財部誠一 HARVEYROAD JAPAN オフィシャルサイト
11月14日(火)

【日経ビジネス『品質の復讐』】

日経ビジネス(11月13日号)の特集『品質の復讐 驕れるモノづくり大国への警鐘』を
興味深く読みました。 その特集はこんな文章で始まります。

「かつて『Made in Japan』は高い品質の証しとされ、
その製品は世界各地で売れ続けた。
だが、効率性向上と量の拡大を追い求めた企業は、
成功体験に溺れ、いつしか品質を置き去りにした。
今、日本の製造業は『品質の復讐』を受けている」

2000年以降、不況色が強まる中、日本では「合理化」が流行現象となりました。
工場閉鎖、解雇、中国への生産移転・・・、
気がつけば合理化はやむをえない緊急避難から、
安直な流行現象であるかのようでした。
事実、企業が合理化計画を発表すると株価が上がり、
安易な人件費の削減が日本中であいつぎました。

90年代後半から続いた長い不況で、
ただでさえ金属疲労を起こしていた生産現場は、
この合理化ブームにより、決定的なダメージをこうむりました。
その後、海外での販売の拡大や国内景気の回復を反映して、
工場の稼働率は高まってきましたが、生産現場の合理化は休むことなく続いています。
正社員が激減し、契約社員が増え、契約社員はさらに派遣社員へとうつりかわり、
気がつけば、日本の生産現場には、なにがなんでも品質にこだわるのだという
現場の正義を体現する人間が激減しました。
大企業による下請け企業への厳しすぎるコスト削減要求が
品質低下に拍車をかけているという一面も見逃せません。

日本のものづくりは大企業を頂点とした巨大な生産ピラミッドによって構成されています。
幾重にも重なる下請け構造全体は、一度揺らぎ始めたら、
手がつけられなくなってきます。
日本の製造業は海外での生産を拡大しており、
それが業績拡大の原動力となっていますが、
部品供給する下請け企業の負担はばかにできません。
大企業と一緒に海外進出をすることは容易ではないし、
日本国内に残ったまま部品輸出のために生産量を拡大するといっても、
それも簡単なことではありません。

トヨタのリコール問題やソニーの電池発火問題など、日本を代表する企業の品質問題は、
ものづくり日本への警鐘いがいのなにものでもありません。
生産性と品質とをどこでバランスするのか。
いったい何をプライオリティとして巨大な生産ピラミッドを動かしていくのか。
それがいま問われているのです。

11月06日(月)

【いじめ問題の本質2】

私は90年代なかばから6年間、
小学生のサッカーチームのコーチをしていました。
30人弱の子供たちが小学校に入学してから卒業するまで、
毎週末、関わってきました。
そこで驚くべき現実に私は直面しました。

まだあどけない小学校1、2年生の世界でも、
「立派ないじめ」が存在していたという事実です。
練習の意味もわからず、ちょっと目を離せば砂遊びに興じてしまうような、
あどけない顔をした7、8歳の子供の世界にも、
30人集まれば見事な序列ができ、派閥ができ、いじめが行われているのです。

私はその事実を見て、年端もいかぬ子供たちを「恫喝」しました。
震え上がるほど、怒鳴りつけたのです。
いじめは絶対にいけない、ということを彼らはロジカルに
理解できる年齢ではなかった。
というよりも、小学校低学年の子供は、動物そのものなのです。

やってはならないことは、絶対にやってはならないのだ。
と、彼らの心のなかに強烈に植えつける以外ないのです。
ですから私はいじめに対して懲罰を設けました。
「自分がされたら嫌だと思うことを他の子にやったやつは、
絶対に試合に出さない」
というルールを作ったのです。

これで一時はおさまりました。
しかし学年が高くなり、3年生、4年生くらいになってくると、
いじめが巧妙になってきます。
週末のサッカーグラウンドでは、私の目もあっていじめは起こらないのですが、
ウィークデーの学校生活のなかで、レギュラーの子供が控え選手の子供に対して
「おまえのおかげで負けたじゃねえか。お前なんかクラブやめろ」
という調子でいじめているわけです。
それをまた、他のレギュラーの子供が「そうだ、そうだ」とはやし立てる。
こんなことは、日常茶飯事なのです。

しかし、いじめをしているレギュラーの子供たちが、
とんでもなく性悪な子供たちなのかというと、そんなことはない。
私から見れば、奔放さをもった"子供らしい子供"だから、困ってしまうのです。
こうなると、相手が子供だとはいえ、
一人ひとりとじっくり話しあうしかありませんでした。

思うに、どんな子供にも、嫌いなものは排除したいという
深層心理が間違いなく存在しています。
したがって、いじめをなくすなどという発想自体が
現実から目をそらした空理空論なのです。
いじめは常に存在し続けるもので、
それをいかにしてマネージしていくか、コントロールしていくか。
そう考えなければ、この問題は一歩たりとも前進しません。

しかし、こうしたことが本当にできる大人というのは、どういう人間でしょうか。
私には有能なビジネスマンの姿がもっともそのイメージに重なります。
優秀な経営者に育っていく可能性を強く感じさせる有能な管理職。
はっきりいえば、30人の子供をマネージすることと、
30人の部下をマネージすることとは、それほどかわらないのです。

モチベーションをコントロールしてあげるということの本質において、
そこにはなんら変わるものはない、と私は考えています。

10月31日(火)

【いじめ問題の本質】

いじめによる子供の自殺が止まりません。
そして事件が起こるたびに、
教育現場の教師や彼らを管理する教育委員会の
醜悪な責任逃れが報じられます。

もちろんその背景には、彼らを管理、監督してきた文部科学省の無策、無能、
子供の命に対する温かいまなざしのかけらも感じさせない役所体質が
あったことはいうまでもありません。
十代そこそこで自ら命を絶たざるを得なかった子供への贖罪意識よりも、
自己保身が優先されてしまう大人たちがどれだけ多いか。
いじめ報道をみるたびに、
多くの人々が日本の教育行政や教育現場の荒廃ぶりを嘆いていますが、
一連の報道をみていて、つくづく思うことがあります。

本当に悪いのは、同級生を死に追いやるまでいじめた子供だという現実に
なぜ目をむけないのか、ということです。
来る日も来る日も、標的とされた子供に向かって、
口汚くののしり、無視し、その子がクラスの誰とも関係をもたずに、
ただ一人でじっとしていられる居場所を持つことすら許さない
過酷ないじめを行っている実行犯は、子供たちだという現実を抜きにして、
いじめを発見し、阻止すべき監督責任を負っている
教師や教育委員会だけに責任をなすりつけても、
問題の本質的解決にはまったくいたらないということが、
なぜわからないのでしょうか。

(つづく)

10月17日(火)

