようとしているのです。

「脱官僚」どころか、新しい秩序構築のために、
むしろ官僚が力を発揮する余地がこれから大きくなっていくという期待感です。
僻み根性の天下り批判や短絡的な官僚批判の時代は政権交代とともに終わりました。

日本の官僚制度をどう再構築するのか。
リアリティのある議論をもう始めなければいけません。

09月07日(月)

【メディアは小沢批判を封印しろ】

9月4日、民主党大勝の立役者、小沢一郎氏の幹事長就任を伝える
新聞、テレビは恥も外聞もなく、いつも通りの小沢批判を繰り広げました。
マスコミは小沢氏が無役になれば「院政」といい、
官房長官になればまた「権力の二重構造」批判をするのでしょう。

歴史的な政権交代を果たしたとはいえ、民主党は若葉マークです。
産み落とされた子馬が、なんとか自分の足で立ち上がろうとしている時なのだから、
紋切り型の小沢批判で難癖をつけたり、
人事をめぐる党内の不平不満を興味本位で書き立てたりするような、
下世話な報道は厳に慎むべきです。

米国のマスコミでさえ、大統領就任から100日間は
「ハネムーン期間」と称して、厳しい批判を避ける。
まずは「見守る」わけです。
日本の報道機関はその程度の常識も持ち合わせていないということになります。

もちろん、批判そのものがいけないわけではありません。

308議席を国民からもらった民主党は、
マニフェストに対して絶対的な責任を負っています。
国民との約束をどう実現するのか。このチェックに容赦は無用です。
手心加えず、民主党に厳しい太刀を振り下ろし続ければいい。

「見守り」つつ「厳しく鍛える」。

それが正常なメディアのあり方でしょう。

09月02日(水)

【財務省は民主党政権誕生を利用しろ】

「予算の全面見直し」を迫る民主党に霞が関が戦々恐々としている。

なぜか。

ある財務官僚の見立てはストレートだ。

「霞が関が浮き足立っている理由は、
業界団体とグルになった予算にメスを入れられたら厄介だからです。
そんなことになれば、再就職の機会が激減してしまう」

浮き足立つ霞が関の官僚たち

お粗末な話だが、それが霞が関の現実だ。
個人レベルでは人品骨柄、能力ともに優れた官僚が少なからず存在する。
滅私奉公の四文字を体現したような見事な役人ぶりを発揮する人たちも現にいる。
だが役所という組織の論理は腐りきっている。

彼らの「省益」とは「天下り先をどれだけ確保するか」だけだと断じていい。
ことに役所の実効支配を受けている特殊法人や公益法人への天下りが悪辣なのは、
役人OBが働かずに高額の報酬や退職金を掠め取っていることに尽きる。

人口が減り、経済成長もままならず、地方経済が崩壊しているのに、
役人は天下り先の確保、拡大に最大の価値を置いている。
役所の権限拡大とは予算を大量に獲得して、
それを関係諸団体に流し込み、そのおこぼれをOBに横流しする。
これが役所の実態だ。

役人の意識がどれほど腐っているか。

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08月20日(木)

【激走する中国・韓国経済に危機感を持てない日本の政治】

中国、韓国が思い切ったグローバル戦略で世界経済を席巻しはじめた。
リーマンブラザーズ破綻以後の経済危機をきっかけに、
日本国内では不況を深刻にしたのは輸出に依存しすぎたからだという
「外需犯人説」一色となった。
そして日本経済復活の鍵は「内需」に尽きる、という内向きの議論が横行している。

EUとのFTA締結で先んじた韓国

一見するともっともらしく思えるが、
資源もない小さな島国である日本が人口減少社会に突入したいまだからこそ、
いかにして外需を取り込み、海外の資本を日本に引っ張り込んでくるかが
最重要課題である。
内需振興も重要だが、だからといって外需と内需が相反するわけではない。
内・外需それぞれにふさわしい成長戦略を描くことが求められている。
しかし衆議院選挙を目前にひかえ、政治家たちの思考は
恐ろしいほど内向き思考になってきた。

そんな日本を尻目に、中国・韓国が世界市場を駆け巡り始めた。

まず韓国は7月13日、欧州連合(EU)と
自由貿易協定(FTA)締結に向けた交渉で妥結したことを表明した。

このニュースは日本の自動車、エレクトロニクス業界に衝撃を与えた。

EUは加盟国27カ国、人口5億人、経済規模は18.3兆ドルと、
米国を上回る巨大市場で、日本企業は韓国企業と激しい価格競争を繰り広げている。

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08月17日(月)

【『魔女狩り』で『格差』は解消できない】

いまや日本では格差社会の元凶は小泉構造改革だとされている。
衆議院総選挙を目前にした政治家たちは、
小泉元首相とその指南役だった竹中平蔵氏が
日本を格差社会に追い込んだという批判を繰り返している。
市場原理を最大の価値とした政策理念が、
製造業への安易な派遣を認めたことが所得格差を生み、
耐え難い格差社会を作り出してしまったという。
じつにわかりやすい『魔女狩り』的ストーリーだ。

だが本当にそうなのか?

