財部誠一 HARVEYROAD JAPAN オフィシャルサイト
12月25日(土)

【ドン・キホーテ批判を批判する!】

新聞社やテレビのニュース番組というのは
「是々非々」という言葉を知らないようです。

なんでもかんでも批判をすればそれでよいという態度には
怒りを覚えることもしばしばあります。
放火によって3人の社員が犠牲になった
ドン・キホーテに関する報道は本当にひどかった。
目に余るものがありました。
大多数のマスコミは放火犯を断じることよりも、
3人の犠牲者をだしたのは
ドン・キホーテの特徴である「圧縮陳列」だと一方的に決めつけ、
ドン・キホーテを一斉に非難していました。

常軌を逸しています。

そこには真実がどこにあるのかを探り出そうという
基本的な態度が欠落しているばかりか、
勝手な思い込みだけで、簡単に人を断罪してしまう
薄っぺらな正義感ばかりが目についてなりません。

たしかにドン・キホーテは深夜営業にともなう騒音問題などで、
地域住民とのあいだでトラブルが続発していたことは事実です。
しかし、だからといって「悪いのはすべてドン・キホーテ自身だ」
などと批判してよいはずがありません。

悪いのは放火犯であり、ドン・キホーテは一義的には被害者ではありませんか。
もちろんそこに消防法上の問題があれば、それはそれで批判されてしかるべきですが、
3人が亡くなった浦和花月店は、今年6月にさいたま市消防局の立ち入り検査をうけ、
改善点を指摘され、6月中に浦和花月店は改善計画を提出、
9月には改善報告をだしていたのです。
つまり一般論として「圧縮陳列」を批判する前に、
放火され犠牲者がでたこのお店固有の事情を問題にするのが筋というものです。
ところが、大多数のマスコミは放火現場の話をすっとばして、
いきなり悪いのは「圧縮陳列」であり「ドン・キホーテ」だときめつけたのです。

本当にひどい。

なかでもとくべつにひどかったのは
夜のニュース番組に出演している朝日新聞のコメンテーターの発言です。
これはひどかった。
そもそもドン・キホーテは近隣住民とのトラブルがたえない会社だという趣旨の
発言のなかで「ドン・キホーテは薬事法にして違反して夜中に薬を売っていた」
とまで言っていました。

それはない。

薬は薬剤師がいる薬屋でなければ売ってはいけないという
時代錯誤の規制とドン・キホーテは戦ってきたのでしょう。
全店に薬剤師をおくわけにはいかないから、テレビモニターを通じて、
薬剤師がお客さんとの症状を聞くことで、
従来の規制を突破しようとしたドン・キホーテの態度はほめられこそしても、
放火の遠因として非難されるような話では断じてありません。

こうした努力によって、いまでは風邪薬や胃薬など市販薬の一部が
コンビニでも売られるようになり、
夜中に突然、体調を崩した時でも、私たちは薬を求めることができるようになったのです。

ドン・キホーテの問題点を指摘することと、
でたらめなロジックで被害者であるはずのドン・キホーテを
加害者扱いすることとは天と地ほどにも違うことなのです。

12月15日(水)

【Sさんからのお返事】

そこいらの主婦に、ていねいなお返事を頂いた事、感謝にたえません。
永年、介護など人の世話におわれ、浦島太郎でした。
経済破綻の本に出会いこれは大変と、
何冊か(同じ傾向の物)を読んでいましたら、つまってきました。
ニュージーランドに移住するしかない、
定額金利で借りられるだけ借りハイパーインフレで生き残れ。とか。
ノアの方舟かも知れないと思えるような書き方にあわてていました。
財部先生のお話は、常に人間の底力のようなものを信じて前向きですね。
私も強くなれたらと思います。
主婦は、折り込み公告の、求人ペーパーで景気を感じます。
銀行の求人が、とても増え、ページ数も増えています。
一方相変わらず2年株でもうけたらその後に日本が破たんするという本もでています。
自分にできる事を信じて、やっていく。あきらめない。ということですね。
ありがとうございました。底辺の主婦ですが、やってみます。

12月13日(月)

【Sさんからのの手紙】

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

ただの主婦です。経済に明るくもありません。
新聞でみつけた、日本国破産、ハイパーインフレと言うのを読み、あわてています。
今日の(TVの)財部先生のお話で、危機は回避したのかと思いました。
でも、借金時計を初めて見てドンドン増えていて、やっぱり日本は危ないのだろうか。
今日の話と逆なんじゃないかと。
わかりません。
今までいろんな番組でいろんな経済の専門の方が発言していらっしゃるなか、
先生は常にそこ力を信じて、投げない見方をされているように思います。
楽観的でもある様です。
一方私が読んだ本は、すぐにも国から逃げ出せと書いてある様です。
中学生の息子達に勉強するようにいっても、
経済的にも外交的(戦争)にも危険な中、希望を持ってやる気もでないだろうと思います。
国の経済は逃げ出すときなのでしょうか、
乗り越えてほっとできるようになったのでしょうか。
ブランドショップが立ち並び、日本が一番のお得意であるのに、国は滅ぶ。
もし国が潰れたら私たちの日常はどう変わるのでしょうか。
無一文に成るのでしょうか。
教えてください。幼稚な質問で御免なさい。
Sより。

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

以下、財部誠一のお返事です。

S様へ

ご質問の件、もっともだと思います。
日本経済そのものが不安定な状況にあるうえに、
極端な悲観論から楽観論まで情報も錯綜しています。
将来不安をSさんがお感じになるのも当然です。

ただひとつ申し上げたいのは、マスコミで極端な悲観論を言っている人々は
2003年の景気回復も、2004年のプラス成長も
まったく予想できなかった人たちばかりなのです。