【中川政調会長「核武装」発言は暴論か?】

中川政調会長が15日の『サンデープロジェクト』で
「核武装の議論は大いにあってしかるべきだ」と発言したことが、
大きな波紋を呼んでいます。
私もその場にいたし、じつは中川政調会長のこの発言の直後に、
私は自分も賛成である旨を明らかにし、
「核武装という選択肢を自ら否定する必要はない」と発言しました。

「唯一の被爆国」として「非核三原則」を堅持するのが
日本の国是であることはいうまでもありません。
また日本国内で、核武装論議が政治的リアリティをもつようになるとは、
とうてい思えません。

それでもなお、核武装の議論を展開する必要があるのは、
議論自体がきわめて有効な「外交手段」となるからにほかなりません。
日本が核武装というタブーにほんの片足を踏みいれるだけでも、
日本が核を保有することを嫌がる中国、ロシアを
本気にさせる絶大な効果をもつのです。

中国、ロシアだけではありません。
日本の核保有を一番嫌っているのは、
日本の唯一の同盟国である米国でしょう。
日本国内で核武装の是非をめぐる議論が起こるだけで、米国も中国もロシアも、
本気で北朝鮮の核問題解決にむけて動き出す十分な効果を持ちます。

正直言えば、私自身は、日本の歴史、日本人のメンタリティを考えれば、
核など保有しない方がいいに決まっているという考えです。
しかし、いま我々の目の前に突きつけられた北朝鮮の核問題を解決するために、
我々にできることはすべてやるべきです。

今回の問題の最終目標は、北朝鮮に核を放棄させることでしょう。
北朝鮮が核保有国として存在し続ける悪夢に、日本は耐えられるでしょうか。
北朝鮮の核そのものよりも、自国への難民の流入問題により
大きな関心を抱いているとしか見えない中国、ロシアを本気にさせるためにも、
こととしだいによっては日本だって核をもつかもしれない、というブラフを
彼らに突きつけることの外交上のメリットははかりしれません。

「非核3原則の堅持」と「単純平和主義」とは一線を画すべきです。

10月16日(月)

【北朝鮮は「孤立無援」ではない】

核実験に踏み切った北朝鮮に対して国連は全会一致で、
国連憲章第7章41条にもとづく制裁決議を採択した。

ブッシュ大統領は、金正日に対する明確で強いメッセージを
迅速に出すことができたと胸をはる声明をだしている。
安倍首相をはじめ日本の政治家たちも自画自賛する。

たしかに、その迅速さは評価できます。
しかし武力制裁を含まぬ今回の措置によって、北朝鮮が
核を放棄することなど、幻想いがいのなにものもでもありません。

つまり、誰もが次のステップを考えているということです。
北朝鮮にしてみれば、今回の核実験は明らかに失敗です。
「起爆装置に問題があったのだろう」といわれていますが、
いずれにしても、このような不完全な核爆弾では商品になりません。

第3国への売却に値するだけの、
核爆弾としての完成度の高さを立証しなければなりません。

「だから北朝鮮は2、3ヶ月以内に必ずもう一度、核実験をするだろう」
国連をはじめ、世界の安全保障事情に精通しているある学者は、
そう断言しています。その通りでしょう。
そもそもインドやパキスタンにしても、
核実験を4回、5回と繰り返しています。

金正日の立場に立てば、核爆弾を第3国やテロリストに
売却可能なことを証明してこそ、
米国に対する本物の恫喝となるわけですから、
今後、2度、3度と核実験を行う可能性はきわめて高いといわざるを得ません。

そのとき、日米はどう対応するのでしょうか。
武力行使を含む、国連憲章第7章42条の採択にむけて
動かざるを得なくなります。

しかし、中国は「朝鮮半島で戦争が起こることは絶対に容認できない」
と明言していますし、戦争状態が勃発し、北朝鮮国内が大混乱に陥れば、
大量の難民が中国・ロシア国境に押し寄せます。
中国、ロシアが、そんな選択をするでしょうか。
しかし私が本当に心配をしているのは、北朝鮮を考えるときの視野が
あまりにも狭い議論ばかりが横行していることです。

北朝鮮は国際的に孤立しているといえるでしょうか?
それはあまりにも視野が狭い。
サンプロに出演されたある外交の専門家は
「金正日を好きな国なんてありませんよね」という発言をされていましたが、
そんなことないでしょう。

イランは明らかに親北朝鮮で、
聞くところによれば「豊富なキャッシュを持つイランから
北朝鮮に間違いなく現金が流れ込んでいる」という話もあるし、
ベネズエラのチャベス大統領は北朝鮮に対して
「原油を供給する」と言っているようです。
イランの背後には反米の中東諸国があり、
チャベス大統領の背後には反米連合ともいうべき
中道左派の大統領を擁する南米諸国がついています。

またロシアについても、北朝鮮の混乱で難民が発生することの
リスクを恐れるといった消極的な姿勢ばかりが強調されがちですが、
「この事態を機に、朝鮮半島への自国の影響力の拡大を狙おうという
ロシアの政治的な意図があることも忘れてはならなない」
という指摘も、国際政治の専門家からは聞こえてきます。

北朝鮮が「孤立無援だ」などという印象をいだくのは大間違いです。
北朝鮮は意外にも、多くの選択肢を持っている
という現実を直視しなければいけません。

北朝鮮問題は「地域」の問題ではなく、
「世界」の問題として、大きな視野で眺めていかないと、
大きく読み誤る恐れがあるということです。
核実験を強行すれば国連の制裁決議をうけることくらい、
北朝鮮だって先刻承知でしょう。

世界には北朝鮮のような「ならず者国家」を積極的に支持していくことが、
自国の国益と合致するという国がいくらでもあるのです。
日本海の周辺と米国だけをウォッチしていればすむ
という話ではありません。(続く)

10月12日(木)

【北朝鮮制裁論議の憂鬱】

北朝鮮が核実験を実施したと宣言した瞬間、
六カ国協議のメンバーである日本、米国、中国、韓国、ロシアの五カ国は、
まさに「蜂の巣をつついたような」大騒ぎになりました。

いかなる鉄槌を北朝鮮に振り下ろすべきなのか、揺れに揺れました。
しかし北朝鮮への制裁論議は、聞けば聞くほど虚しくなってきます。
なぜなら制裁後に、いかなる未来が描けるのか、
それがまったく見えないからです。

塩崎官房長官にいたっては
「北朝鮮は六カ国協議に無条件で復帰すべきだ」と発言していましたが、
六カ国協議はすでに破綻しています。
六カ国協議は、北朝鮮に核開発の時間的余裕と、
中国・韓国からの経済支援を与えただけの枠組でしかありませんでした。