先月公表された今年度の経済白書は、結果として、
この魔女狩りには正当性がないことを論証した。
所得格差は1980年代から始まり、
格差の拡大がとりわけ大きかったのは97年〜02年であり、
02年〜07年にかけてはむしろ格差拡大ペースが落ちたことを
経済白書の統計は示している。

じつは8月16日のサンデープロジェクトに出演した竹中氏は、
野党幹事長からの厳しい格差批判に対して経済白書を持ち出して反駁したが、
彼らは一切耳を傾けなかった。
だが客観的には小泉政権下の02年から07年、格差拡大が緩やかになっていた。
その理由について経済白書は、
「景気回復の続くなかで、非正規雇用者の給与水準がある程度高まったため」
としている。
だからといって小泉政権が格差問題に対するすべての責任から免責されるとは思わないが、
魔女狩りさながらに、すべての責任を小泉・竹中に押し付けるのは
短絡した悪意と言わざるを得ない。

格差問題の是正には、セーフティネットの充実とともに
成長戦略も不可欠だということだ。

08月11日(火)

【景気底入れ観測の真相】

先日、ある会員の方から景気予測を「HARVEYROAD WEEKLY」に書いて欲しいとの依頼がありました。

6月まで「100年に一度の経済危機」を連発していた政治家たちは
「景気は底入れか」などと言い始めました。
まったく矜持のない輩ばかりです。
半年で底入れするような不況を「100年に一度の経済危機」と認識したことが間違いなのか。
それとも「底入れ」が間違いなのか。
おそらく両方とも間違いでしょう。

来週は私も夏休みをとります。「HARVEYROAD WEEKLY」も来週は休刊します。

お盆明け、日本の政治は大きく動き始めますが、
今後の「HARVEYROAD WEEKLY」で09年度後半以降の景気に対する
私の考えを明記したいと思います。

暑い夏がやってきました。どうぞ皆様もご自愛しつつ、夏を楽しんでください。

08月04日(火)

【霞が関解体なしに道州制なし】

8月2日のサンデープロジェクトでは地方分権が議論の大きなテーマになった。
大阪の橋下徹府知事、横浜の中田宏市長、名古屋の河村たかし市長
そして東京都の猪瀬直樹副知事の四人による地方分権の論議は
かんかんがくがくの議論へと発展したものの、
残念ながら議論はかみ合わぬまま、大混乱のなかで番組は終了した。

かみ合わない議論で番組が大混乱

なぜ議論がかみあわなかったのか。

理由はいろいろあるだろうが、
一番は「地方分権」あるいは「道州制」という言葉の定義が曖昧なことだ。
同じ議論のテーブルについている者どうしでも、
それらの言葉の意味、定義が明らかに違っている。
たとえば道州制の一言によって頭に描き出される姿も、じつは十人十色だ。
都道府県は国の縛りでまったく自主経営ができない。
しかも近隣他府県との縦割り行政の弊害も問題だ。
そこで大阪の橋下府知事などは大阪府を発展的に解消して、
近隣他府県と“関西州”を作り、効率の良い広域行政を実現したいとしている。
それはそれでひとつの見識であろう。

だが器を作れば地方分権が実現するほど霞が関は甘くない。

過去30年以上の行政改革の歴史がそれを立証している。
器の議論は常にループホール(法や制度の抜け穴)を作られて、
骨抜きにされる。道州制という形だけを実現しても課税自主権など、
国からの権限委譲が不十分なら、道州制などやらない方がいい。
手間、暇、コストをかけて地方自治を複雑にするだけだ。
重要なことは器の議論ではなく、本当の地方分権を実現することである。

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07月29日(水)

【不毛な財源論より脱官僚こそが争点だ】

7月28日に民主党のマニフェストが公表された。
当然のごとく、自民党からは財源を示さぬ、無責任な人気取り政策だとの批判が続出した。
「財源を示すことなしに、耳さわりの良いことばかりをあげつらねた
 民主党のマニフェストは究極のポピュリズムだ」

自民党政治を続けるのか、やめるのか

子供手当てや高速道路無料化など新たな歳出項目に必要な費用は明記したものの、
歳出カットの個別具体的な数字はたしかに示されていない。
その意味では自民党幹部による民主党マニフェストへの批判は妥当する。
一方、自民からの財源批判に対しては、民主党もメディアを通じて、
繰り返し反論をしてきた。
「霞が関から十分な情報提供を得られない野党のままでは、
 財源の詳細を示すことなどできるわけがない。
 だが探せば財源は必ずある」
というのが民主党の主張だ。 いよいよ総選挙政権交代がリアリティをもってきた今、
私たちは民主党の財源問題をどのように受け止めたらいいのだろうか。
無責任だと切って捨てることもできるし、
もっともだとその言い訳を受け入れることもできなくはない。

結論から言えば、民主党への財源批判は不毛な議論に思える。

なぜなら民主党のマニフェストは終始一貫、
永年の自民党の政策に対するアンチテーゼになっているからだ。
これまでの自民党政治を続けるのか、やめるのか。
民主党のマニフェストはそれを国民に突きつけているからだ。

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07月28日(火)