また、過去を振り返ってみたとき、いい時でも悪い時でも、
日本の世論は一方にぶれすぎるという特徴があります。
バブル時代のようにいいとなったら、「日本はついに米国を抜きさった」となり、
逆に悪いとなると「国がつぶれる」となってしまう。
これは閉鎖的な島国の中で、客観的に自分の国を評価できない、
均質社会である日本のマスメディアの悪しき特質なのです。
マスコミの極論が現実になったことは、過去に一度もありません。

まずは、落ち着いてください。

日本の将来を本気で絶望していた有識者は古今東西はいてすてるほどいますが、
日本がつぶれたことは一度もありません。
しいて言うなら、太平洋戦争の敗戦ですね。
その後の高度成長を考えたら、
「つぶれる、つぶれる」と将来を抽象的に悲観することの無意味さが
お分かりいただけると思います。
人間は愚かな動物ですが、国がつぶれるまで何もしないほど愚かではないのです。

先週のTVでの私の発言はSさんを混乱させてしまったように、
あまりにも言葉が足りなさ過ぎました。
本当はもっときちんとお話をする予定だったのですが、時間がなくなってしまい、
最後の結論(日本経済は大丈夫)だけを
言ってしまうというカタチになってしまいました。

ごく簡単にその根拠をもうしあげます。
日本経済がこの数年、ものすごく苦しんだ直接的な理由は、
日本経済のメジャープレーヤーである松下や東芝などの大企業が
なんのヒット商品もだせず、総崩れになったことです。
トヨタ、ホンダなど、自動車業界いがいでは、
メジャープレーヤーがいっせいに故障者リストに載ってしまった!
これが日本経済が塗炭の苦しみを味わわざるをえなくなった元凶だったのです。
大企業が崩れたら、中小、零細企業が苦しむのは当然の帰結です。

ところが、この2年ほどの間に、日本経済のメジャープレーヤーたちが
いっせいに故障者リストから復活してきたのです。
この変化は劇的です。
だから私は「大丈夫」と申し上げたのです。
メジャープレーヤーさえ復活すれば、
景気の多少のぶれなど気にする必要はまったくありません。

もちろん、日本の景色には厳しい姿が多々あることは事実です。
しかし、大きなトレンドとして日本経済は確実に上り調子になってきました。
過度な心配はかえって危険です。落ち着きましょう! 財部誠一

12月03日(金)

【日本人は温泉ですね】

先日、伊香保温泉に行ってきました。

じつは毎年1回、群馬県内で頑張っている
中堅中小企業を特集するテレビ番組を群馬テレビが放送しており、
そのお手伝いをしています。

東京と群馬は随分遠いような印象がありますが、
新幹線に乗れば東京―高崎間はたったの1時間。
しかも群馬は温泉の宝庫でもあります。
いいお湯につかなりながら、いい取材をしたい、といつも思っているのですが、
現実は厳しく、いつも慌しく出かけて、慌しく帰ってくるという始末でした。

ところが、さすがの私もよる年なのか、この数ヶ月、疲労がたまり、
体調もいまひとつという状況だったので、
今回は思い切って、取材前日に群馬入りすることにし、
どうせ泊まるなら温泉に、ということになりました。
ならば、いい旅館はないかと伊香保温泉で探してみたら、ありました!

“香雲館”です。

すべて趣の異なる十の部屋からなる香雲館は、
全国に散る匠たちがその腕を競って創り上げた芸術作品でした。
久しぶりに心身の緊張を解放できました。

やはり日本人は温泉ですね。

11月24日(水)

【ダイエーの悲劇】

19日に久しぶりに『経済エッセイ』を更新しましたが、
それ以前、あまりにも長いあいだ原稿がとどこおっていました。
じつはその間、中国(上海・広州・杭州・寧波)、米国(ニューヨーク・ケンタッキー)と
長期の海外取材が続いたためでした。

その間、大きな経済事件がいくつもありました。
なかでも私にとって私にとってもっとも印象的であったのは
ダイエーの産業再生機構入りです。

これはもう「資本主義の否定」です。

自分の力で資本を調達してくるという民間企業に対して、
銀行がむりやり産業再生機構による再生を迫ったのですから、珍妙きわまりない話です。
ダイエーの財務内容が厳しいことは衆知の事実だったのに、
降ってわいたようにダイエーの過剰債務が問題視され、
自力再生などできるわけがないから再生機構に行けと銀行がいいだしたのです。

なぜでしょうか?

こんなにわかりやすい話はありません。
すべては銀行のためです。

2001年に金融庁に突きつけられた「不良債権半減」目標を
期日が来年3月に迫ってきたことから、
不良債権処理で遅れをとっているメガバンクは尻に火がついた状態でした。
だからダイエーに手がつけたくなったのです。

信じられないと思いますが、
現在ダイエーへの融資はどこの銀行でも「不良債権」と認定されていますが、
ダイエーに対して産業再生機構が支援するとことを決定したとたんに、
なんと「正常債権」と認定されてしまうのです。

ダイエーの改革などなにひとつ進んでいないのに、不良債権が正常債権に早変わり!
  銀行にとってこれほど美味しい話はありません。

ダイエーの経営が問題だらけだということと、
債権放棄に応じてくれた銀行との約束どおり、
連結で黒字決算を続けているダイエーの自主再建の意志をねじふせて、
産業再生機構にもちこんだだけでもひどい話なのですが、
銀行のひどさはそれだけではすみませんでした。

産業再生機構入りに対してダイエーの高木邦夫社長がかたくなに抵抗していた時、
三井住友銀行の西川善文頭取がテレビカメラにむかって、
ダイエーの経営内容に関するコメントをしたことです。

西川頭取は銀行界には珍しい名経営者のひとりですが、今度ばかりは男を下げました。
銀行が融資先の経営内容を公にするなどということは、絶対にあってはならないことです。
じつはあの会社の中身はひどいといったことを銀行にぺらぺらしゃべられたら、
怖くて融資など受けられません。

そこには「理念」のかけらもない。
落ちたものですね。

自分の利益のためなら平気で他人を売り飛ばし、
商売のモラルもないというのですから。
ダイエーはこれからどうなるのか。まだなにも決まっていません。
少なくとも最後の最後に「再生機構入りして良かった」ということになるよう
関係者には努力してほしいものです。