その六カ国協議の再開が「制裁」によってもたらされる
当面の果実だというなら、制裁などやる意味がありません。
ましてや、経済制裁によって北朝鮮に核の放棄を迫るなど、
妄想いがいのなにものでもありません。

この問題に決着をつけられるのは米国だけでしょう。
米国が北朝鮮の求めに応じて米朝二国間交渉に応じるか、
それとも米国が軍事オプションを選択するか。
核保有国となった北朝鮮に、なんらかの変化を期待するなら、
このいずれかしかないと私は考えます。

しかし、イラクに13万人の兵士がはりついたままの米国に、
北朝鮮を攻撃する余裕があるとは思えず、
さりとて、二国間交渉に応じることは北朝鮮の恫喝に屈することになり、
そんな弱腰をみせるわけにもいかない・・・。
手詰まりです。

10月05日(木)

【本当の官邸主導】

安倍政権は5人の総理補佐官を任命するなど官邸主導の姿勢を
強く打ち出しました。
「脱官僚」を目指した小泉政権の流れを加速させたい、
という気持ちはにじんできます。
しかし安倍政権の顔ぶれを眺めてみると、
本当に官邸主導の政権運営が出来るのか不安ばかりがひろがります。

いまふりかえると小泉政権の最大の特色は
民間人から起用した竹中平蔵大臣の存在でした。
竹中大臣については、さまざまな評価があり、
単純にその功績だけをとりあげるわけにはいきませんが、
改革のスピードを加速させたことは間違いありません。

役人が提案してくるA案、B案、C案という3つのオプションから、
Aだ、Bだと選択していれば大臣の仕事がつとまるということを
小泉政治は否定したのです。
AでもBでもCでもなく、D案を提示する。
それが小泉―竹中ラインの真骨頂でした。

安倍内閣はそれができるか?
ぱっと見の印象では絶望的です。
そうではない展開がありうるとすれば、
塩崎官房長官や根元匠補佐官などの若手が、
竹中平蔵氏の役割を果たすことです。

それができなければ、安倍政権では間違いなく、
改革のスピードが減速せざるをえません。
党内融和か改革か。
ポイントはそこでしょう。

10月04日(水)

【「政治と経済は別」ではありません】

安倍晋三首相の訪中、訪韓がきまりました。

いかなる成果が得られるのか、結果はこれからですが、
就任早々、安倍政権が高得点を叩きだしたことはまちがいありません。
なんといっても首相の訪中は5年ぶりなのですから。

しかしこの展開は、安倍さんではなく、
麻生太郎外相や谷垣禎一元財務相が首相になっていたとしても、
変わらなかったでしょう。
その意味では、日中、日韓トップ会談の実現それ自体を
過大評価してはいけません。問題は中身です。

ひとつ気になることがあります。
安倍さんは首相就任前、繰り返しこう述べてきました。
「政治と経済は別だ」

日中関係の冷え込みを批判されるたびに、
安倍さんは日中韓の経済関係はきわめて良好であり、
政治が経済に悪い影響をあたえている事実は一切ない、
という「政経分離」の立場を通し続けました。

しかしそれは大きな間違いです。世界の常識は「政経一致」です。
世界各国の大統領や首相たちは、
自国企業を売り込むために東奔西走しています。
市場原理を最大の価値とする米国ですら、
歴代大統領は偉大なる「営業マン」に徹しているではありませんか。

たとえば毎年、米国は日本に対して市場開放や規制緩和などの
要求をまとめた『年次改革要望書』を突きつけてきますが、
その中身たるや、米国企業の日本市場における商売繁盛を
後押しするための政治的恫喝いがいのなにものでもありません。

「政治と経済は別」などという小泉政権時代の誤った自己正当化の論理を、
まさか今でも安倍首相が本気で信じ込んでいるとは思いませんが、
くれぐれも「政経一致」という現実としっかりむきあいながら、
日中、日韓の新しい関係構築を始めてもらいたいものです。

09月27日(水)

【「堀田力」という生き方・続】

今日は昨日のジャーナルの、いわば「続編」です。

私が発行しているレポート「HARVEYROAD WEEKLY」の
「社会正義こそ幸福の条件」499号をご覧になった会員の弁護士の方から、
印象深いメールを頂戴しました。
法曹界の現実が透けて見えるメールです。
そのまま掲載しますので、ご覧ください。

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財部さんへ

今週号の「HARVEYROAD WEEKLY」、拝読させて頂きました。
今週号は同じ法曹界に身を置く者として、
特に興味深く読ませていただきました。
司法修習生の頃、堀田氏(既に検察庁は退官されていましたが)は
我々にとって正に憧れの存在でした。
そして、その後の人生も本当に素敵な道を歩まれていると思います。
我々法曹人(法律家)のほとんどは
(少なくとも私が司法試験を目指していた頃の面々までは)、受験生のころ、
「正義」、「自由」、「人権」、「平等」、「公平」、「公正」といった、
若者が真面目な声で口にすると逆に恥ずかしいと思われてしまうかのような
価値を大切にし、世の中に対して何らかの貢献をしたいと本気で考えて
この職業を目指していました。
特に国家権力をはじめとする強大な力に対峙する法曹という意味において、
堀田氏のとられてきた行動は我々のやる気を奮い立たせるに十分なものでした。
そして、裁判官、検察官、弁護士のどの道に進むにせよ、
目指すべき方向は一緒であるという連帯感は確実に根付いていたような気がします。

ところが、10数年して法曹の仲間と再会したときに極めて残念に思うのは
(これは多くの弁護士の共通した意見だと思われます)、
一番変わってしまっているのが検察官です。
「公益の代表者」たるべき検察官が、
いつの間にか「国家権力」そのものになってしまっているのです。
もちろん検察が国家権力の一つであること自体は紛れもない事実ですが、
現在の検察庁には堀田氏が大切にしていた理念とは異質の部分が
存在することは否定できないと思われます。
さらに、「ヤメ検」弁護士たるや、(もちろん例外はいますが)、
「この人は本当に法曹人なのだろうか」と思うほど、
「金の亡者」になってしまうケースが非常に多いといえます。
裁判官になった仲間や裁判官を退官されて弁護士になられた方々と比べて
この差は顕著です。
堀田氏のような検察官が一人でも多く再び現れることを願ってやみません。

我々弁護士も常におかしな方向に進んでしまう危険性をはらんでいますが、
そんな時にいつも意識しなければならないのは
「本当にこのアドバイスや事件処理が世の中のためになっているのか否か」
ということです。
今回の内容を読ませていただいて、
改めて「社会正義の実現」を口先だけではなく、
身近なところから実践し続けなければならない必要性を感じました。
司法修習生を終える時、仲間と誓ったことがあります。
「信念を持って一つ一つの仕事を誠実に真面目にやろう」
全ての仕事が世の中に何らかの影響を与えていることを常に意識し、
その一つ一つについて、ポーズではなく、
「社会正義」を意識して業務に励みたいと改めて思います。
あの青臭い議論をしていた時期を忘れてはならないと思います。
自戒を込めて、感想とさせていただきます。
ありがとうございました。