【麻生総理が公務員制度改革?】

麻生総理は衆議院解散直後の記者会見で「公務員改革」への強い決意を表明しました。
正直、私は怒りを覚えました。
なぜなら安倍、福田政権から引き継がれてきた公務員制度改革を
徹底的に骨抜きにしたのは、誰あろう、麻生総理自身だったからです。

総理就任直後から「官僚は敵ではない。使いこなせばよい」などと言い放ったものの、
総理就任以来、使いこなされたのは官僚ではなく、
総理が官僚に使いこなされたというのが実態でしょう。
でたらめな天下りに歯止めをかける。官僚の人事権を政治家が握る。
当たり前の姿を目指した公務員制度改革を麻生総理が握りつぶしてきたから、
渡辺元行革相は自民党を離党したのでしょう。

「脱官僚政治」

これだけは麻生総理が絶対に口にすることが絶対に許されない言葉なのです。

07月15日(水)

【食品業界の視線は海外へ進む日本企業の多国籍化】

7月13日の日本経済新聞が朝刊の一面トップですっぱ抜いた「キリンとサントリーの経営統合」。
持ち株会社による統合なのか合併なのか。憶測が飛び交っている。
新聞報道によればキリンホールディングスが14日に
「経営統合に向けた交渉が初期段階にある」ことを正式に認めたという。

国内市場だけではもう発展できない

衝撃的なニュースではあったが、実に得心がゆくスクープだった。
上場企業のキリンホールディングスと
非上場のファミリービジネスであるサントリーホールディングスの
経営統合は簡単ではない。
持ち株会社方式にするにせよ、対等合併をするにせよ、
経営形態の異なる両社が統合するまでには、
越えなければならないハードルが山ほどある。
サントリーのある幹部は
「報道先行でいろいろ言われるが、奇跡でも起こらぬ限り、
 短時日での統合などありえない」
と言い切る。
だが、いずれにしてもキリン・サントリー統合のニュースは
企業経営者の本音を映し出している。
「日本の国内市場だけではもう発展できない」
強烈な危機感が透けて見える。人口減少社会に突入し、
パイ全体が減り続ける国内市場において
同業同士で無駄な消耗戦を繰り返すよりも、
手に手を取って一緒に成長著しい中国やASEANなど
海外市場に打って出ようという経営判断だ。

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07月10日(金)

【今回のハーベイロード勉強会に向けて】

タレント知事に右往左往させられる日本の政治をみていると
ため息がでてきます。
地方分権、おおいにけっこうですが、
タレント知事にすりよる自民党の醜態にはうんざりさせられます。
民主党にどれほどの力があろうとなかろうと、
政権交代後にやってくる混乱状態のほうが
どれほど日本の将来に対して生産的かわかりません。
自民党は完全に消費期限を過ぎてしまったようです。

どちらが政権をとったとしても、自分の会社は自分で守るしかありません。
そんな時代に企業はどこに活路をみいだしたらいいのでしょうか。
いまこそ求められるのはグローバルセンスです。
世界を、そしてアジアを理解しなければ何も見えてきません。

12日の勉強会ではそんな問題意識ですすめていきたいと思っています。

07月01日(水)

【液状化する自民党が日本の空洞化を推進する】

ついに自民党は液状化現象を起こすまでに堕ちてしまった。

国民の審判を仰ぐことなしに安倍、福田、麻生と首相のクビを三度すげかえるという
民主主義の自殺行為を繰り返しただけでは飽き足らず、
いままた「麻生降ろし」が自民党内から噴出している。
「貧すれば鈍する」とは言うものの、ここまで醜態をさらしてくると、
民主党に政権担当能力があるかないかを議論するモチベーションすら消え失せてきた。

液状化した自民党よりは民主党の方がまし

なぜなら民主党がどれほど政権担当能力を欠いていたとしても、
衆参のねじれを引きずったまま、
完全液状化した自民党が政権を担うよりはよほどましだろう。
どれほどひどい政権が誕生してもいまの麻生政権よりひどいことにはなりえない。

国の経済が沈没しているというのに、
いまの自民党は選挙目当ての政局にしか関心を持てないようだ。
しかも、その手前勝手な政局を解散によって終わらせることもできずに
ここまで引っ張ってきてしまった。
解散総選挙がいつなのか、ここに至ってはもうそんなことはどうでもいい。
マスコミは自民党と一緒になって連日大騒ぎをしているが、
7月でも8月でも9月でも「どうぞご自由に」というのが多くの国民の偽らざる思いだろう。

まるで今の日本は篤姫や竜馬が活躍した幕末と変わらない。
国際情勢に疎い幕府が日本という村社会の中での既得権に拘泥した姿が、
いまの日本にそのまま重なる。
時々刻々と変化し続ける国際情勢に政治家と官僚はまったく無知・無関心だ。

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06月18日(木)

【日本のバブル崩壊に学んだ米インフレ政策の危うさ】

日経平均が1万円までもどってくると、
それだけで凍りついた不況心理もほんのわずかとはいえ緩んでくる。
6月の月例経済報告でも、景気の基調判断から「悪化」の二文字が消え、
政府は事実上の底入れ宣言をした。
もちろんV字回復を期待する能天気な楽観論はどこにも見当たらないが、
最悪期は脱したのではないかという安堵が広がりつつあることはまちがいない。