11月19日(金)

【目先の景気に一喜一憂するよりも】

最近、岐阜県多治見市の講演会に行ったときの話です。

講演の中で私が「いまの日本は飽食で、価格が高ければ高いほどモノが売れる」
といった趣旨の発言に対して、
主催者である信用金庫の理事長が「その通りだ」といって
興味深いエピソードを教えてくれました。

その信用金庫では草津温泉や金沢など、
個人でいったら一泊の宿泊料金が一人5万円前後もするような
超高級旅館に泊まる旅行会をもよおすと、
あっという間に2000人からの人たちが応募してくるというのです。

圧巻は豪華客船「飛鳥」の旅です。
一番高額な、一泊52万円の部屋から予約が埋まっていったとのことでした。

景気が下方修正されました。
目先の景気が落ちてきたとすぐ騒ぎたてる人たちがいますが、
そんなことに関わらず、自らのビジネスモデルを今という時代に
適応させる努力をすることが一番です。

10月08日(金)

【小泉首相が郵政民営化に固執する理由】

国鉄の民営化から10年目をむかえた年の夏、
軽井沢の別荘に中曽根康弘元首相を訪ねました。
サンデープロジェクトの取材です。

「国鉄民営化が成功した理由はなんですか?」
すると中曽根元首相は間髪をいれずに言いました。

「国民に怒りがあったからだ」

何度も何度も運賃値上げを繰り返し、
そのたびに国鉄総裁は国会で新たな経営再建案を示すものの、
翌年にはまた値上げという惨憺に、たしかに国民は激怒していました。
だから国鉄を民営化することに、疑問をいだく余地などありませんでした。

もちろんいつの時代でも既得権を手放したくないために反対する人々はいるものですが、
大多数の人々は国民の足である国鉄が私鉄よりはるかに高い運賃をとりながら、
ろくなサービスもせずに、運賃値上げを繰り返すという国鉄に対して
「怒り」が満ち溢れていました。

じつは郵政民営化がかかえる一番の問題はここなのです。
郵政公社に対する「怒り」が国民のあいだにまったくないことなのです。

「なんのための民営化なのかわからない」
「国民にどんなメリットがあるんだ」

そんな声が民営化に反対をしていない人たちからもあがってくるしまつです。
民営化をしなければならない理由を、
こんせつ丁寧に説明しなければわからないというところに
郵政民営化のゆがみがあるのです。

小泉首相は
「民営化そのものが目的でどんな民営化になるかになどまったく興味がない」
とよくいわれます。

道路公団民営化のときもそうでした。
国交省の役人たちは、道路公団民営化の話をしにいっても、
まったく興味を示そうとしない首相の態度に、心底あきれかえっていました。
改革だ、民営化だと国民受けのする掛け声だけは発しても、
どんな民営化が国民のためになるのか、国益にかなうのかなどどうでもよいのです。

これは霞ヶ関では常識です。

今度の郵政民営化でもまったく同じ様相を呈しているのです。
首相がのぞむ郵政民営化のカタチはどんなものなのかと尋ねたとき、
郵政民営化にかかわるある人物は
「28万人の公務員を非公務員化する。これだけでしょ、首相の頭にあるのは。
あとはなんでもいいんですよ」

ようするに「民営化」というカタチを実現することだけが目的で、
民営化によって国民生活がどうかわるのかとか、
民営化された郵政会社がビジネスとして本当にやっていかれるのか、
そんなことには、はなから小泉首相は興味がないのです。
民営化の旗をおれが振るから、あとは良きにはからえ、
という態度に終始しているわけです。

ここが小泉という政治家の本当にずるいところなのです。

首相自身が民営化の細部にかかわる必要などありませんが、
首相がディテールをいっさい放棄してしまったら、
その後に何が起こるかくらい誰だってわかるでしょう。
民営化反対派との裏取引であり、妥協の山また山です。
道路公団の民営化はまさにその象徴です。

たしかに道路公団は「民営化」されましたが、
その実態は「民営化の名を借りた改悪」であることは、いまや常識です。
無駄な高速道路を借金で建設し続けることにストップをかけようという、
当初の民営化の目的は完全に脱落してしまいました。
高速道路を建設し続けたい道路族は
「赤字の高速道路は税金でつくる」という実をとることで、
小泉首相に「道路公団民営化」という花をもたせたのでした。

一歩間違えると、郵政民営化でもまったく同じ轍を踏む恐れがあります。

しかし道路公団と郵政公社とでは天地ほどの違いあります。
道路公団は数千人規模の人員しかいませんが、
郵政公社には28万人もの人間が働いているのです。
郵政はまぎれもないビジネスです。黒字がだせなければ、倒産の憂き目にあう。
28万人を路頭に迷わせていいわけがありません。
ビジネスとして成り立たない民営化をしてしまったなら、
最後にはそのツケは国民にまわってきてしまうのですから。(続く)

09月03日(金)

【I am dying!!】

久しぶりの家族4人そろっての家族旅行です。

いま私は地中海に面したバルセロナのホテル「ARTS」にいます。
バルセロナの初日は、ガウディに酔いしれた1日でした。
と、言いたいところですが、そうもいきませんでした。

生来、高所恐怖症の私は、日頃、高い所にはいかないようにしています。

(最近、新築されるビルにはガラスを壁材にしたものが多く、
本当に勘弁してほしいと思っています)

しかし、今回、サグラダ・ファミリアを前にして、
家族も一緒ということもいあり、せっかくここまできたのだからと、
思い切って地上65メートルまでエレベーターで上がって見ることにしました。

ところが上がってみるとそこは吹きっさらしの世界。

エレベーターを降りたとたんに恐怖で頭が真っ白になり、
家族に「俺は降りる」と言い放つやいなや、
乗ってきたエレベーターでそのまま地上に引き返してしまいました。

下りのエレベーターは当然、係のお兄ちゃんと私の二人きり。
彼が「どうしたんだ」というので、こう答えました。

「I am dying・・・」

いやあ、本当に怖かった。
サグラダ・ファミリアは外から見るだけで十分すばらしかったです。

08月03日(火)