Yより

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09月26日(火)

【「堀田力」という生き方】

ロッキード事件で「カミソリ堀田」の異名をとった堀田力さん。
田中角栄元首相を起訴し、東京地検特捜部を
社会正義のブランドにしたてたのはこの人でしょう。

その後、順調な出世街道を突然はずれて、ボランティアの世界へ転進。

私はいぜんから、堀田さんに一度お目にかかりたいと思っていました。
念願かなって、BS日テレ『財部ビジネス研究所』で
インタビューをさせていただくことができました。

そのエッセンスを、私が発行している「HARVEYROAD WEEKLY」に記しました。
今日は、そのレポート公開します。
どうぞ読んでみてください。

「社会正義こそ幸福の条件」 (PDF)

またこのレポートに対して、HARVEYROAD WEEKLYの会員の弁護士の方から、
印象的なご感想をメールで頂戴しました。
近日中にこちらも公開しますので、どうぞご覧になってください。

08月23日(水)

【ロシアというトラウマ】

ロシア経済がいま驚異的な成長を始めたという記事を
ホームページにアップした2日後、
ロシアの沿岸警備艇によって根室の漁船が拿捕され、
その際行われた威嚇射撃で日本人乗組員が亡くなるという
痛ましい事件が起こりました。

太平洋戦争の終戦間際、日本はロシアからの予期せぬ攻撃をうけ、
それはあたかも予告なしに背後から撃たれたようなもので、
その記憶がいまだに生々しく残っている日本人は少なくありません。

シベリア抑留という過酷な記憶もあります。
さらにまた、98年にルーブルが暴落した金融危機に際して、
ロシア政府は「デフォルト(債務不履行)」を宣言する
という究極の無責任をやってのけました。

事実は、このデフォルトこそが大底で、
そこからロシア経済は急激な発展を遂げていったのですが、
終戦時のロシアに対する劣悪な記憶を残す日本人からすれば
「またか」という感情がわいてきてもおかしくありません。

そのせいか、ロシアで消費が爆発しているというのに、
日本にはロシア情報があまりにもなさすぎるという危機感から、
サンデープロジェクトで「インド特集」とならべて「ロシア特集」を放送し、
ホームページでもロシア経済について書いた直後に、
この痛ましい事件が起こってしまいました。

これでまた、「やはりロシアは信用できない」
という感情を多くの日本人がいだいたに違いありません。
ロシアというトラウマです。

しかしこの不幸な事件を契機として、
日本は外交の建て直しに本腰をあげるべきです。

いかなる理由、いかなるいきさつがあろうとも、
日本列島を取り囲む、中国―韓国―北朝鮮―ロシアという隣国たちの
いずれとも友好な外交関係が構築できていないというのは異常です。
日本の安全保障上、由々しき事態だと認識すべきです。

次期総理にはぜひとも、この問題解決に尽力してほしいものです。

08月14日(月)

【『ロシア驚異の市場』のインパクト】

これまで何度となくサンデープロジェクトで特集を担当してきましたが、
7月30日に放送された『ロシア驚異の市場』には大きな反響があり、
私自身、ちょっと驚いています。

どういうわけか、日本ではBRICsのなかではインドばかりが話題になり、
おびただしいほどの雑誌や単行本が出版され、
「過熱するインド経済」というイメージが創りあげられました。

ところが対照的に、ロシアに関する情報はまったくといっていいほどありません。
日本にとってロシアはけしていいイメージの国ではありません。
マフィア経済、デフォルト(債務不履行)、モノ不足などなど・・・
ネガティブなイメージばかりが一方的に膨らんでいます。

ところがインド、ロシアと連続して取材をしてみると、
驚くべき事実に直面します。

「過熱している」のはじつはインド経済ではなく、
ロシア経済だったからです。
膨大な量の取材テープを見たサンプロのチーフディレクターが
面白い感想を言っていました。

「取材テープに映っているインドは、私がかつて目にしたインドのままでした。
しかし、ロシアは私が知っていたロシアとはまるで違っていた」

ロシアではいま消費が爆発しています。
モスクワの道路にはベンツ、BMW、レクサスなどの高級車があふれ、
キャッシャーが100台もならぶ巨大スーパーマーケットでは
モスクワ市民が大喜びでショッピングに興じているし、
世界中の一流ブランド店が軒をならべるという状況です。

98年当時、モスクワに3店舗しかなかった日本食レストランが、
いまではなんと400店!
岐阜県関市の和包丁が飛ぶように売れているのです。

「過熱するインド経済」ではなく「過熱するロシア経済」!
もちろん10億人を超える巨大な人口をかかえるインドの成長余力も魅力ですが、
かつて米国とならぶ超大国であったロシアの実力を日本人はあなどりすぎです。

人類を宇宙に最初に送ったのもロシアだし、芸術、文化、
なにをとってもロシアは懐の深い国です。

そのロシアで、98年のデフォルトをきっかけに欧米から
ものすごい勢いで直接投資が行われ、経済の正常化がはかられ、
そこに原油価格の高騰という追い風にもめぐまれ、
ロシア経済はいま劇的な変貌を遂げつつあります。

いずれにしてもロシアには注目していかなければいけません。

06月02日(金)

【世界が見えなければ、日本が見えない】

気がつけば日本の景気回復は4年5ヶ月。
80年代のバブル景気を抜き、この秋に、
戦後最長の"いざなぎ景気"超えるのも時間の問題
といわれるようになりました。

この現実に違和感を覚えている人が少なくないでしょう。
なぜ、そんなに回復実感がないのか。

その理由は今回の景気回復が海外で収益を伸ばす
大企業によって主導されてきたからです。

そして、その背景には世界経済の想像を絶する
景気拡大がありました。

なんと世界の実質成長率は03年、04年と
4%台の成長を続け、05年には4.8%まで達しました。

しかも4月に公表されたIMFの見通しによれば、
06年も4.9%と5%近い成長が続くというのです。

人類史上、経験をしたことのない火を噴くような
世界の経済成長です。

それを、しっかりと自社のビジネスに取り込むことで、
日本の大企業は劇的な売上の拡大、利益の拡大を
達成することができたのです。

一般的にはバブル崩壊によって生じた
「設備」「人員」「債務」の3つの過剰を解消したことが
日本経済復活の原因だと説明されますが、
それはあまりにも一面的です。

「3つの過剰」の解消はいわば縮小均衡であり、
上場企業が3年連続で史上最高利益をたたきだした
説明としては不十分です。

世界市場の急成長という追い風を見事につかんだ企業が、
今回の景気回復を力強くリードしているのです。

それがトヨタでありキヤノンなのです。
構造不況といわれて久しい鉄鋼業界の復活も、
総合商社の劇的なビジネスモデルの転換も、
そうした背景のなかで進んできたのです。