米国の不良債権処理にいつメドがたつか

予想を上回る中国経済の回復力が
日本経済の大きな後押し要因になっていることは明らかだが、
破綻した米国経済の復活なしには、
日本の本格的な景気回復はのぞむべくもない。
中長期的に日本の将来を考えれば、米国依存型の経済構造から、
21世紀の世界で最も大きな成長が期待される東アジアへ
日本は大きく軸足を移す以外に選択肢はない。
だが、極端な米国頼みという現状を直視すれば、
残念ながら日本は米国の景気回復を祈るより他ない。

では米国経済はどのようなプロセスを経て復活するのか。

そのために米国政府はいかなる復活シナリオを描いているのだろうか。

トッププライオリティは「不良債権問題」の解決だ。
2008年秋の金融危機発生直後、誰もがサブプライムローンやその証券化商品など、
資金運用手段というディテールにはまりこんだたために問題の本質を見失ったが、
米国そして欧州で起こった経済危機の本質は「バブル崩壊」にほかならない。
きわめて単純だ。
過剰なマネーの行き場が、株式投資や不動産投資というシンプルなものにとどまらず、
複雑な金融商品にまでなだれ込んだだけだ。

いま米国や欧州が直面している問題はバブル経済の敗戦処理であり、
それこそが金融機関の不良債権処理なのである。
つまり米国経済がいつ底を打ってプラスの経済成長軌道に戻るか否かは、
米国の不良債権処理にいつメドがたつかということにほかならない。

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06月04日(木)

【事実上の国有化でさらに不安が増すGM再建】

サンフランシスコの対岸のオークランド市で面白い話を聞きました。

米国政府が大株主になったことでGMは突然死を免れた。
連邦破産法11条を申請し、破綻したGMはいまや国有企業として再起を帰す。
オバマ大統領は「口は出さない」というが、再建に赤信号が点滅し始めたら、
政治家や役人たちによる責任のなすりつけ合いが始まり、
政府は間違いなくGMの人事に手を突っ込んでくるだろう。

国有化されたから安心なのではない。むしろ逆だ。

連邦破産法第11条は再起が前提だが

連邦破産法第11条は日本の民事再生法とはかなり趣が違う。
民事再生法の場合は申請こそしたものの、有力なスポンサーが出現せず、
そのまま清算に追い込まれた企業は枚挙にいとまがない。
それに対して米国の連邦破産法第11条は、再起を前提とした規定である。
法律の考え方がまるで違う。
だから昨年末にGMの経営危機が深刻化するやいなや「11条申請すべし」の声があがった。
「申請すれば救われる」という認識が一般的だからだ。

しかしワゴナー前会長は「11条申請」に強く反対していた。
同会長と親しい日本の自動車メーカーの経営者によれば
「11条は絶対に申請しない」と断言していたという。

「11条申請をすれば債務も圧縮できるし、人員合理化もやりやすくなる。
追い詰められた企業にとっては貴重な選択肢であることはまちがいありませんが、
ワゴナー氏は絶対にノーだと言っていました。
ノースウェストのようなエアラインなら11条申請しても、
デトロイトから成田に行くにはノースに乗るしかない。
だが自動車の場合は、お客さんに無数の選択肢がある。
経営破たんしたメーカーのクルマを好きこのんで買う客はいない」

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06月01日(月)

【バーゲンハンティング】

サンフランシスコの対岸のオークランド市で面白い話を聞きました。

なんと週3回、大幅に値崩れした住宅を目当てにした、
バーゲンハンティング・ツアーが行われているというのです。
50人乗りのバスに乗り込んだ若い夫婦や初めて不動産を購入する人たちからみると、
住宅価格の暴落はまさに天与のチャンス。
かつて60万ドルしていた住宅がいまでは20万ドルで買えるそうです。
ピーク時と比較すると、3分の1まで値下がりしたわけです。

私が「面白い」と言ったのは、米国人と日本人とのメンタリティの違いが際立っていたからです。
バブル崩壊後の不動産不況の当時、日本で一番問題だったことは、
価格が暴落したことではなく、不動産取引自体がなくなってしまったことでした。

値下がりすると、もっと下がるのではないかと不安でいっぱいになるのが日本人。

値下がりすると、ここは買い場だと飛びつくのが米国人。

農耕民族と狩猟民族の違いでしょうか。

オークランドのバーゲンハンティング・ツアーが全国的なものになれば、
米国の不動産市場の底打ちも見えてきます。
いずれてにしもバブル崩壊から立ち直るまでの日米のプロセスは
まったく違ったものになりそうです。

05月22日(金)

【ついに始まった日本空洞化の戦犯は誰か】

携帯電話のコスト削減のために、東芝はついに国内生産撤退を決めた。
シャープも輸出を大幅に減らし、
海外で販売する液晶テレビは海外に生産委託していくという。

東芝やシャープが国内生産を縮小

また、5月21日の日経新聞一面トップの見出しは衝撃的だった。

「ソニー、調達先を半減 / 2500社を1200社に」

これまでバラバラだった部品や素材の調達先を
グループで一本化したうえで、調達先を半数に絞り込むという。
1社当たりの取引量を拡大することで調達コストを引き下げるという戦術だ。
90年代末、瀕死の日産自動車をV字回復させたカルロス・ゴーン社長も
このやり方で調達コストの大幅カットを実現した。
同社は5月14日に国内製造事業所の再編についても明らかにしている。
あのソニーでさえ生き残りに必死なのだ。