【UFJ争奪戦の歴史的な意味】

UFJをめぐる三井住友と三菱東京の争奪劇。
わたしにとってこれほど感慨深い事件はありません。

私が職業として銀行の不良債権問題にかかわり始めてから、
すでに10年以上の歳月が流れました。

97年には北海道拓殖銀行と山一證券が破綻し、翌年には長銀、日債銀が破綻。
金融不安が日本経済をひきずり倒す暗い時代が続きましたが、
三菱東京とUFJとの統合に三井住友が「待った」をかけたこの事件は、
長く続いた日本の金融不安が遂に幕を下ろしたことを象徴する出来事です。

三井住友が逆転統合するのか、三菱東京が順当にUFJを統合するのか、
それによってメガバンクの業界地図は
さらにまた違う方向へと動き出すことになると思いますが、
金融界という小さな世界から日本経済全体へと視点をうつしてみると、
2つのメガバンクの激突がもつ歴史的な意味が浮かび上がってきます。

金融不安時代の終焉。
そこに本当の意義があると私はみています。

地価と株価の暴落のなかで、不良債権の膨張が止められず、
メガバンクまでもが破綻の恐怖をつねにさらされながら、
後ろ向きな経営を強いられてきたことを考えれば、
どちらが銀行界の覇権を握るのかという
積極果敢な競争を展開している三井住友と三菱東京の姿は、
日本の金融界にはもう10年以上、絶えて久しい光景だからです。

金融不安の元凶はメガバンクの経営不安です。
ここが安定することが、金融不安解消の絶対条件でした。
メガバンクが落ちつけば、
地銀を始めとする地域金融機関の経営問題は地域の問題にはなりえても、
それがきっかけで日本の金融システム全体が
崩壊するようなことには絶対になりません。

三井住友なのか三菱東京なのか。

UFJ争奪戦の勝者がどちらになっても、
私たち国民にとってはさしたる違いがあるとは思えませんが、
生きるか死ぬかばかりが話題になっていた時代から、
覇権争いを演じられるような時代への変化に意義を感じ、
ちょっとばかり喜んでみてはいかがでしょうか。

08月23日(月)

【中国に行ってきましたが・・・】

8月の中旬から10日間ほど中国取材に行ってきました。
広州、杭州、寧波、そして上海と中国の沿岸部を北上しながらの取材です。

取材目的は別にありましたが、行った先々で、
今月初めに行われたサッカーアジアカップでの
反日ブーイング事件について中国人はもちろん、
取材途中でお目にかかった日本の駐在員たちに
ことあるたびに尋ねてみました。

また上海では、アットランダムに一般市民に
マイクをむけて話を聞くという取材がありましたが、
その時も、プラスルファの質問としてサッカーの話題をふってみました。

結果は、私の予想通りでした。

中国国内では、何の問題にもなっていないし、
サッカー場に政治問題を持ち込んだ中国人たちを
「恥ずかしい」と受け止める人はいても、
その行動を是認する中国人は一人もいませんでした。

もちろん日本人である私に、ブーイングは当然だと面と向かって言うほど
中国人は愚かではありませんから、
彼らの言葉を額面どおり受取ってばかりはいられませんが、
我々がテレビ画面で目にした中国人サポーターたちの異常行動は、
やはりサッカー場に限定されたものであったと考えるのが現実的です。

これは中国に限った話ではありません。

欧米でもサッカー観戦といえば過激な行動でサッカー場を大混乱に陥れる
「フーリガン」対策に各国が頭を痛めているのと、そう変わりはないということです。

少なくとも、サッカー場の異常な空気が中国全体の空気だなどと思い込んだら、
それはも大間違いです。
どこの国にもおかしな人間はいるものです。

一部を見て、それを全体と受け止めてしまうことほど、
危なっかしいものはないということです。

07月30日(金)

【黒字会社の改革は本当に難しい】

昨年、今年の正月とサンデープロジェクトの特集として
二度にわたって取りあげた「OJTソリューションズ」という
生産現場のコンサルタントを覚えていらっしゃるでしょうか。

トヨタの生産現場で40年働き続け、
トヨタ生産方式を身体に染み込ませたトレーナーたちが、
赤字工場や非効率な工場の現場に乗り込んで、
生産性アップに取り込むという世にも珍しいコンサルタントです。

このOJTが入ってもなかなか変われない現場がありました。
大同メタルという世界一の軸受けメーカーです。

世界の自動車エンジンの6割は大同メタルの独壇場。
好調な自動車業界のおかげで、大同メタルも増収増益。
だから改革が進みません。
黒字企業の改革は至難の業です。

その大同メタルがどう変わったのか。その続編を取材しました。
放送は8月下旬になりそうです。

お楽しみに。

07月20日(火)

【プロ野球1リーグ制移行問題について】

私はプロ野球の1リーグ制移行賛成です。

この問題についてテレビの取材もいくつか受けました。
しかし取材され、VTRに加工される過程で、
あまりにも私の考えが歪んで伝えられてしまいました。
(1時間話して、使うのは20秒程度ですから)
そこで今日は、1リーグ制移行になぜ私が賛成をしているかについて、
きちんとお話したいと思います。

なかにはテレビで「賛成」といっただけで、
私のHPに恫喝まがいのメールを送ってくる
悪質なプロ野球ファンも数名おり、
(もちろん暖かい賛成メールも頂いていますが)
正直言って、そのレベルの低さに驚愕しています。

自分の主張と違う意見を言う人間には
脅迫まがいの悪質メールを送りつけることに、なんの躊躇も感じない。
またそんな人間に限って「プロ野球は文化だ」とおっしゃられる。
「文化」を口にするなら、恫喝、脅迫はやめたほうがいい。

違いますか?