世界が見えなければ、日本が見えない、のです。

05月23日(水)

【鍼灸とゴッドハンド】

先日、私が頼りにしている主治医の先生と食事をした際に、
どのように体調管理をしているのかという話に及びました。

「先生は肩が凝ったり、
疲れがたまったりしたときにどんな対処をするのですか?」

するとそのドクターは驚いたことに、肩は凝らないという。

「なぜ凝らないんですか?」と再び尋ねてみると、
毎週1回、スポーツジムで行っている筋肉トレーニングによって
肩凝りは防止できるというのです。

具体的な筋トレ法については一緒にジムにいきましょう、
ということになったのですが、そこでさらに尋ねてみました。

「鍼灸やマッサージの治療効果は医学的にどうとらえられるんですか?
じつは僕には2人、絶対的に信頼している治療士が
いるのですが・・・」

すると、ドクターいわく。
「エビデンス(証拠)はありません

鍼灸やマッサージによって血行がよくなることはあるだろうが、
それで病気が治癒してしまうということは
医学的にはまったく証明できないということでした。

「ただし、現実の臨床行為として、
効果的であるという事実もあります」

要するに、医学的に証明は出来ないが、
鍼灸や指圧といった東洋医学の効果は明らかにあり、
人によっては大きな効果をもつということでした。

私の個人的なケースでいうと、
通常のマッサージや指圧はたしかに施術中は気持ちがよく、
癒されるのですが、本当に肩凝りが解消したかはなはだ疑問
という場合が少なくありません。

むしろ私の場合は鍼灸が効きます。
私がお世話になっている鍼灸師の先生との相性の問題も
あるのかもしれませんが、じつに効果を実感することができます。

もう一人、私が信頼する人物は都内のホテルにつとめている
マッサージ師で、リンパの流れをコントロールしてくれる先生です。
「ゴッドハンドの持ち主だ」と知人に紹介され、
時々うかがっていますが、なにせこちらは「ゴッドハンド」ですから、
なかなか予約もとれません。

いずれにしても、疲労困憊になる前に、疲れが少しでも解消するよう
体調をコントロールしていこうと強く思い続けている今日この頃です

05月15日(月)

【三菱商事の大変身 〜『経営者の輪』更新しました〜】

いすゞ自動車の井田義則社長からご紹介いただいた
三菱商事の小島順彦社長が『経営者の輪』に登場しています。

商社不要論が何度となく叫ばれるなか、
気がつけば、日本の総合商社は大変身していました。
三菱商事の小島社長のお話にそれがにじんでいます。
面白いです。

ぜひご覧ください。

05月08日(月)

【財務省売却!】

2月、3月にインド、ロシアへの取材があったことと、
4月8日からBS日テレで新番組『財部ビジネス研究所』が始まったこともあり、
多忙をきわめました。

こんなことではいけないと思いつつ、
4月4日いらい、財部ジャーナルの更新ができませんでした。
申し訳ありません。

さて、今日は財務省売却についてお話します。

4月30日の『サンデープロジェクト』に谷垣禎一財務大臣が出演された折に、
じつは私は「財務省の土地、建物を売却してはどうですか」と尋ねてみました。

あまりにも唐突な問いかけであったためか、
谷垣大臣からは確たるご返事をいただけませんでしたが、
私は伊達や酔狂でそのような発言をしたわけではありません。

私が知る財務官僚の多くは本気で日本の財政の先行きを案じています

谷垣大臣が再三指摘している
「将来世代への借金の先送り避けなければならない」という主張も、その通りです。
日本の財政状況を考えたら、増税は避けて通れません。

しかし国民にさらなる負担を求めるためには、
国自身が徹底的な合理化努力が不可欠です。
財務省のなかには、いくら役所の経費を削減しても、
都内の一等地にある公務員宿舎をはじめとする国有財産を売却しても、
770兆円という巨額の借金財政のまえでは、
大海に水を一滴落とすようなものだという考え方があります。

客観的にはその通りです。
しかし、だからといって、
合理化努力をしなくてよいということには絶対になりません。

経営危機に陥った多くの企業が本社ビルを売却した例がいくつもありますが、
いずれのケースでも本社ビルの売却益など微々たるものでした。
それでも本社ビルを売却した理由は、危機の共有です。
どんなことをしてでも、
この会社をつぶすわけにはいかないんだという心意気だったのです。

いま、日本の財政再建論議に決定的に欠けているのは、まさにここです。
財務官僚が100万言をついやして国家財政の危機を語るよりも、
行動で示すべきなのです。

日本の財政が本当に危機的であるというなら、
財務省みずからが土地を売却するくらいの行動を見せるべきです。

財務省がそこまでやれば、他省庁も動かないわけには行きません。
役人が高みに立ったまま、いくら国家の危機を説いても、
説得力などあろうはずがありません。

財務省売却! 
ぜひともやってもらいたいものです

04月04日(火)

【ロシアより愛をこめて III】

ロシア経済はいまものすごい活況を呈していますが、
それはいつ、何をきっかけに始まったと思いますか?

じつは98年のデフォルト(=対外債務の支払い停止宣言)でした。

日本人の多くはデフォルトに直面した時、
「やっぱりロシアは信じられない」といっせいに逃げ出しましたが、
欧米企業はまったく逆の行動をとりました。

デフォルトを境にロシア投資をいっきにふくらませたのです。
ペレストロイカ以降、ロシア国内は秩序なき市場経済化が進み、
マフィアが幅をきかす闇市のような状況に陥っていました。

それが98年の金融危機でルーブルはそれまでの4分の1に下落。

モノを右から左へ横流しして利ざやを稼いでいた
ロシア人ブローカーたちは大打撃をこうむり、
闇市経済は一気に終息。

きちんと設備投資をして、きちんとした収益をあげる
あたりまえの企業が続々と誕生していったのです。

このプロセスで欧米企業は、積極的にロシアへ投資をしたのでした。
ところが日本はこの流れにまったく乗ることができませんでした。

ロシアに詳しい日本のあるベンチャーキャピタリストは、
この現実を地団太踏んで悔しがります。

「ロシアには素晴らしい技術をもった企業がたくさんあります。
バーゲンセールですよ。
ところが日本企業は誰も投資をしようとしない。もったいない話です」

デフォルトはロシア経済の終わりではなく、スタートだったのです。
そのロシアにいまさらに神風が吹いています。
石油価格の高騰です。

資源大国ロシアに大量の資金が流れ込んだ結果、
ロシアの消費熱は一気に高まっているのです。

03月31日(金)