好むと好まざるとに関わらず、世界経済はすでに
抜き差しならぬところまでグローバル化が進んでいる。
世界同時不況と円高で輸出産業が大打撃を受けているからといっても、
複雑な相互依存関係を前提として動いている世界の現実は変えようがない。

どこの国でも政治屋は人気取りに走りたがるから、
不況色が強くなればなるほど保護主義に傾斜しがちだが、
そんなものは負け犬の遠吠えにしかならない。
新保守主義だとか行き過ぎた市場経済だとか、
現実離れした抽象的な批判を繰り返す
のんきな評論家が日本では後を絶たないが、
それは国際競争にさらされたことのない人びとの戯言でしかない。

その象徴が政治家とマスコミだ。
日本の村社会のなかでしか仕事をしたことのない人々が
権力を握っているものだから、
日本では冗談さながらの景気論議が大賑わいになってしまう。

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05月08日(金)

【景気対策に名を借りた埋蔵金作りを許すな】

14兆円という史上まれにみる巨大な補正予算が国会で審議されている。
そのほとんどが国債という新たな借金によってまかなわれる。
その全貌が見えてくるにしたがって、私は怒りを超えて、
めまいがするようになった。

計46基金に総額4兆3600億円を投入

連休明けの5月7日に民主党の管直人代表代行が予算委員会で
14兆円補正は単なるバラマキではないかと噛み付いた。

「wise spending(賢い使い方)ではない」

そもそも公共事業によって有効需要を創り出そうという
ケインズ政策が効果を発揮するためには大前提がある。
ただでたらめに予算をばら撒いても、
新たな需要が連鎖的に生まれていくような公共投資はできない。
ケインズ政策が実効性を発揮するためには、
間違いなく実効性が発揮されるプランを考え出す「賢人の存在」が
大前提なのである。

賢人たちによる「wise spending」がなければケインズ政策は、
投資に見合うリターンなどとうてい獲得できものではない。
この前提をロンドンに住んでいたケインズの住所にちなんで、
「ハーベイロードの前提」という。

菅氏が具体的に問題にしたのは計46基金に、
総額4兆3600億円もの予算を投じることへの是非だった。
本来、予算は単年度に使い切るものである。
ましてや100年に一度の景気対策として
緊急かつ大規模に執行すると政府は言い続けてきたのだから、
各省庁が管掌する基金にカネをプールして
複数年にわたって予算を執行していく「基金」に
4兆3600億円もの予算が配分されるのはどう考えても合点がいかない。

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05月07日(木)

【サンプロ 中国特集!】

5月10日のサンデープロジェクトで「中国特集」を放送する予定です。

昨年秋の金融危機勃発で、世界における中国のポジションは劇的に変わりました。
相対的に影響力が浮上したばかりではありません。
これからの発展可能性の高さ、日本の将来における存在感の高まり等々、
どこからみても、もはや中国抜きには「日本」も「世界」も語れぬ時代になりました。

豚インフルですっかり影を潜めてしまった麻生首相の訪中。
日中関係の重大さをきちんとした外交交渉がどこまでできたのでしょうか。
もっともも政治に期待するものなどもはやありません。
福沢諭吉の「独立自尊」はまさに今日のためにあるように思えてなりません。

中国市場は日本の国内市場だと見なす勢いで成功している日本企業の姿を
サンプロの特集で是非ご覧下さい。
元気の出る特集です。

04月13日(月)

【漂流する巨額景気対策】

3月に中国、北欧と取材をして帰国したら、
麻生政権が目を疑うばかりの巨額景気対策をぶちあげていた。
真水で15兆円。
99年に「世界の借金王」と開き直った小渕政権が実施した
過去最高規模の景気対策が7.6兆円だったことを思えば、
15兆円の景気対策が尋常ならざるものであることが容易にわかる。

首相の景気対策は選挙向けのもの

麻生首相は本気である。ただし頭の中にあるのは、選挙と政局だけだ。
はっきりいえば、国民をこれほど馬鹿にした景気対策もない。

先進国中最悪の財政状況で、すでにわれわれが自分の子供や孫の世代に
800兆円という巨額の付け回しをしているなかで、
15兆円もの財政出動をするのだから、
その場かぎりの人気取り政策などであっていいはずがない。

中国でも北欧でもそうだったが、どこの国も、
今回の世界経済危機への対応は焦眉の急だ。
だが未曾有の危機に対する向き合い方には共通項がある。
中国でもノルウェーでも「これを機に国の構造変化を促す」
という言葉を何度も聞かされた。
危機の震源地である米国ですら「グリーン・ニューディール」に象徴されるように、
新たな国家ビジョンを示しながら、目の前の不況と闘っている。

財政出動というものは、不況で激減した民間需要を補完するために、
国が力づくで需要創出をして、景気回復への道筋をつけるというものだ。

そこで国家としての見識が問われる。
景気回復に向けて最高のコストパフォーマンスを実現する努力が求められるのは当然で、
そんなレベルで足踏みしている国など、日本以外にあるのだろうか。