では、本題にはいりましょう。

●1リーグ制移行は構造改革の入り口

パリーグの球団ばかりか、巨人戦からはいる莫大なテレビ放映権料を
受け取っているセリーグの球団でも、
人気球団いがいは赤字という現状をみれば、
個々の球団経営の巧拙だけで説明できる問題ではありません。
プロ野球というショウビジネスが、
現状では、成り立たなくなっているということです。
ライブドアによる近鉄買収の是非とは次元が違う話です。

プロ野球界全体のあり方がいま問われているというのが私の認識です。
しかし1リーグ制が魔法の杖になりうるはずはありません。
企業の再生も国の構造改革もそうですが、
形式的な機構改革や、社会保険庁でやったように
トップ一人を民間人にすげ替えるといったような、
小手先の改革はいくら積み重ねても、本質的には何も変わりません。

それといっしょで、2リーグ制を単純に1リーグ制に移行しただけでは
目先の新しさは演出できても、プロ野球人気の回復を通じて
市場規模そのものを縮小傾向から拡大傾向へと転じることなど
できるはずがありません。
プロ野球がかかえる病巣の深さはそんなものではないでしょう。

誤解を恐れずに申し上げると、いまプロ野球に必要なことは
格闘技の世界で“K-1”や“プライド”が実現した「進化」です。
K-1やプライドの素晴らしさがどこにあるかといえば、
従来は格闘技にまったく興味をもっていなかった人たちを取り込んだことです。

新しいファンを獲得して格闘技の市場規模を急拡大させた例は大いに参考となります。
プロボクシングやプロレスになんの興味も関心も抱くことができなかった人たちに、
「格闘技って面白いものだな」と思わせ、魅了し、
大ファンになってもらうというプロセスが、
この数年、私たちの目の前で展開されてきました。

ポイントはここにあります。

いま現在、野球ファンである人たちが問題なのではありません。
プロ野球人気の長期低落傾向に歯止めをかけるために、
あるいはプロ野球ファンの高齢化に歯止めをかけるためには、
これまでまったく野球に関心をいだくことができなかった
新しいファンを創出するいがいないのです。

間違いなく、それは大変困難な作業です。

倒産の危機から見事に蘇った日産自動車がそうであったように、
それほどの変革を、汗も流さず、血も流さずにできるはずがありません。
正確に言えばK-1やプライドは格闘技界の構造改革ではなく、
魅力的なコンテンツの新規参入にすぎません。

その点においてプロ野球界の改革は変化の難易度がはるかに高い。

プロ野球に似て非なる新しいプロスポーツの誕生を期待するのではなく、
歴史と伝統を誇る日本における最高のプロスポーツ界自らを
変えなければいけないのですから、とほうもない難事業なのです。

少なくとも、プロ野球をここまでだめにしてきた現在の体制維持に
きゅうきゅうとする態度はお話になりません。
2リーグ制維持の立場に立つ人のなかにも傾聴に値する意見はたくさんありますが、
現在の体制をそのまま維持せよという主張は少ない。
球団が赤字を垂れ流し続け、球場に足を運ぶファンが減少し続け、
巨人戦の視聴率さえも低落傾向だというときに、何もしなくていいと考えるのは、
地価上昇をひたす願いながら不良債権処理を先送りしてきた銀行業界とそっくりです。

「最悪のシナリオを想定して、最高の手立てをこうじるのが危機管理の要諦」と
元内閣安全保障室長であった佐々淳行氏は言っていますが、
まさにいまプロ野球界に求められているのは危機管理の意識です。
このままいったら、パリーグは消滅してしまうという最悪のシナリオに立ち、
そのためにいったい何をしなければならないのかを考えようというのが、私の本意です。

私が1リーグ制移行にこだわる理由は、過去と完全に決別し、みずから退路を断って、
抜本的なプロ野球界の改革をうながす入り口として
それいじょうの選択はないのではないか、と考えているからです。

●セリーグオーナーによる1リーグ制移行反対の無責任

プロ野球のオーナーたちの動きは、
スポーツでもなければショウビジネスでもなく、完全に政治と化していますが、
巨人の渡辺オーナーをのぞくセリーグのオーナーたちが、
一転して1リーグ制移行反対を表明したことに、
私は驚きと怒りを禁じえませんでした。

なぜなら、パリーグの存亡についてなんの具体案もなしに
既得権を守ることにしか関心がないからです。

セリーグ球団は巨人戦のテレビ放映権料によって莫大な収入を得ていますが、
パリーグと一緒になったらこれが激減してしまいます。
みずからの球団経営のことだけを考えたら
「1リーグ制移行などとんでもない」という本音がみえみえです。

しかし、いま問題になっているのはプロ野球界全体の行く末でしょう。
しかも彼らは、今回の問題のまさに当事者です。
なぜ彼らはパリーグが直面している問題解決のために、
セリーグとして何ができるかについてなんのコメントもなしに、
ただ1リーグ制反対を表明するのでしょうか。
その態度は、自分さえ良ければいいという視野狭窄いがいのなにものでもありません。

さらに残念なことは、
それを見た「1リーグ制移行反対」のパリーグのファンのなかに
大喜びをしている人たちがいることです。
結論が一緒ならそれでいい、という考えもあるかもしれませんが、
手放しで喜ぶという態度はあまりにも愚かです。

プロ野球界全体のために何ができるか、
新しい野球ファン獲得のためにセリーグとして何ができるか、
彼はひとことも語らず、ただ反対をのべたのです。
テレビ放映権料が減ったら困るねという
低次元の談合が行われたとしか私には考えられません。

●プロ野球界は年金制度とそっくり

プロ野球界がこれほどの問題をかかえるにいたった原因として
私は2つの環境変化が大きく影響していると考えています。

どこが似ているか。

一言でいえば、どちらも「高度成長仕様」だということです。
人口がどんどん増加した高度成長期に制度設計された年金制度は、
人口減少社会を迎えたとたんに破綻するのはあたりまえです。