【ロシアより愛をこめて II】

ロシアで活気に満ちているのは高級外車を乗り回す
お金持ちだけではありません。

モスクワ市民の消費熱も相当高くなっています。

モスクワの玄関であるシェレメチェボ国際空港に近い
巨大ショッピングセンター“メガ”に取材に行ってきました。

もっとも驚いたのは、食品スーパー"オーシャン"の巨大さです。

私は米国のスーパーマーケットも随分見てきましたが、
これほど巨大なスーパーを見たことがありません。

買った商品を清算するレジがなんと90台もあるのです。
それはもう壮観です。

100メートルほどの距離に、レジがずらりと並び、
そのレジに買い物客が順番待ちをしているのですから
驚いてしまいます。

03月27日(月)

【ロシアより愛をこめて】

じつはモスクワにいます。

世界でももっとも大きな経済成長が期待されるという
「BRICs(ブラジル・ロシア・インド・チャイナ)」のうち、
インドに続いてロシアへとやってきたわけです。

ロシアでは消費が大爆発しています。

ロシア市内は派手なネオンサインに埋め尽くされ、
高級レストランが次々とオープンされ、
米ソ冷戦時代には冷たく圧倒的な威圧感を感じさせていたクレムリンの前では
フォーシーズンズ・ホテルとリッツ・カールトンホテルが建設中。

モスクワも大渋滞ですが、デリーとは走っているクルマがまるで違います。
こちらは地元ロシアの小型車も走っていますが、
ベンツやBMWはあたりまえ。トヨタの最高級車であるレクサスも、
これでもかといわんばかりに走っています。

そもそもロシアは、かつて世界で初めて人間を宇宙に送った国であり、
かつてはGDP世界第2位の国。
はっきりいってブラジル、インド、チャイナと横並びで語ること自体が
間違っている!

それが私のファーストインプレッションでした。

03月07日(火)

【「過熱するインド経済」は本当か?】

「インドと腹痛」などという文章を書いたきり、
その後の更新がなく、申し訳ありませんでした。
おかげさまで、無事帰国しました。

さてインドはどうであったか。

正直言って日本国内のさまざまなインド経済に関する報道から
イメージされるものとは、まったく異なる国でした。

私が今回訪問したのは首都デリーと、
IT企業の集積地であるバンガロールという都市ですが、
いずれにしても目の前に広がるインドは
「世界経済を牽引するインド」でもなければ
「IT立国のインド」でもありませんでした。

インド取材の初日、日本のODAによって建設された
デリーの地下鉄に乗り込みました。

日本の「霞ヶ関駅」に相当する官庁街のセントラル・セクリタリアート駅から
地下鉄に乗り込んでみました。なかなか快適な乗り心地です。
そしてお隣のチャウリ・バザール(Chawri Bazar)駅で下車。
地上にあがれば、そこはオールドデリーの中心街です。

「小さな卸売り商が軒を並べる町だ」と説明をうけながら、
エスカレーターを乗り継いで地上にでました。

目の前の狭い路地はおびただしいほどの人で溢れ、
その隙間をこじ開けるようにクルマとバイクが動き回り、馬車が走る。
路地の両脇にびっしりとならぶ2階建て建物は、
いまにも崩れ落ちそうなほどに傷んでおり、
その景色は空気に色がついているのではないかと思うほど、
土ぼこりで煙っていたのです。

息をするのもはばかられ、コンタクトレンズを装着した目を
あいていることが苦痛でなりませんでした。
地下を走る近代的な地下鉄と、ほこりまみれの地上の喧騒。
それはもう天国と地獄です。

インド人の通訳に私は思わず言いました。
「衝撃的な光景だね」
すると彼は、首を横に振りながら答えました。

「この程度で衝撃を受けるのは間違っています。
コルカタ(旧カルカッタ)やムンバイ(旧ボンベイ)に行ったら、
国際空港の玄関や5つ星ホテルの入り口まで極貧の人たちでいっぱいですよ」

正直、私は混乱しました。
インド経済は本当にいいのか?わけがわからなくなったのです。

私が日本を出発する2日前の2月6日には、
インド株式市場の代表的な指標であるムンバイ証券取引所の
平均株価指数(SENSEX)は1万ポイントの大台に乗せ
史上最高値を更新し続け、インド株に投資をする投資信託は絶好調だというのに
自分の目の前にさらされているデリーの景色は
汚く、貧しく、騒がしく、混沌としている。

インドの現実をみればみるほど、中国が限りなく「先進国」に思えてきました。
日本国内ではさかんにインドのIT産業が取りざたされています。
インドは特異な経済発展のプロセスをたどっており、
繊維などの軽工業から産業化が始まるのではなく、
いきなり先進のIT産業が国家を牽引し始めたという論調も少なくありません。

そもそも私はこうした見方には同意できませんでした。
インドのIT産業がGDPに占める比率はわずか3%にすぎません。
少なくともIT産業だけで10億の民を牽引していけるはずがないではないか
という私の確信は、インドに来たことによってさらに深まりました。

(続く)

02月08日(水)

【インドと腹痛】

「インドに行く」と伝えると、必ずといっていいほど、
その相手が腹痛の話をするのには閉口します。
インドに行った日本人で、腹痛を患うことなく、
無事帰国した人はいないかのような印象になってきます。

もともと胃腸の弱い私としては、緊張が走ります。

そこでネット検索してみました。
「インド」「下痢」というキーワードをいれてみると
出るわ、出るわ、ものすごいヒット数です。

インド取材は腹痛との闘いであることを覚悟して
頑張ってくるつもりです。

インド経済の成長は本物なのか、どうか。
その真贋を少しでも自分の目でたしかめてきたいと思っています。

02月06日(月)

【インド取材】

世界経済を牽引する成長国として“BRICs”が注目されています。
BRICsはブラジル、ロシア、インド、チャイナの
4カ国の頭文字をとったものです。

そもそもこれはゴールドマン・サックスという米国の証券会社が、
大胆にも2050年の世界を予想するレポートを発表し、
そのレポートのなかで使われた造語が“BRICs”なのです。
世界の経済規模をランキングしてみると、いま現在はこうなっています。

第1位 米国
第2位 日本
第3位 ドイツ
第4位 フランス
第5位 イギリス
第6位 イタリア

おなじみの顔ぶれですね。
ところがゴールドマン・サックスが2003年に発表した
『ブリックスの夢、2050年への道のり』は、
この順位が劇的に変わるだろうと予想しています。
ご覧ください。びっくりしますよ。