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04月03日(金)

【米国の醜態と北欧の毅然】

「破産法の申請はあり得ない」

辞任に追い込まれたGMのリチャード・ワゴナー会長兼最高経営責任者(CEO)は、
その理由を日本のある自動車関係者にこう語っていたという。

「ユナイテッド航空のように破産法によって再生した事例もあるが、
 エアラインと自動車メーカーとでは事情がまったく違う。
 成田―デトロイトを異動する乗客は好むと好まざるとに関わらず、
 ユナイテッドに乗らざるを得ない。
 しかし自動車の場合、消費者は無数の選択肢をもっている。
 破産法を申請したメーカーのクルマを好んで買う人間などいやしないからだ」

破産したメーカーのクルマには誰も乗らない

その通りだ。
米国では破産法の適用によって会社の存続はほぼ確定するが、
ディーラー減少やそれに伴うサービスの低下等々、
新たな消費者にとってプラスになることなどなにひとつない。
GMを経営破たんに追い込んだ張本人であり、
辞任後も巨額の退職金が物議をかもすなど、
ワゴナー前CEOに対して米国内でも非難が高まっているが、
破産法申請は救済どころか命取りになるという指摘は説得力がある。

ところがホワイトハウスの肝いりで後任のCEOに就任した
フレデリック・ヘンダーソン氏は、前CEOの方針をあっさりと覆し、
「必要とあらば破産法の適用申請を含め、いかなる措置をも講じる価値がある」と公言した。

最終的にGMやクライスラーがどのように着地するのか、
現時点ではきわめて不透明だが、ひとつ明らかなことがある。

市場原理と自由主義というアングロサクソンモデルを、
執拗に他国に押しつけてきた過去の所行は完全無視。
なりふりかまわず、国家管理下でGMを救済しようとする米国は醜悪だ。

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03月30日(月)

【北欧の「福祉国家」を支える“民主主義”】

昨年秋と、今年の年初と2度にわたって「サンデープロジェクト」で
“北欧特集”を放送しました。

人口500万人程度のデンマークとフィンランドは世界が羨む「福祉国家」です。
福岡県や兵庫県程度の人口規模であるこの2カ国を取材して浮き上がってきものは、
政治と国民との距離が決定的に近いことでした。
道州制の意義はまさにこにあるとの思いをもって放送をしました。

そして再び、北欧にやってきました。

今度は人口900万人のスウェーデンと
石油・天然ガスなど豊かな資源国でもあるノルウェーの2国の取材です。
米国発の金融危機が高福祉高負担の北欧(スカンジナビア)モデルに
いかなる影響を与えたのか。
そこを入り口に日本のカタチを再考すべくやってきました。

スウェーデンもノルウェーも様々な問題を抱えていました。

負担と給付水準をどう考えるのか。そのせめぎ合いもありました。

移民問題はノルウェーの首都、オスロにとって
深刻な社会問題を惹起しつつあるといってもいいでしょう。

しかし、北欧すべてをまわってあらためて実感したことがあります。

それは北欧の人びとの規律ある民主主義の歴史です。

民主主義への深い理解の共有があって初めて、
世界が羨む「福祉国家」が成り立つという現実。

日本に一番欠けているのは、民主主義への理解いがいなにものでもない。

政権争いに明け暮れる政治家のお粗末もさることながら、
日本は国民もお粗末であることを嫌というほど見せつけられた取材となりました。

03月18日(水)

【内需企業はアジアに成長の活路を】

2月に続いて再び、上海に来ている。
市内中心部をクルマで走り回っている間に、どこか違和感を覚えた。
競い合うように新しいビルが林立し、街の景色が固定されることがない。
来るたびに違う表情を見せる街である。
だがこの1、2年の間に際立ってきた変化がある。

落ち着きを見せ、おしゃれになった上海

街が落ち着きをみせてきたことだ。
勢いがなくなったという話ではない。
ほんの少し前までの上海はエネルギッシュだが、
剥き出しの拝金主義を象徴するようながさつさにあふれていた。

大渋滞の車列のそこここからクラクションが悲鳴をあげ、
交通マナーのかけらもなかった。
だが気がつけば、クラクションの喧騒がいつの間にか消え、
街をゆく人びとが見違えるほどおしゃれになっている。

ことに若い女性たちのあいだでは日本のファッション雑誌が大流行しており、
その影響なのか、まるで表参道や渋谷を歩く日本の若者たちと
まるで遜色がないほどに洗練されてきた。
女性とくらべると大きく遅れをとってきた男の子たちのファッションセンスも
随分とブラッシュアップされた。

量的拡大の勢いだけで世界を圧倒してきた上海だが、2010年の上海万博をひかえ、
いまは世界屈指のクオリティを備えた街へ変貌することに神経が注がれている。
街の清掃ひとつとっても大きく変わってきた。

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03月05日(木)

【4兆元の公共事業で盛り上がる中国】

中国は今年、改革開放30周年を迎えた。
ケ小平氏が目指した「社会主義市場経済」は、
共産党の一党独裁と計画経済先を維持しながら
市場経済のいいとこ取りを狙った一大構造改革であった。
だがそれはなんとも陳腐で、独りよがりな国家運営だと先進各国から揶揄された。