年金を支払う若い世代が減り、年金を受け取るお年寄りばかりが増加するのですから、
抜本的な制度改革が不可避であることは誰の目にも明らかです。

昭和30年代、40年代、プロ野球はまさに圧倒的な存在感を示していました。
大人も子供もテレビにかじりついて野球観戦したものです。
その昔、少年はみな寝てもさめても野球のことばかり考えていたという時代が、
たしかにあったのです。

プロ野球は高度成長時代の「娯楽の王様」だったといっても過言ではありません。
しかし、時代の変化とともにプロ野球を取り巻く環境はさまがわりしました。
野球場に足を運ぶファンは激減し、
テレビ局にとって絶対のコンテンツであったはずの巨人戦ですら
視聴率が低下する一方となってしまいました。

高度成長期のようにスポーツ観戦といったら野球しかない、
というモノカルチャーな時代が終わってしまったのですから、
その当時にできあがったシステムはもはや時代錯誤の遺物なのです。

時代にあった形に制度を変化させていくことに何の問題があるのでしょうか。
人はみなそうですが、変化を嫌います。
なかでも日本人ほど変化を嫌う民族はいません。
しかし、昨日と同じ明日がくることばかりを願っていたら、
時にはとんでもない失敗をおかすことにもなってしまいます。
プロ野球ファンが減少し、プロ野球のマーケットそのものが縮小しているのですから、
そこに歯止めをかけて、プロ野球人気の復活をはかるために抜本改革をするのは
ごくごくあたりまえのことなのです。

私はその入り口として1リーグ制移行という劇薬を提案しているわけですが、
1リーグか2リーグかはあくまでも形式的な問題であって、
重要な点はプロ野球が生き残るためには抜本改革を
避けて通れないという覚悟だけはもたなければなりません。

● プロ野球はショウビジネス

プロ野球はショウビジネスだというとカンカンになって怒ってくる方がいます。
いわく、プロ野球は文化だ、と。

しかしそれはあまりにも文化に対する認識が低い。

ショウビジネスは文化そのものです。
ブロードウェイのミュージカルはショウビジネスの代名詞のような存在です。
ブロードウェイは文化ではないとでもいうのでしょうか。
歌であれ、踊りであれ、スポーツであれ、
他人様からお金をもらってプロが演じる世界はショウビジネスであり、
文化とはまさにそうした大衆の感動のなかで育まれていくものです。

プロ野球は大衆文化です。
その人気が落ちてきて、パリーグはもちろんセリーグでも
一部の人気球団いがいは球場がいつもガラガラだという現実は、
ショウビジネスとして成り立たなくなってきていることを示唆しているわけですが、
それはとりもなおさず大衆文化であるプロ野球が
大衆の支持を失いつつあることにほかなりません。

野球をショウビジネスであると発言した財部はけしからんと、
恫喝まがいのメールを送ってくる近鉄ファンに申しあげたい。
そんな暇があるなら、ひとりでも多くの友人を誘って、
大阪ドームを満杯にする努力をすべきです。

それがファンというものでしょう。

07月09日(金)

【1リーグ制移行いがいに選択の余地はありません】

近鉄とオリックスの合併話から始まった
プロ野球1リーグ制移行への大論争。

賛成、反対いりみだれて、皮肉なことに、
毎日くりひろげられている試合内容そっちのけで話題沸騰という状況です。

私の結論はシンプルです。

1リーグ制移行いがいに選択の余地はありません。
なぜか? 
パリーグ全球団が赤字経営をよぎなくされているばかりか、
セリーグにも赤字経営球団があるという現状は、
プロ野球というマーケットが縮小しているという現実があります。
ここでパリーグのチーム数が6から5に減ったからといって、
プロ野球人気が劇的に復活する可能性があるでしょうか。

絶対にない。

業績が左前になった企業が、小手先の変化で時間稼ぎをするのと同じです。
抜本改革なしに、将来はありません。

もし1リーグ制に移行したら、どうなるでしょうか。
来シーズン、プロ野球に対するマスコミの関心は劇的に高まります。
松坂大輔が巨人相手に投げるシーンを見たくない人がいるでしょうか。
長期低落傾向にあるプロ野球人気に歯止めをかけ、人気復活を狙う、
それこそがいまプロ野球界にかせられた唯一にして最大の目的ではないか、
私はそうかんがえているのです。

07月02日(金)

【今、教育の現場に必要なのものは】

埼玉栄高校という校名をご存じの方は多いでしょう。
甲子園出場で一躍有名になった高校ですが、
その母体が「学校法人佐藤栄学園」です。
大学、短期大学、高校、中学、小学校、さらには専門学校等々と、
教育ビジネスの発展可能性を体現している法人です。

その佐藤栄学園の傘下にある「さとえ学園小学校」がこれまた面白い。
この小学校は、学校の中で習い事ができるのです。
たとえば、バイオリンを習わせたいという親がいたとしましょう。
放課後、学校でバイオリンが習えたら、こんなにいいことはない。
しかもこの学校の特長は、子供だけではなく、
親も一緒にバイオリンを習いましょうというカタチにしていることなのです。
このメリットははかりしれません。
学校が親子のふれあいの場を担保しようという発想なのです。
また、一緒にバイオリンを習えば、出来が悪いからといって
親がヒステリックになって子供に当たるリスクも軽減されるはずです。
自らに才能のないことを親が自覚をすれば、出来の悪い我が子に対しても優しく、
寛大に接してあげることできるという副次的なメリットもあります。

しかしなんといっても美味しいのは佐藤学園です。
塾や習い事に親がかける莫大な教育費を、
まるごと学校でおとしてくれるのですから、
これほど美味しいビジネスはありません。