第1位 中国
第2位 米国
第3位 インド
第4位 日本
第5位 ブラジル
第6位 ロシア

本当ですかねえ。
1年先のことだって誰もわからないのに、
2050年のことがわかるんですかねえ、といいたくもなりますが、
BRICs各国が急成長していくことは確実です。

ただし、各国それぞれに、さまざまな事情があり、
その成長発展ぶりは一様であるはずがありません。

これからどうなるのか。
少なくとも自分の目で確かめておきたい。
そんな気持ちが強くなりました。

今週、インド取材にでかけます。
来月はロシアです。

できたら、取材旅行中にインドから現地報告をしたいなと思っています。

01月24日(火)

【堀江社長逮捕】

「株式をマザーズに上場したとたんに倒産の恐怖から開放されました」
昨年、新興市場に上場したあるベンチャー企業の社長は
そうつぶやきました。

「上場するまでは常に資金繰りに苦労していた。
銀行からの融資も簡単にはおりない。
ところが、上場したとたんに状況が一変するんです。
まず銀行は上場会社だということで、
いくらでもお金を借りてくれと態度を豹変させました。
しかし、なによりも大きかったのは、
1万円札を刷る高速の輪転機を手に入れたことです。
株券さえ刷れば、いくらでも資金調達が出来るようになったのですから」

このベンチャー企業の経営者はじつに堅実な人物ですが、
株式を上場しただけで資金調達がこれほど楽にできるようになるとは
思ってもいなかったと本音を吐露していました。

新株を発行しさえすれば、いくらでもお金が転がり込んでくる!
「打ち出の小槌」を手に入れたようなものです。

本業で汗水たらして働いてもとうてい稼げない巨額の資金が、
株券を刷れば転がり込んでくるのです。
もちろん株券を刷れば「株式交換」によって
他の企業を買収することも出来ます。

「打ち出の小槌」をどうつかいこなしていくか。
そこに新興市場に上場した経営者の人格、見識が集約されます。

明確な企業理念にしたがって「打ち出の小槌」を
本業拡大のために最大限活用していくのか。
それとも本業そっちのけで、マネーゲームの虜(とりこ)に成り下がるのか。

ライブドアの堀江貴文社長は後者でした。
上場直後、あまりにも簡単に手に入る巨額のマネーに
堀江社長はほくそ笑んだことでしょう。

だが彼はそれでは満足ができなかった。
法律に触れなければ何をやってもいいという
持ち前の順法精神のなさをいかんなく発揮して、
「打ち出の小槌」をさらに2つ3つと増やすことに奔走したのです。

そのプロセスで、偽計取引や風説の流布といった証券取引法違反をおかし、
粉飾決算という商法違反の嫌疑をかけられ、
逮捕という最悪の結末を迎えたのでした。

ジャングルには「弱肉強食」という掟がありますが、
じつは企業社会にも厳格な掟が存在しています。

「理念なき経営は必ず破綻する」

その意味では、ライブドアのこの破滅的展開は
初めから決まっていたことだったといってもいいのです。

01月18日(水)

【ライブドア】

ライブドアに東京地検の強制捜査がはいった瞬間、
それまで堀江貴文社長をヒーロー扱いしてきたマスメディアが
一転しました。

怖いですね。批判するとなると、
今度はライブドアのすべてが悪だったかのような報じ方になります。
それこそ全否定です。

ライブドアの錬金術は「株式分割」による高株価政策と
「株式交換」による買収戦略がクルマの両輪となってきました。

証券の知識をまったくもたない人たちが、
「株式分割」や「株式交換」による企業買収など、
法律が定める制度そのものに対して、
違和感があると否定し始めています。

しかし、ライブドア成長のエンジンの役割を果たしてきた制度
それじたいは問題ありません。

問題なのは、堀江貴文社長をはじめとするライブドア幹部の
順法精神の低さだったのです。
法律に向き合う姿勢そのものが間違っていたのです。

そもそもライブドアの急成長は、こうした証券取引法の不備を突いた、
いわば脱法行為の繰り返しによって実現されてきました。

たとえばニッポン放送株を本来ならTOB(公開買い付け)によって
取得しなければならなかったのに、時間外取引という
脱法行為によって大量に取得したことにも象徴されるように、
ライブドアは脱法行為の常習者だったのです。

法律を徹底的に研究し、その抜け穴をさがして、利益につなげる。
それがライブドアのビジネスの中核をなしていたのです。

しかし、脱法行為を繰り返しているうちに、彼らの順法精神は腐敗し、
違法行為を行うことにたいするためらいすらも
なくしていったのでしょう。

今回発覚した粉飾決算や株価操作は、脱法行為ではなく違法行為です。
地検特捜部が動いているところから察すれば、
もっと大きな犯罪が今後出てくる可能性もあります。

いずれにしてもライブドアの問題点は、
その手法じたいにあるわけではなく、順法精神の完全な欠落であり、
堀江貴文という人間の法的不感症にこそ
問題の本質があったというべきではないでしょうか。

01月13日(金)

【財政悪化の理由を語れ】

増税は是か非かという議論が起こっていますが、
これほど不毛な議論はありません。
早かれ遅かれ、増税なしに日本の財政はもちません。

国の無駄をなくすのは当然であり、
増税の前に歳出カットだ、という考え方も当然でしょう。

しかし増税なしにわが国は少子高齢化時代を迎えられないのです。
増税は避けて通ることは残念ながらできません。
日本の財政を管理している財務省が増税をうながす理由も理解できます。

しかし財務省は決定的な間違いを犯しています。

それは日本の財政が破綻寸前まできてしまった理由について、
財務省は説明責任をまったく果たしていないことです。

主計局の主計官はいったい何をしてきたのでしょうか。
官僚の中でもっとも誇り高いポストは財務省主計局でしょう。

彼らが本気で国の財政を守る気概をもっていたら、
国のカタチはもう少し違ったものになっていたのではないでしょうか。

財務省の知人が言っていました。

「主計官がサラリーマン化した結果ですよ。
政治家から主計局長に圧力がかかったとたんに
ヘナヘナと無駄な予算を通してしまう。
そんなことの積み重ねが今につながっている。
主計局自身が猛省すべきだ」

族議員も悪いし、その族議員に自己都合のおねだりをする国民も悪い。

しかし主計局は日本財政規律を守るために、どこまで闘ってきたのか。

少子高齢化で膨張する福祉予算といった環境認識をあげつらうだけでなく、
財務省自身の責任についても
しっかりと国民に語るべきではないでしょうか。

それなしに、増税を飲んでくれといわれても、国民は納得できません。

01月12日(木)