計画経済でひた走る中国

ところがそれから30年、いまや中国の計画経済モデルは世界の最先端に躍り出た。

市場原理主義というアングロサクソンモデルが崩壊したとたん、
各国は思い切り「計画経済」化に走った。
米国ではシティバンクや世界最大の生命保険会社AIGが実質国有化された。
英国では巨大名門銀行であるロイヤル・バンク・オブ・スコットランド(RSB)の株式を
政府が95%所有するという異常事態が起こっている。

金融機関救済に投じられた公的資金は、米国ですでに74兆円を越えた。
英国はRSBを含む大手三行だけで5兆円だ。
気がつけば「市場原理主義」は消失し、欧米諸国は計画経済のオンパレードとなってしまった。

それにしても世界経済が迷走すればするほど、
中国の存在感が高まるという状況になってきた。
09年中の不況克服が絶望的な日米欧とは対照的に、
中国経済は底力を発揮しそうだ。

日本国内では日本と中国の経済状況を単純に同一視しがちだ。
米国への輸出依存度の高い中国は日本同様、
壊滅的なダメージを被っているに違いないと、
多くの日本人は信じ込んでいる。
だがそれは中国経済の全体像を知らぬ暴論と言わざるを得ない。

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03月02日(月)

【自滅するメガバンク】

メガバンクの貸し渋りは限度を越えているようです。

信じがたい話ですが、昨日会った銀行関係者によれば、
いまや上場企業ですらニューマネーが借りられるのは全体のわずか1割。
ロールオーバー(借り替え)ができる企業も3割ほどしかないというのです。
つまり上場企業でも6割が資金繰りに苦心惨憺していることになります。
政府が政策投資銀行を通じた低利融資などの
資金繰り支援策を強化しつつある理由もまたそこにあります。
メガバンクは本当に役に立たない。企業が苦しい時には必ず逃げる。

しかし逃げれば逃げるほどメガバンクは自滅します。
巨大なメガバンクとなった彼らの業績はもはやGDP連動から逃れられません。
企業倒産が続出し、日本経済全体が落ち込めば、メガバンクも落ち込まざるをえません。

まさにToo Big To Escape(大きすぎて逃げられない)なのです。

サラリーマン根性から抜け出して日本経済のためにメガバンクは
資金の出し手としての存在感を今こそ示すべきです。

緊迫する経済危機のさなか、ローマで開催されたG7において、
中川昭一財務大臣が行ったもうろう記者会見により辞任に追い込まれた。
世界中に醜態をさらし、失笑を買い、日本という国家のブランドイメージを著しく傷つけた
中川前財務大臣が厳しい非難にさらされるのは当然のことだが、
一連の報道はきわめて横並びかつ情報不足で、腑に落ちないことが多すぎる。

02月19日(木)

【中川財務相辞任騒動の裏で記者クラブは何をしていたのか】

大臣秘書官はなぜ記者会見をさせたのか

最大の疑問はなぜ財務相は酩酊状態といっても良い状態にあった
大臣に記者会見をさせたのか、だ。
幸いにしてG7には日銀の白川総裁が同席しており、
記者意会見にも2人そろって臨んでいたのだから、
中川前大臣をホテルの部屋で休ませ、
白川総裁一人で記者会見をするという判断がなぜできなかったのか。
私がもし大臣秘書官なら酩酊状態の大臣が
世界のメディアの前に身をさらすことなど、断固阻止する。
そんなことは秘書官としてのイロハのイではないのか。

もしかしたら、財務大臣秘書官は意図的にあの醜態を世界にさらさせたのでないか、
とさえ勘繰りたくなってしまう。
財政再建を放り出した財務大臣のクビをすげかえる絶好の機会として、
酩酊大臣の記者会見出席をあえて止めなかったのではないか。
中川氏の後任を財政規律派の与謝野馨経済担当相が兼任すると聞けば、
ますますそう思いたくなってしまう。

疑問の二つ目は、中川前大臣はG7の討議をどのようにこなしたのかだ。
これに関する報道はいまのところまったくない。
記者会見直前に、突如としてもうろう状態になっただけで、
G7の討議では財務金融行政の最高責任者に求められる役割を果たせていたのだろうか。
はなはだ疑問が残る。

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01月29日(木)

【沈没する日本とトヨタの大政奉還】

「無借金経営」と「雇用死守」という文化の源

1月20日、トヨタ自動車は渡辺捷昭社長にかわり、
豊田章男副社長が6月末に社長へ昇格する人事を発表した。
14年ぶりに創業家出身社長が誕生する。

トヨタ自動車工業の経営危機

一般的には社長の姓が「豊田」に戻ることにさしたる意味は見出せまい。
しかしトヨタの歴史に思いをはせれば、豊田家直系の章男氏が社長に就任することの
格別な意義が見えてくる。

そもそもトヨタの歴史は1867年に誕生した豊田佐吉翁に始まる。
豊田自動織機製作所(現在の豊田自動織機)の創業者である佐吉は、
早くから自動車産業の行く末に注目していたという。
同社は1933年に自動車部を創設する。
その中心となったのが佐吉の長男、喜一郎だった。