その佐藤栄(さとえ)学園の佐藤栄太郎理事長に会いにいってきました。

バブル時代に日大が全国に高校を作ったことは有名ですが、
経営破たんに追い込まれて売却の憂き目にあった高校もすくなくありません。
佐藤理事長は周囲の反対を押し切って、
北海道で経営難に陥っていた日大の付属高校の再建を引き受けたそうです。
生徒数が50名と定員割れもはなはだしいこの学校が、
佐藤栄学園の傘下になったとたんに、様変わりしたというのです。

わずか2年で北海道大学に2名が現役合格し、
野球部は選抜高校野球の地方予選で決勝戦まで駒を進めました。
今年は甲子園間違いなし、とまで言っていました。
教師も生徒も変わらないのに、様変わりしてしまったのです。

なぜ、こんなに変わってしまうのでしょうか。

佐藤理事長はこういいます。「理念」と「教育環境の設備」。
「これがあれば学校はすぐに生き返る」ということでした。

06月16日(水)

【小泉政権のデタラメ】

年金法案の不完全さを承知のうえで強行採決した小泉政権に対して、
世論は支持率低下というかたちでNOをつきつけていますが、
思えば、小泉改革というのはすべてがこのパターンでした。

道路公団改革をみても、たしかに「民営化」は決まりました。
「道路公団民営化」というカタチは歴史に残ります。
しかし民営化の法案を書いた当事者である国交省道路局のキャリア官僚までもが、
口をそろえて「道路公団のままの方がまだ良かった」という始末です。

このままでは参院選後に本格化する郵政民営化も
どんなデタラメになるかわかりません。

どんな民営化が国益にかなうのか。
真剣に考えないととんでもないことになってしまいます。

06月04日(金)

【神戸へ取材に行きました】

今週は2泊3日で神戸製鋼の取材に行ってきました。

中国の爆発的な需要増で
日本の大手鉄鋼メーカーは劇的な業績回復をみせました。

90年代半ばには日本の年間粗鋼生産量は1億トンを割り込み、
「9000万トンまで落ちる」いや、
「8000万トンだ」という悲観論一色となり、
単独での生き残りを絶望した川鉄と日本鋼管は
合併してJFEとなりました。

ところが中国特需の神風で
日本の鉄鋼メーカーは突然、息を吹き返したわけですが、
そうした追い風を取り払っても、
神戸製鋼の復活には見事なまでの自助努力がありました。

復活の原点はあの震災でした。

95年1月17日の阪神大震災の前後で、
神戸製鋼はまったく違う会社に変身したのです。
それはもう劇的でした。

日本のモノづくりの源である鉄鋼。 勢いよく鋼ができあがっていくところを見て感動しました。
これから本格的な取材を始めるつもりです。
また、報告します。

05月28日(金)

【小沢民主党が誕生しなかったことについて思うこと】

5月14日に「小沢民主党誕生に思うこと」という文章を
ホームページにアップした直後に、
小沢氏が年金未納を理由に党首への就任を辞退し、
かわって岡田幹事長が党首に就任するという急転直下の事態に、
私のホームページがついていけていませんでした。

「毎日更新!」という気持ちだけはあるのですが、
ついつい遅れがちになっている現状を、お詫びします。
尻切れトンボ状態になったままの前回の原稿に対して、
財部はどんな続きを書くのか?

もしかしたら、そんなお気持ちでこのサイトを訪ねたものの、
続編は見当たらず、腹がたったり、
落胆したりという方がいらっしゃったかもしれません。
もしあなたがそうなら、重ねて、お詫びします。

ごめんなさい。

さて、私は14日のコラムのなかで民主党の若手議員は
「小沢氏の存在感の大きさを学べ」と書きました。
この主張にはいささかの変化も、変更もありません。

口先で論理をふりまわすだけの軽い男には「人気」はついてきません。
政策通であることはきわめて重要なことですが、
政治家にはもっと重要なことがあります。
それは、現実を動かす「力」です。

この男がポストと権限を得れば、
間違いなく現実を動かしてくれるはずだと、国民に思い込ませるだけの
人間的な魅力、重み、存在そのものの輝きといったものが
一国のリーダーには求められるのです。

巧妙な自己宣伝によるところが大きいとはいえ、
結果として小泉首相はこの「力」を備えるようになりました。
逆にこの「力」を決定的に欠いているのが民主党の若手だと私は考えています。

もちろんそれは年齢や経験の積み上げなしには
身につかないものかもしれませんが、
30代には30代なりの、40代には40代なりの
存在感というものがあるはずなのですが、
それがない。

小沢氏にかわって民主党の新しい顔になった岡田氏も、
残念ながら、その例外ではありません。
存在感の大きさという点では、若手ながら国会対策委員長をつとめていた
野田佳彦氏の方がはるかに器の大きさを感じます。

もっとも党首就任後の岡田氏の表情には、
これまで見せたことのない闘志が浮かんでいるように見えるのは
気のせいでしょうか。
ポストが人間を作るともいいます。
頑張って欲しいものです。

しかし、それにしても、小沢さんという人には、落胆させられました。
政界再編をしかけてはつぶし、しかけてはつぶしをくりかえし、
今度こそという民主党党首への就任を蹴っ飛ばし、
またも国民の期待感を裏切ったのです。

ここまでやられたら、さすがに世の小沢フリークも
愛想をつかすのではないでしょうか。

少なくとも私は、そうです。

05月14日(木)

【小沢民主党誕生に思うこと】

小沢・民主党が誕生する。

夏の参院選を戦うために党の顔となれる政治家は、
小沢一郎氏いがいにはなかったということでしょう。

しかし、小沢代表が決定するまでの道のりは平坦ではありませんでした。
菅直人氏の代表辞任をうけて、
党内世論が小沢代表で一気に盛り上がったという空気はまるでありませんでした。
端的にいえば、消去法で小沢氏を押すより他ないという、民主党の人材不足が、
結果として小沢・民主党を誕生させたというのが本当のところでしょう。