【オペラ座の怪人】

今週の月曜日、ブロードウェイで新たな伝説が生まれました。

『オペラ座の怪人』が7486回の連続公演を行い、
1982年から2000年まで続いた『キャッツ』の記録を
ぬりかえました。

じつは私はブロードウェイのミュージカルが大好きで、
NYにいくたびに時間を捻出し、足を運んできました。

米国に行く機会はあっても、
必ずNYに立ち寄るとは限りませんし、
ましてや取材ともなれば、NYにいったからといって
ミュージカルを観る時間的な余裕があるともかぎりませんが、
NYに行くときには、ブロードウェイに執着してきました。

なかでも『オペラ座の怪人』は大のお気に入りです。
7486回のうちの3回を観ています。

連続公演回数が8000回を数える前に、
もう1度か2度、観にいきたいのですが、
今年はちょっと予定がたちません。

そのかわりといってはなんですが、
劇団四季の『オペラ座の怪人』でも観にいこうかなと考えています。

01月11日(水)

【夢うつつ】

昨日、福井県の敦賀で仕事を終え、そのまま福岡に飛びました。
北陸本線で、敦賀駅から石川県の小松駅に移動し、
そこからタクシーで小松空港へという道中でした。

雪による遅延もなく順調に移動することができましたが、
ひとつだけ大きな問題がありました。乗り継ぎ時間です。

小松空港から福岡空港にむかう全日空の最終便の出発する時刻は
20:20でした。

しかし私が小松空港に到着したのは17:30。
3時間近い時間を小松空港でつぶさなければならなくなったのです。

この日は、ひとりで移動していましたから、
食事をするといっても30分もあれば十分です。

持ち歩いていたパソコンの充電量も底をつき始めていました。
どうしたものかと考えあぐねていた時に、
ふとあることを思い出しました。

出発ロビーの端っこに
小さな「足裏マッサージ」のコーナーがあったのです。

2年ほどまえにそのお店に入ったことを思い出したのですが、
勢い込んでいってみると、 なんとなく以前来たときの記憶と様子が違う。

よく見ると「足裏マッサージ」ではなく
「アロマセラピー」の店に変わっていました。

まあ、足でも全身でも、とにかく癒されながら時間をつぶせるなら
これにまさるものはないと中に入ってみました。

お店の人と話をしてびっくり。
わずか2年ほどのあいだに、店の経営者が次々と変わっていたのです。
足裏マッサージ店が廃業し、
そのあとにカイロプラクティックの店になり、
それも廃業して、現在のアロマセラピーの店になったというのです。

疲れを癒したいというニーズは世の中にごまんとあります。
だからこそ、廃業しても廃業しても、それに応えようという
お店が現れてくるのでしょう。

でもこの場所で、癒しビジネスが長く続かないのは、
なぜなのでしょうか。

「空港の賃貸料が高すぎるからではないか?」
そんなことを夢うつつのなかで、
ぼんやりと考えながら時間をつぶし、
無事、小松空港を後にすることができました。

01月10日(火)

【ポスト小泉】

1月8日、今年最初のサンデープロジェクトの放送がありました。
例年なら「今年の経済予測」が行われるところでしたが、
今年は違いました。

ポスト小泉レースの有力候補3人に1人ずつ、
じっくり話を聞くという構成になりました。

安倍晋三官房長官、谷垣禎一財務大臣、そして竹中平蔵総務大臣。

すでに麻生太郎外務大臣と山崎拓元副総理の2人が
総裁選に名乗りをあげていますが、
この日サンプロに出演した3閣僚は2人が明言を避け、
1人が否定するという展開になりました。

安倍氏と谷垣氏は否定もしないが、名乗りもあげず、
仕事に専心するという発言。
竹中氏は逆に「総裁への意欲はない」と明言しました。

世評では安倍人気が突出しています。
果たして安倍さんはどうするのでしょうか。
サンプロで安倍さんを何度となく見てきた私には、
安倍さんの口調が微妙に変化してきていることが感じられてなりません。

以前よりも、明らかに言葉を選ぶようになりました。
慎重に言葉を選びながら話すようになったなあ、
という印象がぬぐえません。

あまり早くから総裁選に手を上げるのは、
対立勢力を勢いづかせるだけでしょうから、直前まで謙虚に、
静かにという戦略なのではないでしょうか。

少なくとも私の目には
安倍さんが総裁選に対して、静かだが、
強い思いをいだいているように見えてなりませんでした。

01月07日(土)

【古畑任三郎ファイナル】

天才脚本家、三谷幸喜さんの人気テレビドラマシリーズ
『古畑任三郎』が高視聴率をたたきだしたそうです。

1月3、4、5日野3夜連続でシリーズ完結となる
『古畑任三郎ファイナル』を放送したところ、
3作すべての視聴率が20%を突破。

イチローが出演したファイナル第2夜は平均視聴率が27%を記録。
松嶋菜々子が主演した第3夜にいたっては平均視聴率が
29.6%まで達したそうです。

じつは私も隠れた『古畑任三郎』ファンの一人であり、
このお正月、おおいに楽しませてもらいました。

このままシリーズが終わってしまうのは、あまりにももったいないと、
納得しかねている人間の一人でもあります。

しかし『古畑任三郎ファイナル』が
これほど多くの人から支持された背景には、
他に見るべき番組がない、という現実がありました。

民放のテレビ局はどこもかしこも、バラエティ番組一色。
バラエティもいいけれど、バラエティしかやらないという
テレビ局の現状に不満を持っている人間が
相当いるということをテレビ局は認識すべきです。

三谷幸喜さんは天才です。
そして『古畑任三郎』は傑作です。

しかし『古畑任三郎ファイナル』がものすごい視聴率をたたきだしたのは、
脚本家の才能と作品のすばらしさだけではなかったと私は考えています。

どこをみてもバラエティ番組という貧困さが、
高視聴率の背景にはまちがいなくあります。

しかし考えてみれば、テレビだけではありません。
日本という国は本当に均質的で、なにかが流行すると右から左まで、
どこもかしこも同じ色に染まってしまいます。

本当に困ったものです。

「自分だけは、自分の色をしっかりとだした生き方をしたいものだ」
テレビを見れば見るほど、そんなことを考えるようになりました。

01月05日(木)

【世界同時株高】

2006年の株式市場はアジアからロンドン、NYそして昨日の東京と、
見事なまでに力強く値上がりをして幕を開けました。
いい感じですね。

単純な楽観論をいうつもりはもうとうありませんが、
今年の日本経済は、久しぶりの「快晴」です。

少なくとも景気の低迷を理由に
業績の悪化を語っているような状況にはありません。

もちろん地域格差はあります。
しかし「景気が悪いから地元経済が悪い」といっているだけでは何も解決しません。

絶好調の東京や拡大を続ける中国とつながるなど、
どうしたら地域経済が活性化できるのかを真剣に考えなければならない
年になるのではないでしょうか。

当ホームページも今年は出来る限り高い頻度で更新をしていきます。
今年もよろしくお願いします。

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