4年後の1937年、トヨタ自動車工業が誕生。
形式上、初代社長には喜一郎の義兄、豊田利三郎が就任したが、
太平洋戦争が勃発した1941年には会長に退き、喜一郎が社長に昇格した。
もっともトヨタ自動車では、豊田織機自動車部を創業の原点と考えてのことか、
「創業者は豊田喜一郎」というのがコンセンサスだ。

だが喜一郎の社長人生は悲運に満ちたものだった。

敗戦の焦土のなかで、トヨタは生産を再開したが、1950年には深刻な経営危機に陥ってしまった。
戦後のハイパーインフレの抑制を企図した金融引き締め政策(ドッジライン)は
インフレ抑制にとどまらず、デフレを招きこみ、企業の倒産、失業が急増した。

誕生間もないトヨタ自動車も例外ではなく、経営不安が一気に高まったが、
喜一郎はいかなる事態を迎えようが「従業員のクビには手をつけない」と終始、言い続けた。

ところが資金繰りに詰まり、倒産の危機に瀕したトヨタに対して
大手銀行は融資継続の条件として、過酷な融資条件を喜一郎に押し付けた。

ひとつは経営効率アップと販売力強化のために、
トヨタを自動車製造と自動車販売専門会社とに分割せよという「工販分離」。
そしてもうひとつは、喜一郎が最後まで抵抗した人員整理だった。

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01月16日(金)

【自動車不況に苦しむ地方企業に惜しみない支援を】

1月5日、青森県のアンデス電気が東京地裁に民事再生手続きの申請をした。
事実上の倒産だ。
一般的にはなじみのない企業かもしれないが、八戸に本社を置くアンデス電気は、
青森県にとってかけがえのない存在だった。

八戸育ちで国際優良企業に―

携帯電話のカラーフィルターでは世界一のシェアを誇り、
ノキア、モトローラ、サムスンといった世界のトップメーカーと直接、取り引きしていた。
国内市場に拘泥せず、大きな国際市場に成長の原動力を求めたそのビジネスモデルは、
地方企業の鑑だといっていい。

携帯電話だけではない。
自動車部品も手がけ、米国のビッグスリーとの取り引きも少なくなかった。
新幹線の最新車両に採用されるほど、
クオリティの高い空気清浄機を製造していることでもアンデス電気は知られている。

多業種、多企業との取引によって、リスク分散をはかりながら、
世界を相手にビジネス展開してきた。
さらに社長の安田昭夫は五臓六腑の多くを切除するという
壮絶なガンとの闘いを制してきた人物で、地元八戸への貢献意欲も強く、
雇用創出のために大葉のハウス栽培にまで乗り出した。
こちらは決して順調とはいかなかったが、
アンデス電気と地域との関係の深さをうかがい知ることができる。
県も応援していた。
アンデス電気の債務、190億円のうち3分の1近くは県の融資だ。

だが昨年、アンデス電気の売上げはビジネスの常識をはるかに超えた
異常な落ち込みをみせた。

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01月05日(月)

【かもめ食堂】

1月4日放送のサンデープロジェクトで『ヒントは北欧にあり
〜日本の課題を解くカギ〜』と題して、フィンランド特集を放送しました。
そのVTRの冒頭部分で、フィンランドを紹介する映像として
荻上直子監督の映画『かもめ食堂』のシーンを使わせていただきました。
小林聡美さん、片桐はいりさん、もたいまさこさんという個性派女優三人が、
ゆっくりと流れて行くフィンランドの時間を丁寧に紡いでいく映画です。

"かもめ食堂"は小林聡美さん扮する日本人女性"サチエ"が
ヘルシンキ市内で経営する小さな日本食レストランです。
撮影場所として使われたのはヘルシンキ市内のPursimehenktau通りに面した
“カフェ・スオミ(Kahvila Suomi)”。
いまやこのカフェは日本人にとってヘルシンキ観光の目玉になっているようです。
ただし、店内の様子は映画の日本食レストランとはまるで趣きが異なり、
いささか落胆したものの、それでも「ここがロケ現場か」と妙な感動を覚えたものです。

ここまではよく知られた話ですが、
じつは “カフェ・スオミ”のすぐそばに“かもめ食堂”のモデルとなった
実在の日本食レストランがあることはあまり知られていません。
同じPursimehenktau通りにある“連”というお店です。

9月のある晩“連”で食事をしました。

私たち取材クルー以外はみなフィンランド人のカップルか親子連れでした。
フィンランド人が器用に箸を使いながら、周囲を気遣うように小さな声で談笑する光景は
映画の『かもめ食堂』そのままでした。

すっかり親しくなった“連”のご主人、花澤勇さんの話をうかがって、
ちょっと気の毒になりました。
旅行シーズンともなると、“連”には連日日本人ツーリストがやってきて
「かごめ食堂のロケ地はどこですか?と尋ねられるそうです。
「ロケ地はすぐそこ。でもモデルになったのはうちだよ」
そう言いたいところをぐっと抑えて笑顔で“カフェ・スオミ”の場所を教えてあげるそうです。

ヘルシンキに行ったら、まず“連”に立ち寄り、
『かもめ食堂』的気分を体感されることをお勧めします。

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