そこで、私は枝野政調会長をはじめとする民主党の若手議員に申し上げたい。
小沢代表のもとで、政治を勉強しろ、と。
小沢氏がすべていいなどというつもりはもうとうありません。
しかし、小沢一郎という政治家は、
現実を動かす術を知っている数少ない政治家のひとりです。
枝野氏をはじめとする民主党の若手議員は、弁こそたつが、
まったくといっていいほど政治センスがない。
この人に任せたら、何かやってくれるだろうという期待感を
国民に抱かせる能力が欠落しています。

もちろん小沢氏の影響力にもかつての勢いは感じられません。
50代以上の有権者のなかには、まだ小沢神話が生きているようですが、
20代、30代の有権者になると小沢氏の知名度は極端に落ちてきます。
また同じ政治家としてみたとき、
小沢氏の政治手法そのものに違和感を覚える民主党議員も少なくないでしょう。

しかし政治は数です。
選挙で多数を取れなければ、なにもできないのです。

人の心を動かすためには、何が必要なのか。
選挙に勝つためには、何が必要なのか。

民主党の若手議員にはぜひともそれを学んで欲しいものです。
勉強だけでは政治はできません。
パフォーマンスだけでも政治はできません。
人の心を動かす圧倒的な存在感をもった政治家だけが
国を動かすことができるのです。

05月12日(水)

【年金問題は絶対に政争の具にしてはならない】

民主党の菅直人氏が迷走のあげく、
5月10日開かれた両院議員懇談会で、ついに代表を辞任しました。

菅氏は民主党結党時に鳩山氏とともに共同代表をつとめたものまで数えると、
これまでに三度、代表をつとめており、
常識的に考えれば、菅氏にはもう「次」はありません。

つまり総理総裁への夢もここで終ったということです。

同じ辞任でも、自民党内でのさらなる飛躍が待っている
福田官房長官と菅代表とでは、事情が違いすぎます。
その意味では菅氏は気の毒ですが、自業自得と言わざるを得ません。

年金問題は「絶対に政争の具にしてはならない」、
国民生活にとって重大なテーマです。

ところが、菅氏は未納閣僚が発覚するや、
しめた!とばかりに年金問題を政争の具とし、政局にしようとしたのです。
ここに菅氏の本当の罪深さがありました。

だが菅氏はさらなる罪を重ねました。
岡田幹事長、枝野政調会長、野田国会対策委員長という
執行部全員を巻き込んでしまったことです。

自己保身に汲々とするあまり、
次代の民主党を担う若手まで巻き込んでしまった管直人という人は
政治センスが悪いばかりか、
人間としての器量もまた小さすぎたということでしょう。

05月07日(金)

【人命よりブランドを守ろうとした倫理の倒錯】

横浜市で02年1月、三菱自動車製トレーラーの車輪が外れ、
母子3人が死傷した事故をめぐり、
「三菱ふそうトラック・バス」の宇佐美隆前会長(63)と
三菱自動車の花輪亮男(あきお)元常務(63)を含む、
幹部七人が逮捕されました。

車輪と車軸をつなぐ金属部品である「ハブ」の故障が
連続事故の原因であることを社内調査で認識しながら、
それを隠し続けた三菱ふそうの罪は
殺人罪を求刑したくなるほど悪質なものでした。

2000年7月にも三菱自動車はリコール隠しをしており、
三菱自動車グループの欠陥隠しはこれで二度目ということになります。

三菱グループの劣等生である三菱自動車の最高幹部は、
一度ならず二度も欠陥車を販売してしまったという汚点を
公にすることは絶対に許されないと、追いつめられたのかもしれません。

自動車メーカーとして死守すべき価値を「人命」ではなく
「三菱ブランド」においてしまった倫理の倒錯。
これが三菱自動車グループの致命傷となったのです。

横浜の母子3人を殺しておきながら、
それでも頬かむりを続けた会社の自動車を
誰が買いたくなるでしょうか。

ダイムラーの支援打ち切りも当然です。
クルマが売れない自動車メーカーに、
いくら財務支援してもザルで水を汲むのと同じだからです。

02月05日(木)

【ラスト・サムライ!】

トム・クルーズ主演の映画『ラスト・サムライ』をご覧になりましたか? 

渡辺謙がアカデミー賞の最優秀助演男優賞に
ノミネートされたことでまた話題になりましたが、
インターネットの映画関連サイトに掲載されたレビューを読んでみると、
「武士道」に象徴される日本人の精神性の高さに感動や共感を覚えたという声が
驚くほどたくさんありました。

それは「武士道」という狭義の精神世界への感動というよりも、
人は何のために生きるのかという根本的な問いかけに対する
ひとつの答えを映画のなかに見出した喜びだったのかもしれません。

金銭欲と物欲ばかりが跋扈する今の時代に
「自分は何のために生きているのか」
「誰のために生きようとしているのか」
といった究極的な疑問符を
この映画は私たちに投げかけているようです。

いい映画でした。

01月13日(月)

【04年は日本経済正念場!】

新しい年が本格的に動き出しました。
企業にとっても、日本にとっても、今年は正念場の年です。

景気はまちがいなく上昇します。

そもそも景気は製造業の復活という、民間企業の自立回復によって
とっくに回復していますが、
04年は米国、中国の経済成長という追い風をうけながら、
この流れがさらに大きくなります。

問題はむしろ今年ではなく、来年(05年)です。

大統領選にむけたブッシュ政権の減税や極端な低金利政策の反動が、
場合によっては05年にでてくる可能性があります。
もちろん企業の設備投資の増加によりこうしたマイナスを
米国経済が吸収してしまう可能性もないとはいえませんが、
手堅くみるなら、05年の米国経済は波乱含みと考えるべきです。

つまり企業にとっても、日本にとっても04年こそが正念場です。
確実に経済が上昇する今年中に、復活の足がかりをつかめない企業は、
来年以降、本当に苦しくなります。

今年こそが勝負の年であると、私は考えています。

 ■バックナンバーはこちらから!

2016 2015 2014 2013 2012 2011 2010 2009 2008 2007 2006 2005 2004 2003 2002 2001 2000